ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

自由で幸福なミャンマー国民 前編 (幸福な国民11)

2012-02-02 | Weblog
 昨年11月に来日されたブータン国王夫妻、そして「G N H」という幸福キーワードからはじめた連載「ブータンの幸福」です。しかし回を重ねるたびに、ブータンから離れ出しました。なんと今回はミャンマー、アウンサンスーチーさんのビルマです。連載通番はそのままですが、シリーズ名を「幸福な国民」に変更します。
 
 近ごろ気になる国のひとつが、そのミャンマーです。ごく最近、たいへん急激な変化をとげつつあります。民主化と国民の幸福実現のために、国のかじ取りが大きく変わりつつあるようです。どうも本物のように思えます。もし早い時期に当面の目標に届けば、国民の圧倒的多数は獲得した自由と幸福に驚くことでしょう。世界中でも有数の幸福度の高い国になる可能性があります。
 ミャンマーすなわちビルマは、国土面積が日本の1.8倍。人口は5300万人ほどと東南アジアでも大きな国です。国民は勤勉で辛抱強く、手先が日本人よりも器用。識字率は9割と高く、イギリスの植民地だったため英語を理解するひとも多いそうです。周囲にはビルマ、中国、ラオス、タイ、バングラデシュ、インドの6カ国が取り囲むという、地政学的にも重要な位置にある国です。
 しかし長く軍政下にあり、政敵や反抗する少数民族に対して容赦しない。殺害や投獄はあたりまえで、野党NLDを率いるアウンサンスーチーはごく最近まで、10数年間も自宅に軟禁されていました。
 言論報道の自由もなく、世界報道自由度ランキングをみても、2011年はビリから11位、2010年はワースト5位。国民の所得はアジアで最低レベル。「アジアを代表する自由と豊かさのない最貧国のひとつ」とまでよばれていました。G D Pは356億米ドルで福井県なみ。
 また孤立国家のひとつで、米国を中心とする国際経済制裁を長く受けて来た。同様の孤国北朝鮮と連携し、ミサイル、地下基地、核兵器開発で北と協力している危険な軍事国家とみなされています。

 そのように劣悪とみなされていたミャンマーがいま、あれよあれよという間に大変革を起こし出したのです。政治犯の釈放も進みつつあります。暴力革命によらず、平和裏に現政権が脱皮に成功すれば奇跡です。2011年11月以降の動きをみてみます。

11月18日 A S E A N首脳会議に出席した野田総理はバリ島でミャンマーのテイン・セイン大統領と首脳会談。野田はセインが進めている民主化・国民和解融和の動きを歓迎すると評価した。また日本で本年開催予定の日メコン首脳会議への大統領の出席を希望。セインは「訪日が実現するよう努力したい。野田総理にはミャンマーを訪問していただきたい」と話した。またASEANの2014年議長国にミャンマーが決定した。
 参考までにアセアン東南アジア諸国連合10カ国を記します。数字は概数人口万人。インドネシア2億4千万、フィリピン1億、ベトナム9千万、タイ7千万、ミャンマー53百万、マレーシア3千万、カンボジア14百万、ラオス6百万、シンガポール5百万、ブルネイ40万。

11月30日 クリントン国務長官がミャンマー入り。テイン・セイン大統領、翌日にはアウンサンスーチーと会談。市民代表や少数民族指導者にも会った。米国務長官の訪ビルマは57年ぶり。1955年のダレス以来。

12月25日 玄葉外務大臣がミャンマーにセイン大統領を訪ねた。改革に指導力を発揮していることを高く評価すると、玄葉は述べた。またカチン州の少数民族武装組織との停戦、労働団体法の制定と人権状況改善、スーチー女史率いる野党N L D がこの4月1日の国会議員補欠選挙(48議席)に参加できるという大進展を玄葉は評価した。セインは「民主主義国家として発展するためにも経済発展は重要。経済面また人材育成のため、日本の支援を得たい」

1月 テイン・セイン大統領がはじめて外国メディアの取材に応じた。彼は軍政下の2007年10月より首相、民政移管にともない2011年3月より大統領。この日の会見記事は「Newsweek」2月1日号に掲載されました。ブログ次回、後編で紹介します。

1月12日 枝野経済産業省がミャンマー入り。同行したのはクボタ、東芝、スズキ、太平洋セメント、シャープ、JX日鉱日石エネルギー、ヤマハ、三井物産など14社の代表。

1月31日共同 テイン・セイン大統領は訪問先のシンガポールで地元英字紙の会見に応じ「北朝鮮から核兵器を調達していない」と述べ、民主化路線の継続を表明した。

2月1日共同 ミャンマー連邦議会で財務相が対外債務額をはじめて発表。約110億ドル。これまで公表されたことは一度もなかった。

2月1日日経新聞朝刊 日本政府は新興途上国へのインフラ輸出拡大のための支援を決定。対象国はミャンマー、カンボジア、インドネシア、パナマ、マレーシア、モロッコの6カ国の10事業、総額1兆円規模。ミャンマーには2事業、上下水道下水処理施設の整備(東洋エンジニアリング)、ヤンゴンの火力発電所の補修(三井物産)

 発電については中国がすすめていたカチン州の水力発電所建設が、カチンの激しい反対世論を考慮し、ミャンマー政府の英断で中止になった。この発電所は電力の 9割を中国に送ることになっていた。またダウェー港周辺では工業開発が計画されているが、ミャンマー電力相は公害問題を危惧する住民の反対を理由に、石炭火力発電所の建設中止を表明していた。電力の安定供給は、ミャンマーの産業発展と民政向上に欠かせない基本条件。
 いずれにしろ、ミャンマーでは自由にモノがいえる雰囲気が高まっていることは確かなようです。現状でもすでに奇跡的です。北朝鮮やイランなども、注視していることでしょう。
<2012年2月3日 続く>
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