杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

当教室への連絡をいつでもお待ちしております.
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入局,大歓迎です!

年末

2011年12月25日 | カンファレンスルーム

忘年会も終わり、今年も残すところあとわずかです。年明けからは、佐竹幸子先生、青木眞先生による抗菌薬感受性セミナーがあります。(受付終)http://blog.goo.ne.jp/23c2230/e/d2a921673f032296373a7be3527a56fc
今回は3回とも同じ場所ですね。(府中の森芸術劇場)身近でこういうセミナーが受けられて有り難いです。
1年目レジデントは、病棟に慣れ、2年目レジデントの中には来春から仲間に加わってくれる先生も出てきてます。
最近のブログを見ていると、「闘魂外来」ならぬ、「闘魂染色」という感じですが、受け継がれていくことでしょう。

コソ染め太郎のコソ染め日誌25

2011年12月22日 | こそ染め道場
こんばんわ、コソ染め太郎です。
年末ですね、ああ、年末ですとも。

この時期になると憂鬱になります。

何故かって?


そりゃ決まってるじゃありませんか。大嫌いなんですよ。
大掃除!



医局の皆さんはすでにご存じと思いますが、僕の散らかし具合はそりゃもう目も当てられません。
医局の机も、家もだいたい散らかしっぱなしです。


掃除なんかこの世からなくなればいいのに…



いっその事、もうダメってとこまで我慢して引越しを繰り返すか?




そう言えば昔、母がこんな事を言ってました。
「身の回りを綺麗に整えている人は頭の中もクリアに整理できるんだ」



そんな文句じゃアナタの息子の自堕落は治りやしないぜ!





という事で今日のコソ染めです。(以下の症例は多大な誇張が含まれています)

以前、リンクさせていただいているID conferenceの記事で咽頭炎についての記述がありました。
それによると様々な症状、診察所見を押しのけて、グラム染色が有用であるとありました。
その驚異の感度、得意度は…

感度 73%
得意度 96%

(術者の腕前で感度は下がりますが、得意度は高いようです)



その時の僕の気持ちは、そうですね、一言で言えば興奮です。
だって凄いじゃないですか!
グラム染色ってすげぇじゃないっすか!
もうこりゃやるしかない!そしてみんなに(我が物顔で)自慢してやるんだ!

ちょうど救急外来で咽頭炎を発見(しかも学生時代の部活の後輩)!
Center's Score 4項目陽性
迅速溶連菌検査 陽性



ま、最初はこういうのを染めてみたいですよね。


へっへい!
へへへへい!



おっと。自然に鼻歌を口ずさんでしまいました。



扁桃腺をグリグリ擦過してグラム染色をすると…




な、なんて事だ…



これじゃ口腔内の常在菌じゃないか!
お、オレは騙されたのか…?

これが、ヤツの手口。嘘食いの嘘だったのか…





いや!
ちょっと待って下さいよ!(コロンボ風)

不用意な綿棒さばきは罠だ。
舌や内頬に当たれば口腔内常在菌の餌食なのは自明の理。
ならば…


患者さん(後輩)に一杯の水を差しだします。



「あ、先輩。ありがとうございます。気が利きますね」



「ククク。めでたいな」



「先輩?」



「それは飲むための水ではない!口をすすぐためのものだ!」



「口を、すすぐ?」



「全てはグラム染色の布石!君は私に検体を搾取されるのだよ!」





泣く泣くうがいをする患者さん(後輩)。
検体をもらった僕は顕微鏡室へ直行。


そして染めたモノがコレ。





これだ!僕が欲しかったモノ!
患者さん(後輩)を陥れてでも欲しかったモノだぁ!

うがいがこんなにも効果を発揮するとは…








はい。今、嘘食いにはまってます。
めちゃくちゃ面白いと思ってます。
実際には後輩に土下座とかしてましたが、何か?


先輩のプライド?威信?
そんなもの、グラム染色に前には小事!
小さなモノなのだよ!

コソ染め太郎のコソ染め日誌24

2011年12月15日 | こそ染め道場
こんにちわ。汚いモノ大好き、コソ染め太郎です。


ウダウダしてたらIDATENのウインターセミナーに申し込み損ないました。
今年は金曜夜から行けたかもしれないのに…
くやしいです!


