大阪難波高島屋で開催中の「興福寺の寺宝と畠中光享展」に行ってきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/b4/a8206b821d66ac48b4e2f9215a93b965.jpg)
300年振りに再建中の中金堂の柱は、14本で西第一柱を、特に「法相柱」と言い、
高さ10m、周り2.45m(直径約80Cm)もありますが国内では採れず、
カメルーン産「アフリカケヤキ」とのこと。
この「法相柱」に法相の教義「唯識」を確立し発展させったの十四祖師の画で祀られるのです。
中金堂が完成し、絵が柱に貼られると十四祖師画像は殆ど見ることができないそうです。
この祖師像を奉納されたのが画家で、印度佛教研究家の「畠中光享」画伯。
14祖師は、4,3,3,4祖師の四段に分けて貼られるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/0c/3ef8f4a5cc7d5be1913aff1ebdd46b36.jpg)
上段
②解脱上人 ③権別当蔵俊 ④真與上綱 ⑤別当行賀
②解脱上人は勅謚号 貞慶(鎌倉時代)法相教学の確立
③権別當蔵俊 鎌倉時代初期における興福寺の法相学匠はほとんどが蔵俊の門流
④真與上綱 ?
⑤別當行賀 唐に渡り31年間唐にとどまり、唯識・法華の両教学を学んだ
二段目
⑥善珠僧正 ⑦玄昉僧正 ⑧濮陽大師
⑧濮陽大師 中国法相宗二祖
⑦玄昉僧正(奈良時代)学僧として入唐、濮陽(法相二祖)に法相を学ぶ
⑥善珠僧正(奈良〜平安時代)玄昉に師事、法相、因明に通じた
三段目
⑨淄州大師 ⑩慈恩大師 ⑪玄奘三蔵
⑧〜⑪は中国の僧
法相宗唯識教学の根本は、印度から
⑪玄奘が中国(唐)に持帰り、門下第一の
⑩慈恩大師がまとめ上げ、法相宗を開創(法相初祖)
⑧濮陽大師(法相二祖)、
⑨淄州大師(法相三祖)と言われている。
四段目
①戎賢論師 ⑫護法論師 ⑬世親菩薩 ⑭無着菩薩
いずれも印度の僧で、無著、世親が法相宗唯識教学を大成し、
戎賢、護法により発展
①戎賢論師 護法に師事して唯識を極め、「正法蔵」と尊称される。
⑫護法論師 古代インドの大乗仏教の僧であり、唯識派の学僧。唯識十大論師の一人。
世親の『唯識三十頌』を護法が注釈した学説は、弟子の戒賢から玄奘を通じて
その弟子の慈恩大師基の『成唯識論』によって後世に伝えられた。
⑬世親菩薩 古代インド仏教瑜伽行唯識学派の僧で、無著の弟 は説一切有部から唯識派に転向して大成
⑭無着菩薩 インドの大乗仏教唯識派の学者で唯識思想流布の端緒
法相教学の法脈を辿って構成されています。
玄奘三蔵により、印度から中国(唐)、慈恩大師により中国法相宗が開創され
玄昉はじめ唐への留学僧により高僧に師事し、奈良、平安時代に日本にもたらされ、
鎌倉時代、解脱上人(貞慶)により我が国の法相教学が確立したと言われています。
「法相柱」はまさに法相教学の積み上がっていく様子が表されているのですね。
会場には、畠中画伯もおられ、お話しをさせて頂く機会もあり感激の鑑賞となりました。
『無著・世親像は、北円堂の仏像を参考に、例えば無著像の手にしている袋の中には、
何が入っているのか…と想像し、「舎利」との想いで、舎利を手にした姿にした…。』等。
(チラシの表紙を飾る無著菩薩の指先の白い粒が舎利とのこと。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/5f/39f52b4b83becf48f93adb19321ee84a.jpg)
興福寺会館会場の入場券も舎利を手にした無著菩薩
14祖師の全てに散華が舞っている意味とかをお聞きしたりしました。
祖師画の他にも代表作、新作も展示されていましたが、「雲上散華」という作品があり
天女が雲の上から華を撒いている…、お話しの後もう一度見直しに行きました。
おまけ…
興福寺の寺宝の一つとして「大織冠画像」が展示されていました。
写真中央の大きな人が鎌足です。小さい方の右が貞慧(長男)、左が不比等(二男)です。
談山神社の「多武峰曼荼羅」の構図と同じ感じです…。
法相教義の祖師ですが…、
興福寺曼荼羅に名前が記されているのは…
無著菩薩、世親菩薩、護法菩薩、陳那菩薩、戒賢論師の印度五祖師
玄奘三蔵、慈恩大師、淄州大師、濮洲大師の中国四祖師
善殊僧都、玄寶僧都、行賀僧都、基操大徳、信叡大徳、常騰僧都、真與僧都の興福寺七祖師
また、南円堂の法相六祖師座像は…
常騰、神叡、善殊、玄昉、玄寶、行賀
(写真は全て展覧会チラシを加工)
(資料は主としてウィキペディア等を参照)
(祖師の尊称は引用の都度、資料に従ったので不統一です)
(*「真與上綱」については調べきれませんでした)
(H29.6.26 奈良会場のブログも参照ください)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/3f/9ff97bbdb074f1cb4950cf52b07b4c00.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/b4/a8206b821d66ac48b4e2f9215a93b965.jpg)
300年振りに再建中の中金堂の柱は、14本で西第一柱を、特に「法相柱」と言い、
高さ10m、周り2.45m(直径約80Cm)もありますが国内では採れず、
カメルーン産「アフリカケヤキ」とのこと。
この「法相柱」に法相の教義「唯識」を確立し発展させったの十四祖師の画で祀られるのです。
中金堂が完成し、絵が柱に貼られると十四祖師画像は殆ど見ることができないそうです。
この祖師像を奉納されたのが画家で、印度佛教研究家の「畠中光享」画伯。
14祖師は、4,3,3,4祖師の四段に分けて貼られるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/51/ef1560df8231e3868cc98a6d895eafb2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/0c/3ef8f4a5cc7d5be1913aff1ebdd46b36.jpg)
上段
②解脱上人 ③権別当蔵俊 ④真與上綱 ⑤別当行賀
②解脱上人は勅謚号 貞慶(鎌倉時代)法相教学の確立
③権別當蔵俊 鎌倉時代初期における興福寺の法相学匠はほとんどが蔵俊の門流
④真與上綱 ?
