落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

愛していても

2007年07月05日 | book
『禁じられた愛 それは愛なのか、それともレイプだったのか?』 メアリー・ルトゥルノー&ヴィリ・ファラウ著 村上能成訳
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愛三連発。
てゆーか昨日一昨日とセックス話だったのは、明らかにこの本を読んでたせいですね(爆)。我ながら単細胞。
つーてもそんなえっちな本ではありません。少なくとも書いてる本人たちは大真面目です。マジメなんだけどセックスしちゃったから一大事になったとゆー。

映画『あるスキャンダルの覚書き』の原作のモデルとなったメアリー・ケイ・ルトーノー事件の「加害者」と「被害者」による手記。
この事件に関してはもういろんなところで語られてるけど一応簡単におさらいしておくと、日本でも連日TVを賑わせたジョンベネ・ラムジー事件と同時期の1997年、シアトルの小学校で教師を勤めるメアリーという34歳の女性が児童強姦罪で逮捕された。相手は当時13歳の元教え子で現地では少数民族のサモア系の貧困層、一方ルーマニア系のメアリーの父親はかつて大統領候補にもなった保守派の大物議員で、彼女自身4人の子をもつ人妻でもあっただけでなく、逮捕時既に妊娠中の身だった。
翌年の出産を待って審理が始まり7年の実刑判決を受けたが、二度とヴィリに会わないという条件のもと3ヶ月で仮釈放。しかし1ヶ月もしないうちにふたりがほとんど同棲同然の生活をしていることが発覚、メアリーは再逮捕されて今度は本当に7年間収監されることになる。ところがわずか1ヶ月の同棲で彼女はふたりめを妊娠していた。
出産を挟んで刑に服したメアリーは2004年に仮出所、2005年にふたりは結婚(記事と画像)した。
手記は2度めの逮捕後の1998年に書かれたもの。スタバが“スターバック”になってる(笑)。

ここでひとつおさえておかないといけないのは、日本でもアメリカでも、未成年とヤったらそれはすなわち犯罪、ってことです。
それが社会のルール。大前提。「でも」も「もし」も「しかし」もなし。和姦でもなんでもとにかくヤったらアウト。触ってもアウト。見てもアウト。とにかく完全無欠なプラトニックでもなきゃ未成年と成人は恋愛してはいけない。プラトニックならよし。もしくはバレないうちに結婚しちゃう。日本もそーですね。未成年とヤッたら犯罪だけど、女は未成年でも16で結婚できるからさ。アメリカも結婚すれば大丈夫じゃないかなあ。
ただこの本を読む限りでは、ふたりの間にあったことはどうもいわゆる「強姦」ではなかったらしい。被害者とされるヴィリ本人がそうは思ってないし、ヴィリの母親も同じ(最後の方の2章は彼女の手記)。21歳という年齢差はあったものの、ふたりは肉体関係に及ぶまでに毎日のように電話で長話をしたり、詩を詠んだりいっしょに絵を描いたり、ごく当り前のカップルのように恋愛していた。そして避けがたい欲求に負けて一線を超えてしまった。
たまたま彼が未成年だっただけ、たまたま彼女に家庭があっただけ。
と、本人たちは思っている。
わたしのしたことは虐待なんかじゃない、オレは被害者じゃない。
なるほど。

でもですね。ちょっと待ってくださいよ。
人間には理性ってもんがありますよね。ヴィリの方は子どもだからしょうがないとして、メアリーはいい大人でしょう。堪えなさいよ。逃げなさいよ。4人の子の母親としてもっとしっかりせんといかんでしょうが。
大体避妊もしてないしー。オギノ式ったって結局妊娠してたら意味ないじゃーん(コンドームはまったく使ってなかったらしー。カトリックだから?アホかー)。
いやいやいやいや。そうじゃなく。
メアリーはもしかすると精神的に問題あるんじゃないですかねー。たぶんこの人、男の人に求められたら断れないタイプの恋愛体質なんじゃないかなあ。本人気づいてないかもしんないけど。若いころはけっこーいろいろあったみたいだし、最初の結婚も出来婚らしーし。ものごとの前後ってのを考えて行動してない。
そういう女と、異常にマセてヤリまくりたい欲求で股間ぱつぱつなワルガキが真剣に恋に堕ちた。事故ですね。天災です。どーしよーもない。あーあ。
ちなみにメアリーはべつにショタコン?ペドフィリア?ではないみたいです。それはそーだろー。

この事件の被害者はヴィリじゃなくて、メアリーと前夫の間の4人の子どもでしょう。当人たちは今は結婚してぼちぼちそれなりに平和に暮してるみたいだけど、こんなスキャンダルで母親を失った子どもたちは気の毒としかいいようがない。母親が“性犯罪者”だなんてどれだけ傷ついたことか。
前夫にはぐりは同情できない。夫婦の関係は事件以前に終わってたし、前夫の行動が大人気なさ過ぎる。コイツもものごとの前後さっぱり考えてない。個人的な問題として穏便に処理して、子どもたちに極力影響しないように済ませる方法だってあったのに、この前夫が無分別なせいでムダに事が大きくなってしまった。
この本読んでるとアメリカ人は大丈夫か?という気がしてくる。メアリーも相当いかれてるけど夫もアホ、メアリーの弁護士もカンペキに弁護する気ゼロやろ?というヌケ作ぶり。もともと裁判や捜査については大したことは書かれてないんで詳しいことはよくわからないけど、素人考えの範囲では、この事件は弁護次第では7年も食らわなくて済んだはずではないかと思う。つうかアメリカのこういう事件って被害者(ヴィリ)側は裁判で証言できんのかなー?ヘンなシステム。

それにしても、ヴィリがいくらマセてたとしても(たぶん逮捕以前の画像)、30代で13歳の子を本気で好きになるってどーかしてるよねえ。やっぱ。全然我が身に置き換えて想像できないよ。
手記からは本人たちの真剣さはじゅうぶんわかるし、アタマの具合はつりあいとれてるみたいだけどね(爆)。In fact , she and he are pretty evenly mached.ってやつ。
マ、よっぽどセックスがよかったんだね。それがすべての根源でしたってことか。・・・はあ〜。

ところでこの本の装丁デザインはどーなの〜?恥ずかしーなーもー。
訳文もミョーに芝居がかっててクサかった。ヴィリのパートはやたらガキっぽいし、メアリーの主語が“あたし”だったり。ふつーに訳してや。