杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

当教室への連絡をいつでもお待ちしております.
23c2230@mail.goo.ne.jp
入局,大歓迎です!

スピーカー

2011年07月30日 | あんずのきしめんの部屋
 スピーカーをついに購入して、マクギーの心音の部分をYou Tubeや、あんずの呼吸のリンク先のサイトから引っ張ってきて披露していく予定。業務に慣れてきた1年目の先生も、短時間で発表をしてもらう予定。(でも今年の先生たちは前向きに取り組んでくれている)コソ染め日記は、木曜朝1の定番に。

コソ染め太郎のコソ染め日誌12

2011年07月28日 | こそ染め道場
お疲れ様です。コソ染め太郎です。

人は年月を経て変わるものです。
学生の頃は「EBMなんて…」と思っていた自分がガイドラインを覗き見て、
統計の授業が嫌いだった自分が感度得意度を気にし始め、
昔嫌いだった女優さんがなんだか好きになってきたりしています。


いいですよね、最近の広末涼子







そう、人は変わるもの。

しかし菌が変わってゆくのは大嫌い!!許せん!!
今日は菌交代のお話です。


という事で今日のコソ染めです。

誤嚥性肺炎でSBT/ABPCを1週間くらい投与されたPtです。(実際の症例に加筆修正し架空の症例となっております)



炎症は微妙に続いてましたがほとんど変わりなく、

「もういいんじゃね?」

と抗菌薬を中止したところ数日後にまた誤嚥性肺炎を起こしました。






グラム染色上、誤嚥ぽいんですが、陰性桿菌が目立ち、培養からESBL産生のE.coliが検出されたためPIPC/TAZにて加療を行いました。


治療開始後、炎症は軽度改善した後は横ばいでした。
↓治療5日目の痰です。


う~ん。効いている。
コリネばかりになってきました。これで一安心ですな。



治療10日目。炎症は相変わらず横ばい。
痰のグラム染色では少しグラム陰性桿菌が増えてきた印象。(すいません、画像なしです)
まさかPIPC/TAZ耐性してきたか?

まぁ、痰の白血球も少なくなってきましたし、臨床症状的にも肺炎は治っていると判断。
もう早めに切っちゃえとPIPC/TAZをoffしました。


これで一段落…と思っていた矢先。
また肺炎を起こしました。






うわ~、PIPC/TAZ耐性のESBL産性E.coliかよ!?


「もうカルバペネムしかねぇ!」


と敗北感に打ちひしがれていた所に前回の(PIPC/TAZ治療10日目に行った)培養の感受性結果が出てきました。
なんと…


ESBL産生E.coli!!!


もちろんPIPC/TAZは耐性進んでいます。



つまり…
前回肺炎を起こしたE.coliと今回のE.coliは別物だったんです!



それにしても、こんな菌交代もあるんだなぁと感慨にひたりつつ、感受性を見てCTMにて加療を開始しました。


しかし拭いきれないこの敗北感……
やっぱり感染症って難しいですね。

メモ帳

2011年07月28日 | あんずのきしめんの部屋
 あるレジデントは何もかもが初めてのころ、その一個一個をメモを取りまくって取りこぼしがないようにしていた。しばらくするとメモを頼りに逆にこちらが指摘してもらえることも出てきて、たいそう感心した記憶がある。(心の中では「こんな短期間ですごい・・・」と思った。)こうい先生との出会いが楽しい。やっぱメモは大事。。

貪欲に

2011年07月27日 | あんずのきしめんの部屋
 医局でKampo-master先生らと雑談。朝の勉強会も、忙しくて、体力ぎりぎりの所を関連文献1個読んで紹介してくれたり、今週のコソ染め日誌や(こっそり)Cope本をやってくれたり、症例報告を作成したり、昨年より貪欲になってきている先生が多くていい刺激を与え合っています。でも根源的には、Kampo-master先生ら上級医にあたる先生方がそもそも「貪欲」だ、っていうのが大きい。。

