雑誌「月刊京都」3月号がパン特集をやってます。「愛される京のパン屋さん」。2月9日に発売されましたが、ずいぶん好評です。なかでも興味深いのは、ロバのパン屋を取り上げたこと。
「ロバのパンって知ってますか?」という質問に「えっ! なつかしい~! なんで今ごろロバのパン?」とこたえるのは、50歳代以上の方、なかでも団塊世代でしょう。
かつて昭和30年代前半、ロバがひく馬車にパンを満載しておじさんがやって来た。そんな時代がありました。テーマソングは近藤圭子さん歌う「ろばのおじさんチンカラリ~ン♪ チンカラリンロンやって来る~♪」。名曲でした。
最盛期には全国160軒もの代理店が馬車で蒸しパンを売ってまわりました。出没したのは主に静岡県以西、中部、関西、中四国、九州。ですので東日本出身者はあまり御存じない。
ロバのパン本部は正式名称をビタミンパン連鎖店本部といい、会社はずっといまも京都です。しかし昭和30年代末ころからは馬車を止めてライトバンになってしまいました。
現在も京都では本部三代目の桑原省三さんと、手伝いの山村さんがライトバンで、京都市内、亀岡市、向日市などで営業されています。また代理店も減ったとはいえ、いまも三重、岐阜、徳島、高知でバン営業を続けています。あっぱれロバのパン屋さん。
実は今回のロバのパン取材で、わたしも編集部のお手伝いをしました。20年も前に出版した本、『ロバのパン物語』の著者だからです。かもがわ出版・1993年刊・南浦邦仁著。この本は、ロバのパン屋の謎を解き明かした名著です(w
京都産業大学近くのロバのパン屋本部で、三代目とともにインタビューを受けましたが、短文も寄せました(掲載時に長すぎるとのことで、一部短縮されましたが。以下は送稿文です)
ロバのパン屋が活躍した時代、馬車売りが最盛期だった昭和三十年代前半は、ちょうど映画「ALWAYS 三丁目の夕日」と重なります。団塊世代は小学生でしたが、一個十円の蒸しパンを買うお金もない。そんな子どもも多かった。
歌手の森進一さんはこう語っています。「子どものころ、私たち家族は貧乏でした。五円か十円ほどのロバのパンを買うお金も、家には満足にありませんでした。子どものころの切ない思いというものは、特に食べ物に関しては強く残るようです。今でも『ロバのパン』の歌を流しながら馬車の通る情景は、鮮明に記憶に残っています。」
しかし金銭や物質的に貧乏でも、希望と明るさだけはありました。本当の幸福とは何か? わたしたちにいま必要なのは、本当の豊かさをじっと考えることかもしれません。
ずいぶん生意気な原稿ですが。ところで同誌にはステキな案内が載っています。近藤圭子さんが歌うテーマソングCD「パン売りのロバさん」が読者5名にプレゼントされるのです。興味ある方は本屋でご覧ください。もちろん購入もよろしく。
<2013年2月11日>
「ロバのパンって知ってますか?」という質問に「えっ! なつかしい~! なんで今ごろロバのパン?」とこたえるのは、50歳代以上の方、なかでも団塊世代でしょう。
かつて昭和30年代前半、ロバがひく馬車にパンを満載しておじさんがやって来た。そんな時代がありました。テーマソングは近藤圭子さん歌う「ろばのおじさんチンカラリ~ン♪ チンカラリンロンやって来る~♪」。名曲でした。
最盛期には全国160軒もの代理店が馬車で蒸しパンを売ってまわりました。出没したのは主に静岡県以西、中部、関西、中四国、九州。ですので東日本出身者はあまり御存じない。
ロバのパン本部は正式名称をビタミンパン連鎖店本部といい、会社はずっといまも京都です。しかし昭和30年代末ころからは馬車を止めてライトバンになってしまいました。
現在も京都では本部三代目の桑原省三さんと、手伝いの山村さんがライトバンで、京都市内、亀岡市、向日市などで営業されています。また代理店も減ったとはいえ、いまも三重、岐阜、徳島、高知でバン営業を続けています。あっぱれロバのパン屋さん。
実は今回のロバのパン取材で、わたしも編集部のお手伝いをしました。20年も前に出版した本、『ロバのパン物語』の著者だからです。かもがわ出版・1993年刊・南浦邦仁著。この本は、ロバのパン屋の謎を解き明かした名著です(w
京都産業大学近くのロバのパン屋本部で、三代目とともにインタビューを受けましたが、短文も寄せました(掲載時に長すぎるとのことで、一部短縮されましたが。以下は送稿文です)
ロバのパン屋が活躍した時代、馬車売りが最盛期だった昭和三十年代前半は、ちょうど映画「ALWAYS 三丁目の夕日」と重なります。団塊世代は小学生でしたが、一個十円の蒸しパンを買うお金もない。そんな子どもも多かった。
歌手の森進一さんはこう語っています。「子どものころ、私たち家族は貧乏でした。五円か十円ほどのロバのパンを買うお金も、家には満足にありませんでした。子どものころの切ない思いというものは、特に食べ物に関しては強く残るようです。今でも『ロバのパン』の歌を流しながら馬車の通る情景は、鮮明に記憶に残っています。」
しかし金銭や物質的に貧乏でも、希望と明るさだけはありました。本当の幸福とは何か? わたしたちにいま必要なのは、本当の豊かさをじっと考えることかもしれません。
ずいぶん生意気な原稿ですが。ところで同誌にはステキな案内が載っています。近藤圭子さんが歌うテーマソングCD「パン売りのロバさん」が読者5名にプレゼントされるのです。興味ある方は本屋でご覧ください。もちろん購入もよろしく。
<2013年2月11日>
お元気そうで何よりです。かれこれ通算10年ぐらいになりますが、皆さんよろこんで戴いて楽しくやらせてもらっています。
また、お会いしたいと思っておりますのでその折はよろしくお願いします!