静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

高齢化社会と認知症対策

2014-07-19 11:52:25 | トーク・ネットTalk Net
 高速道路/自動車専用道における認知症患者関連の警告対象件数が、全国で3,800件(2012年度)を数えるとのニュースを昨夜視た。自動車での逆走、自転車/徒歩での進入、ジョギング/徘徊などである。放映された事例を目にすると背筋が寒くなった。警告では済まず、事故の事例も増えているようだ。 走行中の運転者に与える有形・無形のストレス・事故が起きた場合の責任問題など、どこまで把握できているか不明だが、もう笑って済ませられる件数ではない。あと何十年かの間は増えこそすれ、減ることはないのだ。

 番組では対策として料金ゲートの進入防止強化、監視カメラ増設などを挙げていたし、道交法及び裁判での責任区分が、日本では何故か違法な侵入者にも、歩行者というだけで運転者に何割かの責任を問う慣習も改善せねば、と言及していた。これは、例えば赤信号で横断して跳ねられた歩行者に100%の責任を問わない間違いと同じであり、外国ではおよそ有り得ない理不尽な甘さである。この甘さを「日本的良さ」と言いくるめている限り、ぬるま湯社会から脱却できず、日本の<ゆで蛙>状態は進む。

 さて、認知症患者を持つ親族に賠償責任を問うべきか否か、の論争が遂に現実化した。踏み切りに侵入した患者が電車を止めた件での損害賠償請求判決のことだ。多様な論点があるようだが、要は、患者の家族が要介護認定を取りヘルパー等の支援を利用し、損害賠償保険に加入し、日頃から徘徊防止対策を積極的に講じていたか等、考え得る対応策を(仮に生活保護が必要な家計状態でも)執っているか、が問われたようだ。
 同時に、認知症患者にまつわる社会的トラブルは、7月7日投稿した「介護の社会化」で指摘したように、上に述べた個人レベルでの対策では不十分ゆえ、在宅と移設の中間的施設の拡充が必須であろう。唯、身体の一部が支援を必要とする状態での要介護と異なり、徘徊可能なほど元気な認知症患者介護の社会化は複雑で、且つ費やされる労力/費用は段違いに公的負担が大きい。

 世界最先端の高齢化を突っ走り続ける日本。長生きが目出度いことばかりではなく、高齢者犯罪や自殺の増加、高齢生活保護者の増大など、医療費増以外にも<負の側面>が大きくなりつつある。これらは費用数値に換算されにくいためか、現象的な嘆きで終わりがちだ。・・冷たいようだが、政府・自治体は、正しい高齢化社会対策立案のため、医療費に偏らない総合・網羅的な支出概算にそろそろ取り組み、周知せしむべき時ではないだろうか?
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