最後の質問にあてていただいた。どうやら手を挙げたのはぼくだけだったらしいが。
発言したのは「三種類」のこと。
(1)来場した方々へのお願い
(2)森氏へのお願い・質問
(3)主宰者への質問
具体的には……
(1)来場者へ
森氏も講演中みずから認めていたように「ゲーム脳」には、懐疑的な声も多い。ぜひ、家に帰ったら「ゲーム脳」で検索し、自分で判断していただきたい。
(2)森氏へ
お願い
「ゲーム業界からお金をもらっているほかの脳科学者と違い」、森先生は「科学者なので言わなければならないことは言う」、また、「多くの研究者に一緒に研究して欲しい」とのことなので、是非、ゲーム脳についての論文を、ちゃんとした専門雑誌に投稿していただきたい。そうしていただかいないと1000例ものデータがもったいないのみならず、ほかの研究者が否定するせよ肯定するにせよ、研究することができない。
質問
ゲーム脳によってキレたり、殺人をおかす少年が増えるとのことだが、実際には森氏が17歳だった1964年に比べて今の少年の殺人は10万人あたりの発生率で比較すると三分の一以下だ。ファミコンの発売された1983年以来、一貫して凶悪犯罪は低水準。とすると、かりにゲーム脳が実在するにしても、殺人などの凶悪事件を「森氏の17歳」の同水準に引き上げるほどの影響はないと安心してよいのか。
(3)主宰者へ
今回、ぼくにとって衝撃的だったのは、ゲーム脳講演のちらしが学校を通じてひとりひとりの児童に配られたこと。埼玉県川口市の小学校のように学校に「ゲーム脳」活用した指導プログラムが導入されるようなことがないか心配だ。見解を問う。
さて、森氏の回答は、(1)のネット検索問題、(3)の主宰者への問いに集中する。その一一方で、森氏への質問は無視される。
ちなみに、ネット検索問題について、森氏は、「わたしは人の批判はしないが、わたしを批判したい人はたくさんいて、根拠のないことをネットで述べている」というようなことを主張。
「ゲームで自閉症になるなどとは、わたしは言っていない」といきなり言い出す(ぼくはそんなこととは言っていない)。すると、会場から「テープに残ってます」と、声。(自閉症児を持つ保護者の方らしい。森氏の自閉症発言をテープに取った方がいるということ?)。
さらに、「論文を投稿したが、リジェクトされたなどと書かれているが、そんなことはない」と言い出す。ぼくは初耳なので、逆にびっくりする。
また、埼玉県川口市での取り組みについて(ある小学校の生徒の脳波をはかり、ゲーム脳、ノーマル脳などと区別して指導をしたと毎日新聞の記事にあり。検索すればすぐ出てきます)、「わたしは、子どもたちにゲーム脳、ノーマル脳などとという言葉で指導していない」と反論。また、「わたしは、日本の子どもが、笑わなくなり、キレるようになり、おかしくなっているのを見て、日本のためにやっている。川口市の小学校でも、2年間の取り組みで不登校児がゼロになる(元々二人の不登校児がいたらしい)といういい結果が出た。そういうのを問題にするあなたの方がおかしい」と述べる。そして、会場からは拍手喝采が湧き起こる。
というわけで、川端、完敗。
「質問」には回答をもらえず、言いたいことを言われたのみ。
再質問することも許されなかった。
後で、区議の赤沢さんと話をしていて、自分のプレゼンの方向性について反省する。
つい、「正しい」ことを述べてしまえば伝わるような気になるが、それは間違い。
ここに来ている人は、「ゲームにはまった子ども」に悩む保護者が多いわけで、講師批判ととられかねない発言をしてせ伝わらない。ぼくの発言は、やはり講師批判と取られかねないものだった。
むしろ、「ゲームや携帯がすべての原因、という話でしたが、十分に証拠があがらない段階で、ゲームだけが悪としてしまうと、ほかに原因があったとしてもそれを見ずに済んでしまうので注意が必要では」といった主張から入った方が良かったのかもしれない。
これはプレゼンスキルの問題だなあ。
もっとも、ああいう「アウェイ」で、自分の声を通すのは相当のことだ。
講師というのは、本当に特権的な立場を保障される。
ぼくはせいぜい2分くらいしか話していないけれど、森氏は1時間半以上だものなあ。
結局、来場者は「?」なまま帰途についたであろう。
お開きになってから、ぼくの周りに5、6人の人が集まってきて、「よく頑張った」的なことを言ってくれたことで、やや気持を取り直す。
400人のうちの5、6人。
少ないけど、アウェイにしては、悪い数じゃない。
さらに、主宰者(世田谷区)からのコメントについて書きます(続く)。
追記
うっかり書き忘れましたが、ぼくも森氏に「ゲーム業界とつながりがある方かもしれませんが……」と言われました(笑)。
言われたついでにディスクロージャーすると、これまでにゲーム会社と仕事をしたことは一度だけ。コナミの「メタルギアソリッド3」の初回分についていた限定ブックレットに「ロケットの歴史」みたいなエッセイを依頼され、書き、原稿料を得ました。でも、発言に影響することは、ありません。ましてや、今回のゲーム脳講演についての一切の発言、活動は、ぼくの個人的な信念から生じ、今のところ金銭的な対価を得ることもなく、行っているものです。
