映画と本の『たんぽぽ館』

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デュー・デート/出産まで後5日!史上最悪のアメリカ横断

2011年01月29日 | 映画(た行)
空気の読めない「森のクマさん」



           * * * * * * * *

「ハングオーバー!」のチームが贈るおかしなロードムービー。
物語は、アトランタに出張していたピーターが、第一子の誕生を5日後に控え、
急ぎロサンゼルスへ戻ろうとするところから始まります。
たまたま同じ飛行機に乗り合わせたひげ面の太っちょ男、
イーサンに話しかけられるうちに
テロリストと間違われて、飛行機から降ろされてしまう。
おまけに登場拒否者リストに名前が載せられ、
身分証明書が入った財布は荷物と一緒に飛行機に乗ったまま・・・。
どうにもならなくなったところへ、
同じく飛行機から降ろされたイーサンが車で通りかかり、一緒に行こうと誘う。
そもそも、コイツのせいでこんなことになってしまったのに、
何でこんな奴と一緒に・・・と、
まったく気が進まなかったピーターですが、背に腹は代えられない。
様々な映画でお馴染みのアメリカ横断ロードムービーの始まり始まり~。
イーサンは一匹の犬を連れていまして、これがまたブサイクでかわいい!! 
この珍道中を一層盛り上げています。


イーサンには全く悪気がないのですが、
言うこともやることも、どこかピンぼけしている上に気に障る。
つまりこれって、「空気が読めない」ってヤツでしょうか。
私はこの言葉は好きではないのですけれど、
ここまで来るともう、職人芸ってくらいの空気の読めなさ。
誰もが空気を読むために神経をすり減らすときに、
こういうのはいっそ豪快で気持ちよいかも。

けれど修行の足りないピーターは
たちまちムカついてしまう。
気持ちがイラつくだけならまだ良かったのですが、
とにもかくにもトラブル続きで、ピーターは体もボロボロ・・・。
ワンちゃんまでボロボロですから・・・。

しかし、旅は道連れといいますね・・・
そんななかでも奇妙に友情と絆が芽生えて・・・
さて、ピーターは奥さんの出産に無事立ち会うことが出来るでしょうか?


なにしろ、ザック・カリフィアナキスがいいです。
決してバカではないのですが、何だかちょっとずれているというこの感じ、うまいですよね。
イメージはまさに「森のクマ」さん。
これはいい。
でもこの作品、このイーサンのへんてこ具合に頼りすぎたきらいがありまして、
全体的には何だかパンチ不足。
ラストもきちんとまとまりすぎて、
ああそうなの・・・良かったね・・・という具合です。
もう少し、皮肉でショッキングな結末へ向けても良かったのでは・・・?


ついに爆発

ともあれ、アメリカ大陸の広さが、ロードムービー向きですよね。
横断しようとすると、飛行機ならまだしも、車なら何日もかかる。
ここで様々なドラマが生まれます。
日常を離れた旅。
通りがかりの町の景色、空気。
長時間の密接な人間関係。
お互いがお互いを知るだけの十分すぎるくらいの時間。
やはり日本ではなかなかこうは行かないのですが・・・。
そうそう、「しあわせの黄色いハンカチ」。
あれはやはり広い北海道だったなあ・・・。

とにもかくにも、ロードムービーにしては過激なシーンもあり、
そこそこは楽しめます。



ときにはしんみり語り合うことも・・・

「デュー・デート/出産まで後5日!史上最悪のアメリカ横断」
2010年/アメリカ
監督:トッド・フィリップス
出演:ロバート・ダウニー・Jr、ザック・カリフィアナキス、ミシェル・モナハン、ジェイミー・フォックス、ジュリエット・ルイス