静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

異国に根を張らない/張れない新華僑の移住がもたらすものに留意しよう

2024-05-30 09:08:25 | 書評
◆【毎日】「心が折れそうに」 中国人移住者が“自由な”タイで明かした本音【バンコク石山絵歩、北京・小倉祥徳】 抜粋

(1) 飛魚さん(35)は中国東北部の遼寧省出身。短大を卒業した後、中学生向けの個人塾を開いた。塾には常時10~20人の生徒がいた。中国で将来を占う第一関門と言われる公立高校の入試「中考」に特化した指導ではなく「漢詩の奥深さを
   伝えたかった」。生徒や親からの評判は上々だった。ところが3年前、突然、閉鎖を余儀なくされた。習近平政権が学習塾の新規開設を禁止し、既存の塾にも非営利団体としてのボランティア活動しか認めないとの通達を出したからだ。
    事実上の「学習塾禁止令」の狙いは、家計負担の軽減によって少子化を食い止めること、そして貧富の差による教育格差の解消とされた。しかし、飛魚さんの受け止め方は異なる。
   「政府が認めた画一的な教育以外は原則、許されないということ。教育の豊かさが消えていく感覚を覚えた」

(2)許さんは移住後、タイ人の女性と結婚した。3歳になる長女に中国語を学ばせるため、小さいうちは中国の親戚に預けることも考えている。
   「娘が中国語を話せなければ、親族は中国人として認めてくれない。でも中学生ぐらいになったらタイに戻り、伸び伸びと育ってほしい」。その頃には、両親もタイに呼び寄せるつもりだ。

(3)中国を抜け出す新移民は、日米をはじめ世界各地に広がる。ただし、日本への移住者は、東京都心の高級マンションを購入する例が近年急増していることが象徴するように、富裕層中心だ。米国でも、メキシコとの国境付近で拘束される   
   中国人の不法移民が23年に急増したが、生活に行き詰まって逃避行するケースが多いとみられている。
    これに対してタイの場合は、中国と陸続きで文化的な親和性がある上、「中国よりも自由で開かれた社会というイメージがある」。
   さらに短期滞在のビザは不要で、海外移住の道を探る庶民や若者にとっては「生活費も安く、ハードルが低い」(いずれもシバリン氏)という面があるようだ。

(4)ストレスから中国を離れたとはいえ、異国に根を張って生きていこうとする人よりも、中国人コミュニティーの中で暮らし、本国とのつながりを生かして生計を立てる人のほうが多いという。新移民が中国人向けの観光ツアーを組んだ  
   り、購入したマンションで民泊を始めたりするなど、地元に利益が還元されないケースも増加。
小売業でも仲介業者を通さずに中国から安価な商品を輸入する移住者が有利で、タイ人の個人事業主らを圧迫する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 太字にした部分、これらは総称としての中国人全般に共通する居住観と海外移住の特徴であり、それは何百年前から続いた【華僑】の移住・生活パターンだ。
現在は移住の動機に貧窮だけでなく<自由への渇望>が加わった。此の意味で現在進行中の移民は【新華僑】と言えるだろう。日本の各都市に増え続ける中国人移住者の生活パターンや本国との繋がり方はタイにおける事例と何ら変わらない。それは欧米でも同じだ。 
 こういう新しい移住者たちは本国に親兄弟や親族をもつため、政府批判を表立っては怖くてできない。従い、これら【新華僑】が増えても中国政府を動かす原動力になり得るか?今のところは疑問だ。


唯、迎え入れる我々は「日本人とは違う文化的特徴を持つ人たちがこれからも増え続ける事を忘れないでおこう」と言い聞かせないといけない。『同文同種』などと根拠のない幻想に浸ってはならない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 道 東・道 央 の 旅  <2> | トップ | 道 東・道 央 の 旅  <3> »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

書評」カテゴリの最新記事