静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

幼少期からの学力選抜と人的資源の最適配置: 親の経済格差が身分社会を産む現実 第3の道は? 

2024-01-09 09:34:23 | トーク・ネットTalk Net
【現代ビジネス】日本人は誤解している…小さい頃から「落ちこぼれ」に冷たいイギリスの学校の「シビアな現実」・・・谷本 真由美
 此の記事は、大学教員のイギリス人を夫にもつ谷本氏が小学生の息子を取り巻く教育システムについて実態を述べたもの。尤も重要な要点だけを全文引用する。
 イギリスに限らず、その精神を受け継いだアメリカも同様に<国を動かす人材資源配置の為に教育があり、其の目的に沿い早期から統一テストで能力選抜する>と谷本氏。
優秀者を早期選抜して資源を集中させる
 成績の良い人間を早期に選抜し、ダメな人間は合理的な理由で組織の外に出す。決断は実に早く冷酷です。感情ではなくデータでそれをやるのです。小学校でこの調子なので上位層が日本より強いのは当たり前です。
企業であれば収益に貢献しているかどうかで従業員を評価し、ダメなら外に出す。なんとも実にシンプルなのです。日本のマスコミや人文系は左翼が多いので、これまでアメリカやイギリスの教育は「自由を尊重」
とか「算数がゆるい」というごく一部のヒッピー系学校の教育を抜き出して全体のように伝えてきましたが、実態はまったく異なり実にシビアです。
 これまで私はアメリカの大学と大学院で教育を受け、家人もイギリスの大学の教員です。同僚や仕事関係者はアメリカやイギリスの大学と兼務の人もいたので、大学のことは把握していましたが、初等教育がこんな厳しくなっているのかと毎日が驚きです。

日本の「欧米は試験や詰め込み型教育を否定している」という報道はいったい何だったのかと感じていますが、このような初等教育における徹底的な現実主義、優秀者を早期選抜して資源を集中させることがイギリスの強みの源泉だと感じた次第です。そしてイギリスの遺伝子を受け継いだアメリカも似たようなことをやっています。
XやMeta(旧Facebook)での超高速なリストラも日本の感覚ではビックリですが、これらは当たり前の「選択と集中」を合理的にやっているにすぎないのです。

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 アメリカやイギリスで子育てをした経験がおありの方なら、谷本氏の述べている事実は驚くに当たらず、日本帰国後に感じた落差の鮮烈な記憶を忘れないだろう。
二人の息子をアメリカの学校で大学まで行かせた私もその一人。問われたら答えてきたが、想像力が及ばないのか、日本の現状への問題意識はボンヤリあっても、他国の現実と比較する視点をもつ人は非常に少ない。アメリカンスクール系列に子供を入れる人は徐々に増えているようだが、未だ例外的存在であり、其の子たちの日本国内での進路選択は容易でない。

昨年末の23日<自由競争がもたらす経済格差の極大化・・非共産主義ルールで<自己責任論の弊害>を除けるか?>のタイトルで、私は『「自由と機会平等の並存」は永遠の二律背反』と指摘。即ち、親の経済格差が招く教育投資の差は「人的資源の選択と集中」ポリシー下では完璧に捨象される。これが英米式自由だ。そして、谷本氏の言う通り、この自由が「国家としての強み」を維持している。 
  皮肉だが、それは全体主義独裁国家でのエリート養成に近似するものでもあり、多数派の大衆庶民が機会平等の無さに苦しんでいる。
コメント
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