ま、完全に自分が悪いんですけど。




さて、今日のコソ染めです。

まず初めにコレをご覧ください。
尿のグラム染色です。



数日前までSBT/ABPCを投与しており、以前から尿の混濁があったかは不明です。



ほうほう。
緑膿菌ですかな?



CAZのオーダーをしようかと思った所に尿検査の結果が帰ってきました。


白血球試験 3+
細菌簡易試験 +



おろ?


おろろ?


グラム染色道場の師範のブログにもありましたが、緑膿菌と腸球菌は細菌簡易試験(亜硝酸還元反応)が陰性になります。
って事は、緑膿菌じゃないのか?


う~ん、う~んとうなりながら文献やネットを探しますが、いまいち記述が見つかりません。
Google先生もお手上げの御様子。


ま、重症度は低そうだからCTXで初めちゃえ!



で、待ちに待った培養は…



緑膿菌!!




や、やられた…

検査を信じすぎてしまった…




これは緑膿菌は亜硝酸還元反応が陰性になる事があるくらいに考えておけばいいんですかね?
知ってる方いたらどうぞご教授を!

抗菌薬感受性セミナーの応募に関して

2011年12月07日 | お知らせします
コソ染め太郎とあんずのきしめんから連絡です。

抗菌薬感受性セミナーの応募に関して、現在諸事情により連絡先のメールアドレスren.iwai@pfizer.comがつながりにくくなっているようです。
応募がかなり来ているようです。定員を

ファイザー製薬の担当の方(岩井さん)のメールアドレスは以下でも可能です。
reren0521@gmail.comです。

よろしくお願い致します。

朝会はつづく

2011年12月04日 | カンファレンスルーム

 抗菌薬感受性セミナーのお知らせが出たり、忘年会のシーズンではありますが、朝会も勢いを増してます。コンパクトにまとめて話す訓練にもなります。
神経内科の先生の
http://blog.goo.ne.jp/kenju2007/e/1f4dec7f37e1f14d51388f761c5f90d7
のブログで登場する寺沢先生のお言葉のように、仲間を増やして勉強です。こそ染め先生たちも頑張ってます。
http://kyorin99.blog111.fc2.com/blog-entry-66.html
当院の救急の先生方も、勉強会を開催されているようです。まわったレジデント達の評判もすこぶる良いです。呼吸器も頑張らないと・・・。

コソ染め太郎のコソ染め日誌23(続き)

2011年12月03日 | こそ染め道場
こんばんわ。コソ染め太郎でございまする。


今日は前回の続きです。


前回のをご覧になってない方はコチラから↓
http://blog.goo.ne.jp/23c2230/e/74cf4d3cde19549f4ce5a55104bb8e44






という事で、今日のコソ染めです。

グラム染色と尿中抗原の感度、特異度を調べてきたよ。


グラム染色:感度 80%

すなわち
グラム染色で肺炎をひっかけられる確率=8割
って事みたいです。
(肺炎の診断基準は書かれておらず)


そして菌別では…

肺炎球菌
感度68.2%、特異度93.8%

インフルエンザ桿菌
感度76.2%、特異度100%

(大路剛;市中肺炎の起因菌の想定法,medicine vol45 no10 2008-10)


と、特異度ヤバス!
感度は抗菌薬投与済みだったりが影響しているんじゃないかという考察でした。



他の文献では…



これは何か現実的な数字に見えますね。
(グラム染色と培養の結果がどう合わないのか具体的な記述はありませんでしたが)
やっぱり培養で出てこない事は結構あるのかも…




一方、尿中肺炎球菌抗原の感度、特異度はと言うと…

感度 80.4%、特異度 97.2%(CHEST,2001)
感度 75%、特異度 84.1%(医学検査,2009)
感度 60~80%、特異度 70~90%(vs痰培)
感度 70~90%、特異度 70~90%(vs血培) (診断と治療,2009)
感度 82%、特異度 97%(J Clin Microbiol,2003)


