杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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今週のランチョンは、

2006年09月15日 | 木曜日ランチョンカンファの過去問
さて今週のランチョンカンファレンスのテーマですが、
吸入酸素濃度についてでした。
臨床的に低酸素血症の状況に対し、最も頻繁に使用されるのは
鼻カニューラでしょう。
一般的に
酸素吸入量1L/minでFiO2(酸素吸入濃度)24%
      2L/min           28%
      3L/min           32%
とされています。
これは、どのような計算で考えられているのでしょうか?という話でした。

まあ、年に1回ずつ話しているので、スタッフは3回聞いた人もいるでしょう。
この内容を理解していないと以下の意味がわからないと思います。
初めての方は考えてみてください。
鼻カニューラで酸素2L/min吸入する場合、
分時換気量4L/minの人と7L/minの人では、
吸入酸素濃度(FiO2)がどのくらいちがうでしょうか?もしくは変わらない?
コメントお待ちしております。
もちろん吸気:呼気(I:E比)は両者とも同じと仮定してください。

コメントが数件きてから、解答をだしますね。よろしゅうお願いします。

Lesson of the week 腎不全と造影剤

2006年09月15日 | Kanpo-Master の部屋
Kanpo-Masterです。院内での腎不全発症のうち12%程度がcontrast medium(造影剤)
投与による、というデータもあるようです[Radiology 1993;188:171-8]

http://bmj.bmjjournals.com/cgi/search?loct=ehom&andorexactfulltext=and&resourcetype=1&disp_type=
&sortspec=relevance&author1=&fulltext=&volume=333&firstpage=539

そもそもの造影剤による腎不全の定義は、、
造影剤投与後72時間以内に生じた腎機能の増悪
増悪の程度は、serum creatinineが少なくとも44umol/l (0.498mg/dlくらい)
ベースラインよりも増加すること、のようです。

腎機能の増悪は造影剤投与後3日~5日以内にピークを迎え
2週間以内にベースラインに戻ることが多いようです。

 リスクファクターは、、
Pre-existing renal insufficiency
Diabetes mellitus
Age>75 years
Concurrent use of nephrotoxic drugs
(non-steroidsal anti-inflammatory drugs, aminoglycosides)
Dehydration
Hypotension
Heart failure
Cirrhosis
Nephrotic syndrome
Hypertension

予防方法
決まったものはないが、、
1ml/kg/hourの生食を造影剤投与12時間前から開始し、合計で24時間投与
するというものです。制限なしで水分摂取している人と比べると
造影剤による腎症は3.7% vs 34.6%と予防効果はあるようです。
[Nephron Clin Pract 2003;93:C29-34]

また、NSAIDSなどのnephrotoxicityがある薬剤を少なくとも
造影剤投与24時間前に中止することも大事だそうです。