ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

資源大国 日本 (2)電力

2013-08-31 | Weblog
 アメリカでは原発の廃炉が相次いでいます。シェールガス・オイル革命で、エネルギー資源価格、特にガスの価格が大幅に下落した。そしてガス火力発電のコストが、安価とされる原子力発電のそれを下回ってしまったためです。
 原発のコストは決して安くはない。福島の事故をみるまでもなく、長いスパンでは非常に高コストでリスキーなのが原発です。シェールガス革命が原発の仮面をはがしたのかもしれません。

 中東ではエジプト、そしてシリアと動乱が続いています。そのため原油と液化天然ガス(LNG)価格が暴騰しています。なかでもLNGは火力発電の中核です。ガソリン価格の高騰はつらいですが、LNG価格の上昇と輸入量の大幅増加は、原発の停止している現在の日本では大問題です。貿易赤字の圧倒的部分は、大量にして高価な液化天然ガスが占めています。
 片やシェールガス革命で原発をどんどん廃炉化しているアメリカ。一方、円安と原発停止のために貿易収支が危機的状態にある日本。日本政府がTPPを急いで推進しているいちばんの原因は、アメリカの安価なシェールガスを輸入したいためであるともいいます。アメリカは、自由貿易協定を結んでいない国へのガス輸出を、原則禁止しています。
 アメリカではガス価格は4ドル弱(単位100万BTU)。ところが日本が輸入している液化ガス(LNG)は同単位で20ドル近い。アメリカは国内に張り巡らせたパイプラインで気体のまま、わずか4ドル以下の価格で発電所なりは供給を受けています。しかし日本へは液化しないと運搬できません。超低温のLNGに転換し、専用タンカーで運ばねばなりませんが、液化と運搬経費はあわせて6ドルほど。原価の4ドルと合わせても約10ドルです。ところが日本の現状は、産ガス国からのING輸入価格は20ドル近い。

 石炭以外にはエネルギー資源がない、とされる日本ですが、実はエネルギー資源大国であると近ごろ叫ばれ出しました。メタンハイドレートです。日本を取り囲む海の底に、膨大な天然ガスが眠っています。この夏、政府の調査船が日本海の海底を調べました。予想通り佐渡島南西沖、能登半島との間の海底で、大量のメタンハイドレートが確認され、その後は島根県隠岐島の東でも発見されつつあります。日本海に眠るガス塊だけでも、日本の総ガス需要の数百年分に相当するという見解まで出ています。

 アメリカのシェールガス革命は、長年にわたる採掘技術の革新がもたらした成果です。イノベーションが、高いコストゆえに不可能とされた採掘を、わずか3ドル台の販売価格にまで引き下げたのです。
 なぜ日本では海底メタンで同様の革新が起こせないのでしょうか? 環境破壊には十二分に注意を払いながらも、大至急の採掘と輸送技術の革新を行うべきだと確信します。日本に必要なのは、既得権や利権にすがることではなく、国民と世界に向けたイノベーション、すなわち貢献のはずです。
<2013年8月31日>
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