川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

祭りの後でぐたーっな月曜

2005-10-31 11:37:06 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
IMG_5131IMG_5140日曜日は学童の秋祭り。諸事情により実行委員長を務めたので、非常に疲れた。子供たちが楽しんでいる姿には、心強いものを感じつつ、やっぱり体がついていかん。さらに、そのあとに、学童保護者会の臨時総会などを開かねばならず(区の方針で学童がなくなっていく、みたいな話があって、いろいろやらざるをえないのです)、ああだこうだとやっているうちにもう暗くなっていて、ぐったりな日曜日でした。

月曜日、先週末からの仕事を再開しようにも手に着かない始末。脱力しちゃった感覚もあって、こういう時には雑事を片づけるに限る。娘を保育園に送ってから、悪化している「ひょうそ」を診てもらいに外科医→九月以来いっていない美容院、というふうにご近所ツアー。

終わってもまだ午前中だ。
さあ、まったり仕事しよう。

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宇多田ヒカル総まくり週間

2005-10-30 06:31:17 | ソングライン、ぼくらの音楽のこと
Be my lastを聴いていて、あまりにも「生まれいずる恨み」みたいな曲なので、切なくなって、最初の頃からききかえす。

宇多田ヒカルの声ってほうっておいても哀しい。だから、明るめの曲調の者の方が、ミスマッチで良い。声と曲やコトバの乖離の中に、何かちがうものが立ち上がるのを感じることがあるから。
そういう曲の方が今も、胸に迫るものがある。
例えば、distance、travelling、colorsとかかな。

それにしても、Be may lastは切ない曲だ。
犯罪級。

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町探検は無事終了

2005-10-28 13:08:30 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
いやー、おもしろかった。
小学校二年生の町探検。
ぼくは自転車屋の前に立っていたのだけれど、子供たちはみんな自転車を見ると目が「キラーン」になって、あれやこれやと質問していました。
四人組のグループで訪ねて、グループごとにいろいろ質問したり、調べたりするのだけれど、時々、すごくおもしろいことを言い出したりやり出したりするグループがあって……。
あるグループは自転車屋に何台の自転車があるかひとつひとつ数えだし(198台あった)、別のは壁に掛けてある大正期の創業当時の写真に目をとめていろいろ聞き出したりり(地元で一番古い店なのです)。
我が町の子供ながら、なかなかよろしい。ってかんじで。

それにしても、なんやかんやいっても、子供とかかわること、というのはとても報われることだなあとつくづく思った次第です。


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ラブレターなんてもらわない人生

2005-10-28 08:39:16 | 自分の書いたもの
ずっとまえにオンライン・メディアに書いた短編が、12月刊行の「Love Letter」というアンソロジーに収録されることになった。
版元は幻冬舎で、執筆者は、石田衣良、島村陽子、島本理生、森絵都、前川麻子、山崎マキコ、中上紀、井上荒野、桐生典子、三浦しをん、いしいしんじ、そして、ぼくで12名。
アンソロジーってはじめてなので、ドキドキしますな。


ちなみに、ぼくのは、「ラブレターなんてもらわない人生」という短編。
担当編集者のS君は、「かわばたさん、実生活ではラブレターもらいまくっちゃってるでしょう」なんて言う。
なに考えてんだか。

もらったことないなラブレター。
少なくとも、「告白」の機能を持ったラブレターってのはない。
なにしろ、ぼくは妙なやつだったので、学生時代も浮いておりました。
セルフイメージとしても浮いていたし、人の目からも浮いていたと数多くの証言が証明しております。
すると、「かわばたさん、十年くらい後に生まれればきっと、もてもてでしたよ」みたいな謎の発言をする。
きっとそれは違うと思うぞ、S君。
きみだって、もてもてに違いないと思っている人は周囲にいるだろうが(彼は氷川きよし系好青年)、実はもてもてでなくても全然驚かない。世の中はそういうふうにできているのだ。

というような話ではまったくないのですがね。「ラブレターなんてもらわない人生」って短編は。
とにかく12月、クリスマスイブの前にでも、読んでやって下さい。
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しのぶん画伯から感想画が届く

2005-10-27 19:57:59 | 自分の書いたもの
crop0001オット君(ぎみ)が、人造人間になる手術で大変だったしのぶん画伯より、感想画が届く。コイケさんと、ハチオオカミ。ありがとうございます。なんか怖そげ、です。
もっとコワカワイイ、ハチオオカミをどこかから発掘してこようと決意。どこかにあるんだ。オリジナルのハチオオカミ。

あと、本日の週刊文春に「すべての装備を知恵に置き換えること」(石川直樹)という本の書評を書いています。
また、今書店に並んでいるサンデー毎日に「バギー」の書評が出ています。


