杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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9月21日ランチョンの答え

2006年09月22日 | 木曜日ランチョンカンファの過去問
いや~ん、何で誰も返答くれないのかしら??
Mr チン寂しすぎです。

上昇するHb (g/dl) = 投与するHb (g) ÷ 循環血液量
という式を使います。

ちなみに循環血液量は、一般的に70ml/kgとされています。
さて、今回のおさらい問題ですが、
MAP輸血をして上昇させたいHb量は、1.5g/dl分です。
そして症例の循環血液量は、70 x 45 = 3150ml
ですから投与すべきHb 量は
1.5 x 3150 ÷100(これはdlの単位にあわせるため)= 47.25gになります。
ちなみに皆さんが使用しているMAP2単位は、
400mlの血液由来で作られていますので、
2単位に入っているHbは、
14.0(~15.0)x 4 = 56(~60)gです。
これは、一般正常者の血液なのでHb 14.0~15.0g/dlの血液からできているためです。
問題の答えとしては、42.75g必要なので、
MAP血2単位の投与で十分、おそらく8.0g/dl以上に上昇するでしょう。
もし、2単位投与後も7.5g/dl以下のようであれば、
溶血もしくは出血している可能性を考えるべきです。

そう、もともと投与後の値が推測できれば、推定量と異なる値の場合に隠れている病態をみつけられることにもなるんです。

Drug hypersensitivity (アレルギーは難しいっす!)

2006年09月22日 | Kanpo-Master の部屋
   Kanpo-Masterです
今日の青木眞先生の講義はアレルギーと感染症の話で非常に勉強になった。
やはり結論としてはアレルギーを考えるとき、
IgE-mediateか、non IgE-mediateなのか、を分けて考えることを
再度確認できた。そして自信ないときは無理にその薬は使わなくていいのだ。
とれたてほやほやMJAからのDrug hypersensitivityについて
は以下で参照です。
 http://www.mja.com.au/public/issues/185_06_180906/thi10282_fm.html
上記文献では、Adverse drug reaction(ADR)を以下に分けます

TypeA(pharmacological):全体の80%
 
TypeB(hypersensitivity):全体の10%~15%
はimmune-mediatedな3つとNon-immune-mediatedの一つに分かれる
 IgE-mediated: immediate reactionで1時間以内
 T cell mediated (non-immediate reaction): Stevens-Johnson syndrome,TEN
 Other:Cytotoxic or immune-complex reactions

 non-allergic(non-immune-mediated)
 Radiocontrast media, aspirin, vancomycinなどの感作なしで一回でも
 起こる反応(直接肥満細胞を介する作用もあるようだが、、)

本日の青木先生のレクチャーでも話が出ていましたが、減感作は低濃度から
維持量にまでもっていくのは15分から数時間で、という記載があり、確かに
適切な治療を急ぐ感染症の場合には悠長に数日単位で減感作などという状況
はありえない気がします。また維持量を投与し続けないと、一旦これを
休薬した場合には減感作の効能は数日で消失されるようです。さらに
減感作ができる薬剤も限られておりalloprinol, ST合剤、βラクタム剤、
aspirinなどです。ACEIでは数年たってもAngioedemaなどが起こりうるという
ことも認識したほうがよさそうです。いずれにしてもこのMJAシリーズは結構
使えると思います。

MJAはシリーズになっています。
http://www.mja.com.au/public/issues/185_04_210806/dou10258_fm.html
http://www.mja.com.au/public/issues/185_05_040906/bro10212_fm.html
http://www.aafp.org/afp/20020315/tips/8.html
上記はおまけです
http://www.mayoclinicproceedings.com/Abstract.asp?AID=860&UID=&Abst=Abstract
上記はKanpo-Masterのお薦め文献の一つです

>http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/173/11/1317?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=
dermatologic+emergencies&andorexactfulltext=and&searchid=
1&FIRSTINDEX=0&sortspec=relevance&resourcetype=HWCIT

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=11556301&query_hl=2&itool=pubmed_DocSum
青木先生もお薦めの文献だったと記憶しています。
側鎖についての理解が深まります。CAZとAztoreonamなど、、
 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=
15805383&query_hl=0&itool=pubmed_docsum

これもなかなかの文献だと思います。
今日は恒例のいせやの焼き鳥も、ラーメンもおいしかった、、
レクチャーも楽しかった、Kanpo-Masterは数日、遅い夏休みを
とらせていただきます、探さないでください
そのうちmorning conferenceでアレルギーをやろうと思います。

MAP輸血の投与量

2006年09月22日 | 木曜日ランチョンカンファの過去問
9月21日のランチョンカンファ内容です。
赤血球は、酸素運搬に重要なのです、これ当たり前!
でもHbの低値が確認され、血液中の酸素含有量を心配しますか?

血液中の酸素含有量(ml)は、
1.34 x Hb x (SaO2/100) + 0.003 x PaO2 です。

以前の内容ですが、覚えていましたか?
この式のようにSaO2の最高値は100%ですので、PaO2は150とか200Torrなど必要なく
やたらな高酸素濃度での組織障害のみおきてしまいます。
Hbに対する係数が、PaO2に対する係数よりはるかに大きいことをみればわかるはずです。
そう、この式のように酸素を組織に供給するのに本当にHbは大切です。
これからが本日の本題です。
Hbは重要なので、もし貧血が高度であればMAP輸血を検討することになると思います。でもみなさん、必要な投与量をしっかり把握してその必要量を用意するようにしていますか?

では、おさらいの問題です。
体重45Kg の65歳、日本人女性 
慢性進行性にHb 6.5 g/dlまで低下していました。そのせいで労作時の息切れ、ふらつきがみられるようです。
あなたは、まずHb 8.0 g/dlを目標にMAP輸血を考えます。
さて、MAPを何単位用意しますか?

どしどし、復習ですのでお答えをコメントにいれて!!