映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

風と共に去りぬ

2009年01月05日 | 映画(か行)

明日という日がある・・・
 

風と共に去りぬ [DVD]
ビビアン・リー,クラーク・ゲーブル,オリビア・デ・ハビランド,レスリー・ハワード
ワーナー・ホーム・ビデオ
               * * * * * * * *
今さら、解説するのも恥ずかしいくらいの名作です。
ほとんど4時間に近い超大作。
普段あまり同じ映画を繰り返しては見ない方ですが、
こればっかりはもう何度も見ています。
今回、お正月休み中に、またじっくり見てみました。

話せば長いことながら、少し前に淀川長治さんの「私の映画の部屋」という本を入手したのです。
単行本で1976年に出版され、1985年文春文庫として出されたという年代モノ。
・・・これが正編と、続編、続々編の3冊あって、バザーで一冊30円、計90円で手に入れました!!
しかし、これは映画好きにはバイブルみたいなもので、
すごくお買い得だったと思います。
(これは今も文春文庫で買えるようです。)
まだきちんと読んでいないのですが、
この中で「風と共に去りぬ」のところがとても興味深かったので、
急に映画の方もまた見たくなってしまったというしだい。
ということなので・・・

淀川メモ
1939年、15億円の巨費をかけて完成。
昭和14年の15億ですから・・・。
原作者マーガレット・ミッチェルは生涯この本一冊しか書いていない。
10年を費やして、この本だけを書いたといいます。
主演、スカーレット・オハラ役が決まらないまま、撮影が開始され、
たまたまアトランタ炎上のシーン撮影を見学に来たヴィヴィアン・リーに白羽の矢が当たった。
アシュレイ役のレスリー・ハワードは飛行機事故で行方不明で亡くなった。
マミー役のハッティ・マクダニエルは、黒人俳優初のアカデミー賞受賞。

・・・いろいろエピソードの尽きない作品です。
しかし、本当にこれはいろいろな面で面白い、ドラマチックな作品ですよね。

スカーレットは火のように情熱的で強い。
勝気でわがまま。
・・・身の回りにこんな人が実際にいたら、多分私は苦手かも知れません。
それと対極にあるのがメラニー。
理知的で、優しく、そしてまた芯はしっかりしているんですね。
この人は本心からに誰にでも優しい。
スカーレットの憧れ、アシュレイは、スカーレットに惹かれながらも、
結婚相手としてはメラニーを選ぶ。
・・・まあ、こういうところがまた、いかにも彼らしいんですが。
そこへ登場するのが、レット・バトラー。
ならず者・・・というか、いかにも胡散臭げな人物なんですが、
スカーレットの気持ちなどすっかりお見通し。
スカーレットの激しい気性に付き合えるのは、
まさに彼くらいしかないと思えるのですが、
スカーレットはただひたすらアシュレイばかりを思い続ける。
・・・これら人物の配置がもう、絶妙です。
それだけでも面白いのに、南北戦争が背景にあり、
豊かで美しかったスカーレットの故郷タラが、
南部の敗戦ですっかり廃墟に成り果ててしまう。
お金も食べ物もないところから
「もう二度と飢えない」と誓い、立ち上がるスカーレット。
・・・感動します。

また、南北戦争といえば、奴隷制度にも思い至るわけですが、
オハラ家に仕える黒人たちは多分に家族的。
なかでも、太った召使のマミーは、作品中もかなり重要な位置を占めています。
わがままなスカーレットをたしなめることができるのは、彼女くらいのものですから。
無論、黒人に対して家畜同様のひどい扱いもあったと思うのですが、
この映画中のように、穏やかな関係もあったと想像すると少しほっとします。
スカーレットとバトラーを
「サラブレットのように見えるけれど、本当はロバだ」と評したのも彼女。

私の好きなシーンは冒頭付近。
スカーレットがアシュレイに愛をうちあけたのに拒まれ、
ヒステリーを起して灰皿を投げる。
そのソファーの陰から「お気の毒」と皮肉な笑顔で顔を出すバトラー。
名シーンですねえ・・・。
私はここのところで、すっかりクラーク・ゲーブルファンになってしまったんですが。
結婚してもなお、スカーレットの心はアシュレイにあると知って絶望し、
ひたすら娘のボニーを溺愛するレット。
この辺も見ていて切ないですよ~。

とにかく何度見ても全く飽きない。
また、時々見ることにしようと思ったのでした。

1939年/アメリカ/228分
監督:ヴィクター・フレミング
出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、オリヴィア・デ・ハヴィランド、レスリー・ハワード