発言したのは「三種類」のこと。
(1)来場した方々へのお願い
(2)森氏へのお願い・質問
(3)主宰者への質問
具体的には……
(1)来場者へ
森氏も講演中みずから認めていたように「ゲーム脳」には、懐疑的な声も多い。ぜひ、家に帰ったら「ゲーム脳」で検索し、自分で判断していただきたい。
(2)森氏へ
お願い
「ゲーム業界からお金をもらっているほかの脳科学者と違い」、森先生は「科学者なので言わなければならないことは言う」、また、「多くの研究者に一緒に研究して欲しい」とのことなので、是非、ゲーム脳についての論文を、ちゃんとした専門雑誌に投稿していただきたい。そうしていただかいないと1000例ものデータがもったいないのみならず、ほかの研究者が否定するせよ肯定するにせよ、研究することができない。
質問
ゲーム脳によってキレたり、殺人をおかす少年が増えるとのことだが、実際には森氏が17歳だった1964年に比べて今の少年の殺人は10万人あたりの発生率で比較すると三分の一以下だ。ファミコンの発売された1983年以来、一貫して凶悪犯罪は低水準。とすると、かりにゲーム脳が実在するにしても、殺人などの凶悪事件を「森氏の17歳」の同水準に引き上げるほどの影響はないと安心してよいのか。
(3)主宰者へ
今回、ぼくにとって衝撃的だったのは、ゲーム脳講演のちらしが学校を通じてひとりひとりの児童に配られたこと。埼玉県川口市の小学校のように学校に「ゲーム脳」活用した指導プログラムが導入されるようなことがないか心配だ。見解を問う。
さて、森氏の回答は、(1)のネット検索問題、(3)の主宰者への問いに集中する。その一一方で、森氏への質問は無視される。
ちなみに、ネット検索問題について、森氏は、「わたしは人の批判はしないが、わたしを批判したい人はたくさんいて、根拠のないことをネットで述べている」というようなことを主張。
「ゲームで自閉症になるなどとは、わたしは言っていない」といきなり言い出す(ぼくはそんなこととは言っていない)。すると、会場から「テープに残ってます」と、声。(自閉症児を持つ保護者の方らしい。森氏の自閉症発言をテープに取った方がいるということ?)。
さらに、「論文を投稿したが、リジェクトされたなどと書かれているが、そんなことはない」と言い出す。ぼくは初耳なので、逆にびっくりする。
また、埼玉県川口市での取り組みについて(ある小学校の生徒の脳波をはかり、ゲーム脳、ノーマル脳などと区別して指導をしたと毎日新聞の記事にあり。検索すればすぐ出てきます)、「わたしは、子どもたちにゲーム脳、ノーマル脳などとという言葉で指導していない」と反論。また、「わたしは、日本の子どもが、笑わなくなり、キレるようになり、おかしくなっているのを見て、日本のためにやっている。川口市の小学校でも、2年間の取り組みで不登校児がゼロになる(元々二人の不登校児がいたらしい)といういい結果が出た。そういうのを問題にするあなたの方がおかしい」と述べる。そして、会場からは拍手喝采が湧き起こる。
というわけで、川端、完敗。
「質問」には回答をもらえず、言いたいことを言われたのみ。
再質問することも許されなかった。
後で、区議の赤沢さんと話をしていて、自分のプレゼンの方向性について反省する。
つい、「正しい」ことを述べてしまえば伝わるような気になるが、それは間違い。
ここに来ている人は、「ゲームにはまった子ども」に悩む保護者が多いわけで、講師批判ととられかねない発言をしてせ伝わらない。ぼくの発言は、やはり講師批判と取られかねないものだった。
むしろ、「ゲームや携帯がすべての原因、という話でしたが、十分に証拠があがらない段階で、ゲームだけが悪としてしまうと、ほかに原因があったとしてもそれを見ずに済んでしまうので注意が必要では」といった主張から入った方が良かったのかもしれない。
これはプレゼンスキルの問題だなあ。
もっとも、ああいう「アウェイ」で、自分の声を通すのは相当のことだ。
講師というのは、本当に特権的な立場を保障される。
ぼくはせいぜい2分くらいしか話していないけれど、森氏は1時間半以上だものなあ。
結局、来場者は「?」なまま帰途についたであろう。
お開きになってから、ぼくの周りに5、6人の人が集まってきて、「よく頑張った」的なことを言ってくれたことで、やや気持を取り直す。
400人のうちの5、6人。
少ないけど、アウェイにしては、悪い数じゃない。
さらに、主宰者(世田谷区)からのコメントについて書きます(続く)。
追記
うっかり書き忘れましたが、ぼくも森氏に「ゲーム業界とつながりがある方かもしれませんが……」と言われました(笑)。
言われたついでにディスクロージャーすると、これまでにゲーム会社と仕事をしたことは一度だけ。コナミの「メタルギアソリッド3」の初回分についていた限定ブックレットに「ロケットの歴史」みたいなエッセイを依頼され、書き、原稿料を得ました。でも、発言に影響することは、ありません。ましてや、今回のゲーム脳講演についての一切の発言、活動は、ぼくの個人的な信念から生じ、今のところ金銭的な対価を得ることもなく、行っているものです。