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プロ野球統一球反発係数に”規制緩和”?; 公差 vs 目標値

2014-07-19 14:12:05 | トーク・ネットTalk Net
 労働組合日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)は18日、東京都内で臨時大会を開き、1軍公式戦で使用されている統一球の反発係数について、現行の規則を緩和するよう日本野球機構(NPB)に求めることを決めた。 今季の統一球には、反発係数の基準値(0・4034~0・4234)が設定されているが、<選手会は上下限を定める基準値ではなく、一点の目標値を定めるようセ、パ各リーグのアグリーメント(申し合わせ事項)の改正を申し入れる。嶋会長は「上下限の真ん中あたりに目標値を決め、それから大きく外れなければいいのではないか」と話した>。 
 
 皆さんはこの報道を読み、何かひっかかりませんか?・・・どこがオカシイか?この記事内容に誤りが含まれてないと仮定したうえ、考えてみましょう。
 製造業の世界に身を置いた方ならピンとくるでしょうが、公式統一球の反発係数を管理するのは、まさに球の「品質管理」そのものです。品管のイロハでいうと、現在の基準値幅は品管用語にいう「公差 Tolerance」を指し、求めたい性能(=打球の飛距離)のバラツキを抑えるために設けられている筈です。一方、嶋選手会長がいう「目標値」は振幅幅を数値で管理しない場合、アバウトな目安でしかなくなり、性能のバラツキを抑えられません。→「上下限の真ん中あたりに目標値を決め、それから大きく外れなければいいのではないか」と話した>という言葉は振幅幅に触れていませんね。製造業界に居ないので無理はありませんが、仮に現在の係数基準幅をそのままにして、その真ん中にしてくれ、という意味なら実質的にメーカーが日々管理している筈のシグマ管理と何ら変わりはないと聞こえます。(ついでにいうと、この内容に”規制緩和”などと耳障りの好い見出しをつける新聞社も困ったものです。)

 春先に本件の騒がれた経緯が今ひとつ明瞭ではありませんけれども、飛びすぎたり・飛ばなかったりのバラツキに選手自身が気付いた始まりからだと思います。思うに、恐らくメーカーの公差管理が杜撰であったのが真の原因ではなかったでしょうか?ここの改善・解決策について何か報告はあったのでしょうか? バラツキが激しい場合、100%全数検査を一定期間続け、改善状況を注視しながらサンプルチェックに移行する、というのがセオリーです。この最低限のことが担保されないと、呼び名をどう変えてもバラツキ管理はできません。

 サッカー・バスケットボール・テニスなどと違い、ゴルフと同様、野球はフィールドサイズが統一されていない球技ですから、せめてボールの性能は限りなく精密にコントロールされないと安打記録の正統性がぐらつきますね。ホームランだけじゃなく、ヒット1本の成否が変わってきます。  
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