映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

キル・ユア・ダーリン

2014年07月09日 | 映画(か行)
ゲイがち~っとも気色悪く感じられない、稀有な作品



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本作は、日本では公開されなかったのですが、
ダニエル・ラドクリフに、今人気上昇中のデイン・デハーン出演ということで、
公開しても結構人気はでたのでは?と思うのですが。
ボーイズ・ラブですし・・・。


本作を見る前の予習。
1955年~1964年ころ、米国文学界で異彩を放ったのが
“ビート・ジェネレーション”と呼ばれるグループ、あるいはその活動。
ジャック・ケルアック、ウィリアム・バロウズ、
そしてアレン・ギンズバーグらがその代表ですが、
本作は彼らが実際に関わったある殺人事件をもとにしています。


1944年、アレン(ダニエル・ラドクリフ)は、
名門コロンビア大学に入学しますが、
そこで型破りで知的な美青年ルシアン(デイン・デハーン)と知り合います。
ルシアンを通じて知り合ったジャックやウィリアムとともに、
新たな文学・芸術を目指そうと放蕩の限りを尽くしますが・・・。
ルシアンには旧知の同性愛者、デビッド・カマラーという男が執拗につきまとっており、
彼らはある事件に巻き込まれていきます。


ルシアンは金髪の美青年。
その存在だけでなんとなく惹きつけられてしまうというオーラがありますね。
ロイド眼鏡のダニエル・ラドクリフは
ハリーポッターのイメージがそのままですが、
でも、これまで真面目で勤勉一筋、そしてウブ
という役どころがうまく表されています。
アレンはルシアンによって未知の破壊的世界へ誘われていくのですが、
次第にルシアンに友情以上の思いを抱いていくというところも、
非常に説得力があります。
本作はゲイがち~っとも気色悪く感じられない、稀有な作品・・・。


最後のほうで語られる殺人の罪状の判断のところが、
興味深く感じられました。
あくまでも「当時」のことだと思いますが、
同性愛者でないものが、同性愛者に迫られて相手を殺してしまっても罪は軽い。
しかし本人が同性愛者であれば話は別、というのです。
そこで、ルシアンが同性愛者であったか、そうでなかったかが大きな問題となる。
・・・今は昔ということなのでしょう。
なかなか興味深い作品でした。

「キル・ユア・ダーリン」
2013年/アメリカ/103分
監督:ジョン・クロキダス
出演:ダニエル・ラドクリフ、デイン・デハーン、マイケル・C・ホール、ジャック・ヒューストン、ベン・フォスター
ボーイズ・ラブ度★★★★☆
文学の歴史度★★★☆☆
満足度★★★☆☆