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<大阪・関西万博> 建設遅延にみる先見性の欠如と 過去に学ばない 根拠なき過信

2024-01-06 08:26:34 | 時評
【毎日新聞】◆ 大阪・関西万博 建設遅れの海外パビリオン10日にも着工へ 【野田  樹】抜粋
 来年4月開幕予定だが<参加国の辞退・大阪市への建築申請遅れ・デザイン選択の遅れ・建設工期未達の恐れ>などがここにきてハッキリ現れてきた。
 記事を整理すると、現在の問題点は以下。


(1)23年12月28日時点で建設業者と契約を結んだのは35カ国。一方、業者未定の国も20カ国に上り、このまま計画を進めるか自前建設を断念するか、最終決断を迫られている。
   24年4月には建設業界などの残業規制が強化される「2024年問題」に直面、工期は一層厳しいものになりそう。 

(2)パビリオンの建設には業者との契約の他、行政上の手続きも必要になる。大阪市の仮設建築物許可を得た後、民間機関などから建築確認を受けなければならない。
   12月28日時点で市の許可を得たのはイタリア、チェコ、モナコなど10カ国。このうち、市に建築確認済みの書類が届いているのはシンガポールとアイルランドだけ

(3)当初は、60カ国が自前で建設する「タイプA」を希望していた。資材高騰や人手不足を背景に、業界は早くから建設の遅れに警鐘を鳴らしてきた。しかし、協会が本腰を上げたのは23年7月に入ってからだ。
   8月には工期短縮の切り札として、協会が建設を代行し、参加国に内外装を委ねる「タイプX」を提案。半数程度の移行を見越し、25カ国分を先行発注した。提案後4カ月以上が経過しても、採用を決めたのは
   2カ国止まり。協会はタイプXについても24年1月中の着工を想定しているが、オリジナルのデザインへのこだわりや、「自国の手続きを途中で変更するのが難しい」との参加国の事情が移行を阻む。

(4)25カ国分を先行発注したタイプXは参加国に「不人気」で、今後も協会の思惑通りに移行が進むかは未知数だ。パビリオンとして使用しない場合、協会は飲食など別の用途に転用するとしている。
   ただ、Xは協会が建設費を立て替え、後に参加国から回収する仕組みのため、資材が余れば協会の負担が増えることになる
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 政府を含む初動キャンペーンの遅れ。受け身の姿勢。言語障壁を含む行政認可プロセスの非効率。タイプXの不人気(=美的センスの相違?)。『包括テーマが不鮮明』。
ここまでひどくなった遅延の要因は他にも多々あろう。最大の疑問と反省は≪1970年のプロジェクト管理の記録はどこまで残され、活かされたのか?≫だ。 

文書管理と保存を忌避するのは霞が関も地方自治体も変わるまいから、今回の不手際と杜撰さを知ると、過去から学ぶ姿勢などはなかったと断じざるを得ない。70年当時の担当者は既に現役を退いており、他界した人もいよう。記録文書で残さねば後世の人間に学ぶ手段は無い、文書記録を日本人ほど嫌い、後世に役立てない民族は他にあろうか?
失敗やミスをほじくり返されたくない一心から? これは政治の世界も同様の習性で、これでは、いつまでたっても進歩などできやしない。


 無論、当時と現在では経済活力が違い、産業界の衰退は比べようもなく、そのハンディキャップがある。ハンデがあるからこそ先見性と構想力を早めに活かす体制を官民揃って作らねばならなかった。2022年の東京オリンピックは贈賄汚職以外にも様々な不手際と非効率が目立ったが、此の万博も二度目の開催なのに過去の教訓が何も残らず活かされなかった点では同類だ。・・・天に唾を吐く情けなさでいっぱいになるが・・・『XXに付けるクスリはない』と母国の未来が尽々絶望的に映る。
コメント
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