パパとりの雑記帳

酉年生まれの後期高齢者。健康不安を抱えながら、新聞、TV等からの情報を元に、好奇心に駆られて、近郊の社寺を中心に散策。

宇治田原・禅定寺地区 「柿屋」

2023年12月11日 | 日記
宇治田原に曹洞宗の禅定寺という古刹があります。
参拝に行ってきましたが、参道の横に見慣れないものが建ててありました。

  



宝物殿の横の敷地で、ご婦人が莚に皮を剥いた柿を並べておられました。

   

何をされているのかお尋ねすると、
下の「柿屋」から降ろして、干しているとのことで、
「古老柿」つくりの作業をしておられるとのこと。
「柿屋」は宇治田原固有の干し柿を干すための「棚」で
刈り取りの終わった田の中に、11月上旬から組み立てられます。
農家の方が手作業で、丸木の骨組みに藁で屋根を葺きあげられます。

因みに柿は「鶴の子柿」という渋柿。

  


2~3週間柿屋で乾燥させると、柿の中の水分が表面に浸みだし糖分が出て白くなる。
ある程度乾いたら、柿屋から降ろし、1週間ほど莚に広げ柿を「躍らせ」柔らかくする。
「箕」で何度も踊らす作業をすると白い粉をまぶした感じに仕上がっていくそうです。

お聞きした話では、この地域でも高齢者が多くなり、柿屋の規模も小さくなり、
数も随分減ったそうで、「蓑で踊らす」作業も重労働だようです。

 
         箕                 箕に干した柿を入れて踊らす(転がす)


最近では、柿の皮剥きの機械、乾燥の機械、踊らす回転の機械・・・と
商品生産をされているお宅では合理化もされてきているとか。

お寺で作る古老柿は、12月18日の「終い観音」などで
檀家の皆様にお配りするため、全て手作業なので大変な作業と仰ってました。

<発祥伝承のお話>
むかし、渋柿を甘くする方法が知られていない時代・・・。
あるとき村に一人の娘が現れて、干し柿の製法を伝えた。立ち去る娘の後を村人がついていくと、
禅定寺(宇治田原町禅定寺)近くの岩場で姿を消したと思ったら観音の姿を現した。
娘は禅定寺の本尊、十一面観音の化身だった。以来その干し柿を「一人の娘の柿」という意味で「孤娘柿(ころうがき)」と読んだ。

ここまで行きませんでしたが
このお話で娘が観音の姿を現したという「美女石(びじょせき)」近くに「おとめ観音(柿の木観音)」と名付けられた像が
平成5年に「ころ柿の観音像」として安置されたそうです。
光背に柿の葉、台座は柿のへた、手のひらには柿、柿のネックレスを付けておられるとのこと。
「おとめ観音」は、京都府歴史的自然環境地域に指定されている禅定寺内に安置されています。



美女石近くの「おとめ観音(柿の木観音)」  

  
境内近くに新しい「おとめ観音(ころ柿観音)」


写真の一部に参考資料からの転写を含みます。
コメント
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