Totalすると
感度60~80%、特異度70~97%

感度は少し低いのですが、特異度はかなり高いと言えるでしょう。


※肺炎球菌ワクチン接種直後、肺炎球菌感染症後2週間、小児は定着菌により
 偽陽性になる事があります。 Streptococcus mitisやStreptococcus oralis の
 感染症では交差抗原を有するため,偽陽性になることが知られています。
 また早期(3日以内)では偽陰性になる事があります。




う~ん。
思ったよりもグラム染色と尿中抗原の特異度が高いですね。

それに比べ僕は培養で出ない事が多いような気がします。
実際に僕のグラム染色と尿中抗原の特異度ってどんなモンなんでしょうか。
よし、計算してみるか!


グラム染色と培養の一致率=50%

尿中抗原と培養の一致率=33.3%




うわ~…


うわ~…


眼も当てられない。



特に尿中抗原ヤバイ!
マジで!?
これおかしいでしょ!
こんなんだったら検査の意味なし!


もう尿中抗原なんてやめましょ!
取るだけムダ!







ちょっと待って下さいよ。
痰の質が悪い可能性はないでしょうか?

そうですよ!
尿中抗原がこんなヒドイ検査なはずがないですよ!
Geckler4群以上でまとめてみましょう。


グラム染色と培養の一致率=57.2%

尿中抗原と培養の一致率=50%




ま、多少は見れるようになったかな?
N数が少ないんで何とも…


あとは技術的な問題だったり、尿中抗原の偽陽性に関する問診をしっかりやればもう少し上がるかもしれません。
今後も集めてN数増やしていきたいと思います。

でも、何か…




何か…





くやしいです!

マイコプラズマ肺炎

2011年12月03日 | こそ染め道場

コソ染め太郎とあんずのきしめんがいつもお世話になっております。 ブログ元管理人です。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211283911000189

Identification of a mechanism for lung inflammation caused by Mycoplasma pneumoniae using a novel mouse model

Results in Immunology
Volume 1, Issue 1, May 2011, Pages 76-87

Takeshi SarayaaE-mail The Corresponding Author, Koh NakatabCorresponding Author Contact InformationE-mail The Corresponding Author, Kazuhide NakagakicE-mail The Corresponding Author, Natsuki MotoibE-mail The Corresponding Author, Kuniko IiharadE-mail The Corresponding Author, Yasunori FujiokaeE-mail The Corresponding Author, Teruaki OkafE-mail The Corresponding Author, Daisuke KuraiaE-mail The Corresponding Author, Hiroo WadaaE-mail The Corresponding Author, Haruyuki IshiiaE-mail The Corresponding Author, Haruhiko TaguchigE-mail The Corresponding Author, Shigeru KamiyahE-mail The Corresponding Author, Hajime GotoaE-mail The Corresponding Author

a Department of Respiratory Medicine, Kyorin University School of Medicine, 6-20-2, Shinkawa, Mitaka City, Tokyo, Japan
b Niigata University Medical & Dental Hospital, Bioscience Medical Research Center, 1-754, Asashimachi-dori, Chuo-ku, Niigata 951-8520, Japan
c Laboratory of Infectious Diseases and Immunology, College of Veterinary Medicine, Nippon Jui Seimei-kagaku University, Musashino, Tokyo 180-8602, Japan
d NTT Medical Center Tokyo, Department of Diagnostic Pathology, Japan
e Department of Pathology, Kyorin University School of Medicine, Japan
f Division of Pathology and Central Clinical Laboratory, Kanto Central Hospital of the Mutual Aid Association of Public School Teachers, Japan
g Department of Immunology, Kyorin University, Faculty of Health Sciences, Japan
h Department of Infectious Diseases, Kyorin University School of Medicine, 6-20-2, Shinkawa, Mitaka City, Tokyo, Japan

Saraya T et al によるマイコプラズマ肺炎の論文がやっと出ました。 自分が5年以上の時間をかけた渾身の一発です。是非沢山の先生に読んで欲しいです。reviewなみの情報量になりました。

自分が証明したことは、過去の報告のintensive reviewをすると、人間のマイコプラズマ肺炎の病理像の報告は少ないが、気管支血管周囲のリンパ球、形質細胞浸潤が主体である(Table2)。