コソ染め太郎のコソ染め日誌11

2011年07月25日 | こそ染め道場
こんばんわ、コソ染め太郎です。
この頃いくら寝ても疲れが取れず「ああ、もう歳なのかなぁ」と今までの人生を振り返っていたところ、Dr.saraより
「SASじゃね?体重のせいでしょ」と言われました。


今日も「別に痩せる気ないだけだし」と自分を慰めます。





という訳で今日のコソ染めです。


今日はとにかくビックリした症例です。(実際の症例を改変した架空の症例です)
誤嚥性肺炎やらカテ感染やらで抗生剤やってる患者さんです。
熱がなかなか下がらず、この熱は感染じゃないんじゃないかなぁと思いつつフォーカス探しをしていたんです。
そこで尿をグラム染色してビックリ!


100倍

敵襲!敵襲だぁ!
何か分かんないけどあれは敵だ!




総員、第一種戦闘配備!
左舷、弾幕薄いぞ、何やってんの!?


レーダーが敵影をキャッチ!何だ、これは!?
3倍の速度で近づいてくるだと!?
逃げるんだ、ヤツが、ヤツが来る!




……





1000倍


近くで見ると結構顔見知りのアイツでした。



それにしてもコイツ、態度デカすぎだと思いませんか?
ま、βDグルカン陰性でつつましかったので許してやりましたがね…


(万が一、血培からカンジダ生えたら嫌だなぁ…)

朝の貴重な時間

2011年07月22日 | あんずのきしめんの部屋
「いかにコンパクトに話すか」を磨くのには身近ないい機会。学生時代に寝てしまっていた講義を、途中で抜け出してしまっていた講義を、当時はみんな講義のせいに出来たけど、医者になっちゃったらそうはいかない。。自分がやっている「かも」、、そんな気づきが学びです。心音を流そうとしてもPCじゃ聞こえないからスピーカー買ってこようか、妥協しないKampo Master先生に頭下がります
 

コソ染め太郎のコソ染め日誌10

2011年07月21日 | こそ染め道場
宇宙兄弟、めっちゃ面白いですね、コソ染め太郎です。

いや、その…枕詞のネタがなくなっただけです。

そういや、ジャンプでも宇宙ネタの漫画が連載されてますが宇宙ブームなんですかね?
ちょっと前にヒ素の中でも生きられる生物が見つかったってNASAが発表してましたし。

あれ?結構、前?
去年でしたっけ? 一昨年

すでにちょっと前の出来事の記憶すら曖昧になってきているコソ染め太郎です。



そんなこんなで今日のコソ染めです。

誤嚥性肺炎でCVA/AMPCを投与されていた患者さんです。
抗菌薬内服中の1週間後、また誤嚥性肺炎を起こされました。
そのグラム染色がコレです。





フレッシュな白血球が多数あり、上皮もあるんですが、細菌が全く見当たりません。

なんだ、抗菌薬で菌は全滅されているではないか!
抗菌薬ばんざ~~~い!!

とはならないのが悲しいところです。


すでにご存じとは思いますが誤嚥性肺炎には以下の3病態があります。

1:嫌気性菌などの感染症としての要素
2:胃酸などによる化学的刺激としての要素
3:気道の閉塞といった機械的な要素


これらがそれぞれ関わり合って誤嚥性肺炎を引き起こしています。

今回の症例ではの要素が強く、抗菌薬は無効な上に化学的刺激が通り過ぎるのを待つしかない状態ですね。
こういう方が厄介です。


ちなみに今日の朝の勉強会のネタを流用してお送りしました。テヘッ(^^ゞ



ついでにもう1枚。

みんな大好き肺炎球菌です。
「キレイだなぁ、美しいなぁ」と連呼してたら一緒にいた研修医の先生がドン引きしてました。


芸術というものは理解されにくいものです。

コソ染め太郎って誰ですか?