⑤別當行賀 唐に渡り31年間唐にとどまり、唯識・法華の両教学を学んだ
二段目
⑥善珠僧正 ⑦玄昉僧正 ⑧濮陽大師
⑧濮陽大師 中国法相宗二祖
⑦玄昉僧正(奈良時代)学僧として入唐、濮陽(法相二祖)に法相を学ぶ
⑥善珠僧正(奈良〜平安時代)玄昉に師事、法相、因明に通じた
三段目
⑨淄州大師 ⑩慈恩大師 ⑪玄奘三蔵
⑧〜⑪は中国の僧
法相宗唯識教学の根本は、印度から
⑪玄奘が中国(唐)に持帰り、門下第一の
⑩慈恩大師がまとめ上げ、法相宗を開創(法相初祖)
⑧濮陽大師(法相二祖)、
⑨淄州大師(法相三祖)と言われている。
四段目
①戎賢論師 ⑫護法論師 ⑬世親菩薩 ⑭無着菩薩
いずれも印度の僧で、無著、世親が法相宗唯識教学を大成し、
戎賢、護法により発展
①戎賢論師 護法に師事して唯識を極め、「正法蔵」と尊称される。
⑫護法論師 古代インドの大乗仏教の僧であり、唯識派の学僧。唯識十大論師の一人。
世親の『唯識三十頌』を護法が注釈した学説は、弟子の戒賢から玄奘を通じて
その弟子の慈恩大師基の『成唯識論』によって後世に伝えられた。
⑬世親菩薩 古代インド仏教瑜伽行唯識学派の僧で、無著の弟 は説一切有部から唯識派に転向して大成
⑭無着菩薩 インドの大乗仏教唯識派の学者で唯識思想流布の端緒
法相教学の法脈を辿って構成されています。
玄奘三蔵により、印度から中国(唐)、慈恩大師により中国法相宗が開創され
玄昉はじめ唐への留学僧により高僧に師事し、奈良、平安時代に日本にもたらされ、
鎌倉時代、解脱上人(貞慶)により我が国の法相教学が確立したと言われています。
「法相柱」はまさに法相教学の積み上がっていく様子が表されているのですね。
会場には、畠中画伯もおられ、お話しをさせて頂く機会もあり感激の鑑賞となりました。
『無著・世親像は、北円堂の仏像を参考に、例えば無著像の手にしている袋の中には、
何が入っているのか…と想像し、「舎利」との想いで、舎利を手にした姿にした…。』等。
(チラシの表紙を飾る無著菩薩の指先の白い粒が舎利とのこと。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/5f/39f52b4b83becf48f93adb19321ee84a.jpg)
興福寺会館会場の入場券も舎利を手にした無著菩薩
14祖師の全てに散華が舞っている意味とかをお聞きしたりしました。
祖師画の他にも代表作、新作も展示されていましたが、「雲上散華」という作品があり
天女が雲の上から華を撒いている…、お話しの後もう一度見直しに行きました。
おまけ…
興福寺の寺宝の一つとして「大織冠画像」が展示されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/0c/3c4b8ae391c2a2bbc8f03ccf11497d96.jpg)
写真中央の大きな人が鎌足です。小さい方の右が貞慧(長男)、左が不比等(二男)です。
談山神社の「多武峰曼荼羅」の構図と同じ感じです…。
法相教義の祖師ですが…、
興福寺曼荼羅に名前が記されているのは…
無著菩薩、世親菩薩、護法菩薩、陳那菩薩、戒賢論師の印度五祖師
玄奘三蔵、慈恩大師、淄州大師、濮洲大師の中国四祖師
善殊僧都、玄寶僧都、行賀僧都、基操大徳、信叡大徳、常騰僧都、真與僧都の興福寺七祖師
また、南円堂の法相六祖師座像は…
常騰、神叡、善殊、玄昉、玄寶、行賀
(写真は全て展覧会チラシを加工)
(資料は主としてウィキペディア等を参照)
(祖師の尊称は引用の都度、資料に従ったので不統一です)
(*「真與上綱」については調べきれませんでした)
(H29.6.26 奈良会場のブログも参照ください)
読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。