1. 人間のマイコプラズマ肺炎の病理像に類似したマウスモデルを確立した。 その成立にはTh2 dominantなhostの免疫応答(character)が必要である。

2. マイコプラズマ肺炎の重症化は菌のvirulenceというより、host-菌体成分による免疫応答が主体である可能性がある

3. 免疫応答はTLR-2を介する反応だということは以前よりノックアウトマウスで言われていましたが、innate immunityの活性化が 主体ではないか、、というのがこの論文の主旨です。

4. 実はマイコ肺炎の主役となる炎症を惹起する細胞はよくわかっていないのですが、自分のモデルでは、 Innate immunityの主役となるのは肺胞マクロファージの可能性が高く、TLR-2のup-regulation→MAPKの活性化→NFkβの活性化→サイトカイン産生、による。 (MAPKの阻害実験あり:Fig9)

5. マウスは菌体成分で感作させておくと、細胞性、液性免疫でともに認識しているが、肺内に集積するリンパ球は菌体成分に反応しないnon-specificなリンパ球である(Fig6. Supplemental data参照 ナイーブ cellが多い)。

  実は、人間のマイコプラズマ肺炎でも遷延させる本体がなにか、肺内に浸潤してくるリンパ球はマイコプラズマの菌に特異的なリンパ球かどうか、ということもわかっていないのです。この実験をとおしてnon-specificなリンパ球の集簇ではないか

 というのも結論の一つです。

6. 肺内リンパ球の集積に関わるサイトカインはMCP-1,特にRANTESが関与している可能性がある。


師走

2011年12月02日 | あんずのきしめんの部屋

青木先生のブログで取り上げていただいたからか、
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/b281f72ba012102ec6f6e1ecd2224364
はたまた、こそ染め日記に人気があるのかわかりませんが、アクセス数が増えております。科の中では症例報告の作成が進んでいたり、またKampo-maseter先生が水面下!?(なのか水面に顔を出しているのか)でいろんな企画を練っておられます・・。

コソ染め太郎のコソ染め日誌23

2011年12月02日 | こそ染め道場
全国の希少なコソ染めニストの皆さん、こんにちわ!コソ染め太郎です。


コソ染めしてますか~!?

してないですか~!?


それを染めればどうなるものか

危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし

染め出せばその一歩が道になる

迷わず染めよ
染めれば分かるさ!



行くぞー!












ダァァァァァアアアア!






別に引退を考えてる訳じゃないです。
ただの闘魂注入です。


という事でですね。
今日は昨日朝の勉強会でやった肺炎球菌性肺炎についてです。
Facebookでグラム染色道場の師範様より内容晒してとありましたので、瑣末ながら、また恐れながら書きたいと思います。







では今日のコソ染めです。



肺炎球菌




それはコソ染めニストにとっては多少なりとも思い入れのある菌のはず。
僕も大好きです。
何たってde-escalationの格好の的ですからね。

しかし、肺炎球菌は培養がしにくくグラム染色で肺炎球菌を疑っても出ない事が多々あります。
実際にどんな感じかと言いますと…

お、陽性双球菌ぽいな…


培養されず


これは来たんじゃない?


培養されず


連鎖球菌もあるけど、一部、肺炎球菌ぽい気がする。尿中抗原陽性だし…


培養されず


ブ菌?でも尿中抗原陽性だし、もしかしたら…


培養されず


尿中抗原陽性。これは出るでしょ。いや、出てくれ!


培養されず


これはもう出てくれないと困る。


出ました、肺炎球菌
でもMoraxella Catarrhalisまで陽性に…




室井さん、聞いてるか?
肺炎球菌、de-escalationできません!






これは…陽性双球菌だけど変形したり染色が悪いヤツもいるな…


肺炎球菌でした!
(AZM、CAM使用中でマクロライド耐性菌でした)



う~ん。難しい。
奥が深いぜ、肺炎球菌

という事でグラム染色の感度、特異度。
それに尿中抗原の感度、得意度を調べてみました。


今日は長くなったので続きは次回!
さよ~なら~!