ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

ヒトとタバコ はじめての出会い

2008-07-26 | Weblog
 現生人類がアフリカで誕生したことはよく知られています。彼らは延べ三度にわたって、集団をなしアフリカから世界各地に拡散して行ったそうです。
 日本人の最初のルーツは、28000年ほど前にアフリカを出発したグループの末裔です。DNA分析ではC3系統というそうですが、インドを素通りして一方はインドネシア、パプア・ニューギニア、オセアニア、オーストラリアへと移動している。
 もうひとつのグループは南に向かう仲間とは別れ、東南アジアから北上した。モンゴル、中央アジア、そしてシベリアに達する。一部は朝鮮半島やサハリンを通って、日本列島に到着する。縄文時代のはじまる一万年以上も前、二万数千年も昔、旧石器時代のことでした。
 彼らは原日本人です。このC3系統DNAは、頻度は低いが歴然と現代日本人にみられるという。
 そしてシベリヤに達したグループのいくらかは、当時氷河期で凍結していたベーリング海峡を渡り、アラスカに達する。アメリカ大陸に渡った最初の人類でした。約二万年前のことですが、マンモスやトナカイを追っての大移動であったという。
 しかし北部米大陸を覆っていた大氷床にさえぎられ、彼らは南方へ向かうことができなかった。8000年もの間、極寒の地に閉じ込められたのです。そして12000年ほど前、地球温暖化が徐々にはじまり、彼らは移動を開始する。それから1000年ほどの内に、南米の南端まで達したという。11000年前には、南米最南端のホーン岬にまで達したのである。

 中南米に着いた彼らの目前には、氷結の平原とはまったく異なる豊かな植生が拡がっていた。ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、ナンキンマメ、インゲンマメ、カボチャ、カカオ、パパイア、アボガド、トウガラシ、パイナップル、ヒマワリ、ゴム、バニラ、ヒョウタン、そしてタバコなど。雪と氷の国に八千年も閉じ込められていた彼らには、パラダイスそのものであったろう。出アフリカ後、16000年ほどがたってからの出会いでした。
 タバコのことは、1492年のコロンブスのことばかりが強調されますが、一万余年前に、大陸にたどり着いた彼らがまず発見し利用したのです。
 おそらく枯葉を火にくべたとき、その紫煙からタバコの意味を知ったのでしょう。ひととタバコのおつき合いは、実に古い。

 崎谷満著『DNAでたどる日本人10万年の旅』(昭和堂・本体2300円)を参考にさせていただきましたが、素晴らしいおすすめ本です。
 日本人のなりたちについて同書では、Y染色体DNA分析の結果、後期旧石器時代にまず、C3系統のヒトたちが日本列島にたどり着く。
 そして縄文時代にはD2系統のヒトたちが列島に入ってくる。意外なことに現代日本人のDNAは、D2系統が主流である。
 弥生時代には大陸半島からO2b系統がやってくる。しかしその数は予想より少ない。
 現代日本人は、縄文の血をひくものがもっとも多く、弥生人の渡来は意外と少なかったことが知られる。また上記以外にも多様なDNAが散見される。日本人のなりたちは、実に多様であることを実証された、すごい本です。
 ※「若冲 天井画」はしばらく休載します。バテました。
 <2008年7月26日 あまりにも長い旅>
 
コメント
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