Kanpo-Masterです。
今年1発目の文献紹介です。Blood smearとInfectionとの関係を述べた以下の2つで、イスラエルからのReviewです。
The added value of peripheral blood cell morphology in the diagnosis and management of infectious diseases--part 1: basic concepts. [Postgrad Med J 2008;84:579-585]
http://pmj.bmj.com/cgi/content/abstract/84/997/579
The added value of peripheral blood cell morphology in the diagnosis and management of infectious diseases part2: illustrative cases [Postgrad Med J 2008;84:586-589]
http://pmj.bmj.com/cgi/content/abstract/84/997/586
***脾臓摘出が明らかな患者やhyposplenic patientでのHowell-Jolly小体やPappenheimer小体は通常認めることが多いが、逆にこれらがない場合にはresidual splenic functionがあると解釈できる。赤血球の異常ではとりあえず下の2つを注意してみてみる(個人的な感想)。さらに遺伝性球状赤血球症(HS)などのcongenital な形態異常もメッカルことがある。HSでparvovirus B19の感染を景気にaplastic anemiaになるケースがあるようだ。怖いですね。その他Asplenia/hypospleniaの場合にはacanthocytes(有棘赤血球)や標的赤血球(Target cells)もでることがある。
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Howell-Jolly小体 摘脾後、赤芽球異形成を伴う貧血(巨赤芽球性貧血)、溶血性貧血、脾機能低下症、閉塞性黄疸
脾臓がない場合、脾機能が著明に落ちている場合、著明なhemolysisによるphagocytic processが存在するときなど。
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Pappenheimer小体(Pappenheimer body)
3価鉄は水に不溶性で、蛋白、脂質、糖質と複合体をつくる。普通染色では青緑色の微細不整形で斑点状に染まり、鉄染色陽性である。3価の鉄をもつ赤血球をsiderocyteという。出現する病態 :摘脾後、骨髄異形成症候群(MDS)、肝硬変、鉛中毒、骨髄増殖性疾患
とりあえず、sepsisなど感染症を疑った場合には好中球に注目してみてみる
以下の4つあたりは感染症を疑ったときにsmearで着目してみるとヒットがあるかも知れない。
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デーレ小体(Dohle body)
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中毒性顆粒(TG:Toxic granulation)
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空胞形成(Vacuole formation)
空胞形成はマクロファージや形質細胞では認めることがあるが、その他の細胞では通常ないものである。
■好中球の表面上のICAM-1などの↑による
aggregation
その他、LGL(large granular lymphocytes)などもLGL leukemiaやreactive responseで出現する。前回経験したDIHSの症例でもLGLと思われる細胞が末梢血に目立っていた。通常は末梢血のリンパ球の10-15%程度を占めるが、これが増えた場合には悪性疾患や感染症(virus, bacterial, helminthic)を疑う。この細胞はclonalityがあったとしてもreacitiveのこともある。
作図 by Kanpo-Master