2011年07月21日 | あんずのきしめんの部屋
 と、研究会で他施設の先生やら、院内のいろんな先生方からたずねられる事が多い。レジデントにいたっては、「先月○○科で(コソ染め太郎)先生の下についていたので、染め方を教えていただきました!」と、コソ染め先生がローテートしている科、いる科でグラム染色が繰り広げられているらしいです。「コソ染め日記」も、実は週1回の早朝勉強会で毎週報告してくれています。それにしても彼ら同期全員、明るく活き活きしていて何よりです。

配置換え

2011年07月20日 | あんずのきしめんの部屋
 係りになっている先生が一念発起して医局のテレビやソファーの配置ががらりと変わった。(きっと10年以上変わりなかった)普段何気なく使っていても、意外に無駄なスペースや物があった事に気づかされる・・・。どこの病院でも見られる光景なんじゃないかと思われます。

感染症診療の原則

2011年07月18日 | あんずのきしめんの部屋
すっかり梅雨明けして暑い日々。先日の若セミは、青木先生の「原則」の話。日頃、診療で安易に行っているあれこれ(耳が痛い、いや胸が痛い!?)・・をあらためて軌道修正させていただけるような話でした。はじめて聴いた1年目の面々も満足げな顔。今年の1年生は結構参加していて熱心。

コソ染め太郎のコソ染め日誌9

2011年07月15日 | こそ染め道場
こんにちは。眼底鏡が全く使いこなせないコソ染め太郎です。
もう全く見えません、眼底。
虹彩なら綺麗に見えるのに…とつぶやいたら「それじゃ虫眼鏡と一緒だ」と言われました。


ぐうの音も出ないとはこの事ですね。




という事で今日のコソ染めです。
肺炎でSBT/ABPCをずっと投与されていた方です。(2週間くらい?)
当直帯で40℃の発熱で呼ばれました。

呼吸数が上昇し、酸素の必要量も上がってます。
痰の量が著明で聴診上は右でcoarse cracklesが聞こえます。


「はいはい。菌交代したのね。緑膿菌かな?」と痰を採取。
ちらっと以前の培養結果を見ると治療(SBT/ABPC)開始後に増えてきた菌が異彩を放っています。



Stenotrophomonas maltophilia



おおおおお!
まさかコイツが菌交代を!?

テンションMAXのままグラム染色をすると…





出ました、Stenotrophomonas maltophilia!(正確には後の培養結果で確定)


とりあえず重症度高かったのでLVFX+MEPMで加療を開始しました。

めでたしめでたし…










…とは問屋がおろしてくれません。
この話には続きがあるんです。

その後2日間は若干改善傾向を認めましたが、再度肺炎の悪化を認めました。
治療開始4日後の痰からなんと…





MRSA

この短期間にまた菌交代を起こしていました。(元々培養ではMRSAは検出されていた)



この方は既往からは明らかな易感染の要素はありませんでしたが、全身状態が悪く実際はかなり免疫が落ちていたんだと思います。
免疫力低下の怖さを改めて感じた症例でした。

他の科に行っても・・

2011年07月09日 | あんずのきしめんの部屋
他の科が入っている病棟に行った時、その科を回っているresidentの先生達が声をかけてくれた。短期間で科を渡り歩くので、診療内容、病棟のルールを覚えたりするのはさぞかし大変だろうなと思うのに、まったく明るい先生たちで頼もしい限り。さらに言うと女性の方が元気な印象。その当時とても自分は笑顔を作れていなかったと思うのに・・。

コソ染め太郎の非コソ染め日誌3

2011年07月08日 | こそ染め道場
暑い季節が近づいてまいりましたね。コソ染め太郎です。

最近、階段を上ると汗が吹き出て息があがるという不思議な現象に悩まされています。
きっと暑さのせいですよね。
決してBMIが高いせいじゃないですよね!
ねっ!


とある日、看護師さんから「時々HR 30台になるんですよ」と相談されました。
心電図が置いてない所でしたので「じゃモニターでも付けてみっか」と看護師さんにお願いをしたら…



おおおおお!
Wenckebachじゃねぇか!



完全房室ブロックやモビッツ2型は見たことあったのですが、Wenckebach型は初めての経験。

「ああ、PQが延びてゆく…美しい…」



看護師さんの目が何か汚いものを見るようだったのが忘れられません。