映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

パーフェクトワールド

2008年08月13日 | クリント・イーストウッド
(DVD)
ケヴィン・コスナーとクリント・イーストウッド共演という、実に豪華な作品。
ケヴィン・コスナー演じるブッチ・ヘインズは、脱獄囚なんです。
逃走中、民家に押し入って、8歳の少年フィリップを人質としてさらに逃走。
この脱獄犯と人質の少年に芽生える奇妙な友情を描いていきます。
この脱獄囚を追うのが警察署長のレッド・ガーネット。
実は彼は、ブッチがまだ10代の頃、彼を少年刑務所に送ったことがあるのですが、
それを契機に、彼は犯罪の常習犯となっていく。
彼の父親というのがまた、どうしようもないチンピラで、
その父親と暮らすくらいなら、少年刑務所の方がマシだろうという判断であったのですが・・・。
そのことが気になっていて、責任感から、是が非でもブッチを捕らえようとするレッド。

ブッチは自分の不幸な少年時代と、宗教上から楽しみのないフィリップの身の上を重ね合わせるのですね。
もともと根は悪い奴には見えない・・・。
でも実際は人の命を奪うことにさしたる抵抗感も持たない、殺人犯のわけです。
・・・ですが、ケヴィン・コスナーは、見るからに、根が善人と見えすぎちゃって、
この映画の場合どうなのかなあ・・・と、ちょっと思いました。
もっと、見るからに悪人面のほうが良かったのではないでしょうか。

クリント・イーストウッドは、まあ、自ら監督を務めているわけですから、
おいしい役を自分で取っちゃいましたね。
同行する犯罪心理学者の女性、初めはお互い不信感いっぱいだったのが、次第に信頼し合っていく様など、いい感じです。

ハロウィンの日の翌日、という設定が利いていまして、
フィリップの家は「エホバの証人」を信仰する母親の方針で、
ハロウィンの仮装も、クリスマスも、何もなく、お祭りの綿菓子も食べたことがないという。
けれど、フィリップはそれにあこがれていて、
あるお店で、お化けのお面と衣装を盗んでしまう。
終始少年が身に付けることになるそのお面が、ここでは大変印象深いアイテム。
少年は、きちんとブッチの善の部分、悪の部分を見分けていたと思います。
そして、少年が悪の部分を滅ぼし、善の部分を生かすという役割を持つのですね。
ところどころにある、ちょっぴり苦いユーモアも利いていて、
なかなか見ごたえのある作品です。

1993年/アメリカ/138分
監督:クリント・イーストウッド
出演:ケヴィン・コスナー、クリント・イーストウド、ローラ・ダーン、T・J・ローサー


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2 コメント

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懐かしい ()
2008-08-14 09:35:57
懐かしい作品ですね。
でも、たんぽぽさんが書かれている記事を読まないと、あらすじが思い出せませんでした。
あまり、自分の中には残ってなかったんですね。
出演者が豪華だった・・・ その記憶しかありませんでした。  
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私もすぐ忘れます (たんぽぽ)
2008-08-14 19:43:37
>亮さま
ほんとうに、一度見たくらいの映画では、すぐ忘れてしまうことが多いですよね・・・。
だからこそ、記録を付けておくことにした・・・というのが、そもそもの始まりなんです。ブログ以前からの記録もあるのですが、簡単すぎて、使い物になりません・・・。
でも、忘れた方が、また、新たな気持ちで見ることができて、お得です!
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