映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ブライト・スター 一番美しい恋の歌

2014年08月02日 | 映画(は行)
汚れなくあるからこそ、にじみ出る艶かしさ



* * * * * * * * * *

夭折した英国ロマン派詩人ジョン・キーツと
その若き恋人ファニー・ブローンのロマンスを描きます。


1818年ロンドン郊外ハムステッド。
駆け出しの詩人キーツ(ベン・ウィショー)は
親友の編集者ブラウンの家に居候していましたが、
隣人ブローン家の長女ファニー(アビー・コーニッシュ)と恋に落ちます。
しかし、キーツは結核を患い・・・。


1800年前後、イギリスの片田舎という背景が私は好きなのです。
ジェイン・オースティンの描く小説の時代でもある。
イギリスの田園風景。
イングリッシュ・ガーデンとして、今もそんな風景に癒やしを覚える方も多いですね。
現代と同じく恋に憧れる女性たちは、
けれども今とは比べ物にならない不自由さに縛られている。



ファニーは、フリルをたっぷり使った洋服を作るのが大好き。
しかし思ったことは遠慮無く言う。
ちょっと生意気で鼻っ柱が強い感じの女性として描かれています。
詩などほとんど解しなかった彼女が、
キーツの詩の冒頭に惹かれ彼に興味を持ちます。
二人は気が合いよく一緒に散歩をしたりしますが、
まるでお目付け役のようにいつも彼女の弟と妹が一緒。

男女の自由な恋愛など考えられない。
女性にとっては結婚こそが初めての体験でなければならない。
(まあ、あくまでも表向きは・・・ということですが)。
いえ、ほんのちょっと前までは日本もそうだったと思うのですが、
いつからこんなに自由になってしまったのか・・・? 
謎。



彼女の母も二人の気持ちは知っていながら、
お金のないキーツとの結婚は考えられないと思っているのです。
しかしそれでも二人の一途さに負けて、婚約をしますが
既にキーツは病で弱り切っていて、プラトニックのまま。


そうであるからこそ、キーツの詩と同じく
美しくロマンティックで在り続ける。
プラトニックで清廉であるからこそ、にじみ出る艶かしさというものもあるんだなあ・・・
と思う次第。



うーん、しかし世俗にまみれたオバサンとしては
キーツの詩も二人の関係も、やや感傷的にすぎるかな・・・?
とも思ったりして。



ファニーが裁縫を愛しただけあって、
作、布がとても美しく描写されています。
ファニーの衣装も決して派手過ぎず質素でありながらとてもオシャレだったり、
光に透けたカーテンが風に揺れたりするさまもステキ。
またファニーの弟役の子(トーマス・サングスター)が、なかなかステキなんですよ。
でもこの子、絶対以前に見たことある、と思ったのですが、
「ラブ・アクチュアリー」に子役で出演していた。
・・・うーん、でもそれを見たのはものすごく前だし。
さらには「ノーウェア・ボーイ」のポールマッカートニー役だったそうで。
どうやら、その記憶でしょうか。
ぜひまた別の作品で見たいです。



ブライト・スター いちばん美しい恋の詩うた DVD
アビー・コーニッシュ,ベン・ウィショー,ポール・シュナイダー,ケリー・フォックス
東宝


「ブライト・スター 一番美しい恋の歌」
2009年/イギリス・オーストラリア/119分
監督・脚本:ジェーン・カンピオン
出演:アビー・コーニッシュ、ベン・ウィショー、ポール・シュナイダー、ケリー・フォックス、トーマス・サングスター
映像美★★★★☆
ロナンチック度★★★★☆
満足度★★★☆☆