世界を震撼させた米連邦債のデフォルト(債務不履行)の危機は、今日になってやっと回避されました。暫定予算も可決され、閉鎖されていた政府機関も再開されます。アメリカの政治は一体どうなってしまったのか? 世界中の眼が注がれました。
興味深いのは中国の反応です。ベンジャミン・カールソン氏は次のように記しています。「アメリカ人は、今回の閉鎖は政府の機能不全の証とみている。しかし中国では、ある種の強さの表れとして捉える評論家が少なくない。今回のような状況は、強い経済力と国民の意思を反映する政治力を備えた民主主義国家でしか起きない……そのような羨むような声が、中国のソーシャルメディア上にはあふれている」
ある中国人はこう語っている。アメリカのシステムでは、共和党と民主党と大統領が議論を戦わせるのはごく普通のことであり、どこの国でも本来はそうあるべきだ。
中国の多くのひとは「中国で同じような事態が起きたら、すぐに国全体が大混乱に陥ってしまう。だから絶対に起きない」
また最大の驚きは、政府機関閉鎖後もアメリカの州や自治体レベルの政府は平常通りに機能していること。アメリカ在住のある中国人は「閉鎖されて何日も経つのに、驚いたことにアメリカ人は誰も心配していない。連邦政府が閉鎖されても、地方政府は機能し続けている」
中国の一党支配体制では、アメリカのように極端な論争や、開かれた議論が行われる余地はない。
大澤真幸氏は「エコノミスト」誌上で次のように語っておられる。資本主義社会では、経済制度よりも政治制度の方が、基本的に重要な要因である。だから中国の将来には、懐疑的にならざるを得ない。
「中国では、政治制度に多元性がない。こういう制度のもとでは、経済成長のキャッチアップはできても、追いついてしまった後の発展は難しい。強力な国家が自由なイノベーションを望まず、その抑制を図るからである」
アメリカの上下両院のネジレは「決められない政治」体制を産んでしまいました。一方の日本では国会のネジレは解消し、「何事でも決めやすい政治体制」に急変してしまいました。
日本はアメリカ型ではなく、一党独裁の中国型に似て来たとも言えます。注意すべき危険な状態かもしれません。
参考『ニューズウィーク』電子版10月15日 ベンジャミン・カールソン「アメリカ政府機関閉鎖をうらやむ中国人―閉鎖危機は政府の機能不全のせいではなく、成熟した民主主義国家を見る人々もいた」
『週刊エコノミスト』10月22日号 大澤真幸・橋爪大三郎・保坂俊司鼎談「近代資本主義のあり方と日本経済への示唆」
<2013年10月17日>
興味深いのは中国の反応です。ベンジャミン・カールソン氏は次のように記しています。「アメリカ人は、今回の閉鎖は政府の機能不全の証とみている。しかし中国では、ある種の強さの表れとして捉える評論家が少なくない。今回のような状況は、強い経済力と国民の意思を反映する政治力を備えた民主主義国家でしか起きない……そのような羨むような声が、中国のソーシャルメディア上にはあふれている」
ある中国人はこう語っている。アメリカのシステムでは、共和党と民主党と大統領が議論を戦わせるのはごく普通のことであり、どこの国でも本来はそうあるべきだ。
中国の多くのひとは「中国で同じような事態が起きたら、すぐに国全体が大混乱に陥ってしまう。だから絶対に起きない」
また最大の驚きは、政府機関閉鎖後もアメリカの州や自治体レベルの政府は平常通りに機能していること。アメリカ在住のある中国人は「閉鎖されて何日も経つのに、驚いたことにアメリカ人は誰も心配していない。連邦政府が閉鎖されても、地方政府は機能し続けている」
中国の一党支配体制では、アメリカのように極端な論争や、開かれた議論が行われる余地はない。
大澤真幸氏は「エコノミスト」誌上で次のように語っておられる。資本主義社会では、経済制度よりも政治制度の方が、基本的に重要な要因である。だから中国の将来には、懐疑的にならざるを得ない。
「中国では、政治制度に多元性がない。こういう制度のもとでは、経済成長のキャッチアップはできても、追いついてしまった後の発展は難しい。強力な国家が自由なイノベーションを望まず、その抑制を図るからである」
アメリカの上下両院のネジレは「決められない政治」体制を産んでしまいました。一方の日本では国会のネジレは解消し、「何事でも決めやすい政治体制」に急変してしまいました。
日本はアメリカ型ではなく、一党独裁の中国型に似て来たとも言えます。注意すべき危険な状態かもしれません。
参考『ニューズウィーク』電子版10月15日 ベンジャミン・カールソン「アメリカ政府機関閉鎖をうらやむ中国人―閉鎖危機は政府の機能不全のせいではなく、成熟した民主主義国家を見る人々もいた」
『週刊エコノミスト』10月22日号 大澤真幸・橋爪大三郎・保坂俊司鼎談「近代資本主義のあり方と日本経済への示唆」
<2013年10月17日>