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エコフォビアについて

2005-10-27 11:45:56 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
これは動物園やら環境保護関係の人限定の情報かもしれないけれど……。

今「動物園にできること」を、文庫化のために読み直していて(あたらしい章を書くので)、「エコフォビア」が気になった。

「エコ・フォビアという言葉を知っている?」と彼女は聞いた。
 残念ながら聞いたことがない言葉だった。
「例えば子供の頃に性的な虐待を受けた子供は大人になってもセックスが好きになるわけではなくて、逆に性にかかわるさまざまなことに恐怖を持つようになるでしょう。もしも、動物について、あるいは生態系について、怖い話を聞かされ続けた子供はそのことを咀嚼できず、逆に目を背けてしまったり、無力感にさいなまれたり、過剰に怖がってしまったりすることがあるのね。特に熱帯雨林の破壊みたいに子供たちにはどうしようもないことを教えられるとその傾向が強くなるの。それをエコ・フォビアって呼んでいるわけ」

ってくだりなんだけれど、これって、実は「動物園にできること」の中で紹介できた最重要な概念じゃないかと思うことがある。あの後、この概念は誰かが発展させたり、一般化したりしたのだろうか……。
検索してみて、David Sobelという人物がかなりいろいろ考えていることが分かる。

リンク: beyond ecophobia By David Sobel.

また、この人物は、こういう本も書いている。

リンク: Amazon.com: Books: Beyond Ecophobia: Reclaiming the Heart in Nature Education (Nature Literacy Series, Vol. 1) (Nature Literacy).

でも、それ以外にはあまり一般的な用例をみないので、やはり今もマイナーな概念なのだろう。

アメリカ人には分かるまい、というような気もする。

とにかく、まず自然との間に情動的なつながりがないとなんにもならんのだというのが大事。
いきなり、環境関連の情報を子供に詰め込んでも仕方あるまい。
これって実は、「オランウータンに故郷のもりを返す日」の反省でもあり、「サボテン島のペンギン会議」で留意したことでもある。

動物園もエコ・フォビアを生み出すのではなく、人が生き物との情動的な絆をまず形作るところとして機能すればよいとつくづく思う
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(あこがれの)パンダ粥セットを食す

2005-10-26 17:32:54 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
IMG_5118IMG_5120上野動物園へ取材に行ってきました。で、噂のパンダ粥セットを食べたです。品目を解説すると、左上から時計回りに、シュアンシュアン風おかゆ(あっさり風味白米おかゆ)、リンリン風ミルクかゆ(麦入りみるく風味)、パンダだんご(リンリンも毎日食べているものをアレンジしたものだそうな)、ニンジン・リンゴピューレ(おかゆに入れるべし)、熊笹エキス入り抹茶ゼリー(竹を割ったような? さわやかな味)。ですね。

ちなみに、パンダだんごは単品でも、東園アシカ池前の売店で売っていて、なかなか人気だそうな。何が入っているのか気になるところだけれど、パンフによると……トウモロコシ粉・脱脂大豆粉・キビ砂糖・パンダミルクできており……パンダミルクってなんだ、と当然疑問に思い、パンフをさらに読んでいくと……乳糖を少なくしたパンダ用特製ミルクだそうですね。なかなか、蘊蓄が多くなります。

味は……、うん、いけますよ。
ちゃんと人が食べるものにしてあります(当たり前)。大変満足いたしました。
次はゴリラのごはんに挑戦ですな。



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夕刊フジにインタビューが出る模様

2005-10-25 12:46:28 | 自分の書いたもの
「みんな一緒にバギーに乗って」のインタビューが夕刊フジに出る模様。
本日の読書欄です。
まだ未確認ですけど、よろしかったらご覧下さいませ。

あと先週の毎日新聞でもさっそく紹介いただいたみたいですね。これも未確認ですが。

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サワガニ掴みのこと

2005-10-25 08:55:53 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
IMG_5110日曜日、近所で大きな祭があって、その人気コーナー。
宮崎産の食用サワガニらしいんだけど、それを子供につかみ取りさせるわけです。
一人五匹までで、とすると、うちには十匹やってきてしまいました……。
ザリガニの餌を与えると、とりあえず食べているので当面は飼えるかな……。



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こんなことやってる場合か……って

2005-10-24 11:58:18 | 日々のわざ
エンストローム批判の要旨をまとめてアップ。やらなきゃと思ってたから、ほっとしているのだけれど、とはいえ、そんな場合じゃないだろって。
学童のお祭り関係の連絡やら、保健所への確認やら(なんかいろいろあるのです。食中毒対策とか)やってるうちに、あっというまにお昼じゃないですか。
書かにゃならんのです。やります。やまりすから。って、宣言してみる。


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エンストローム研究への反論の要約2

2005-10-24 11:50:22 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
BMJ327に掲載されたエンストローム研究に対する批判の「その2」、です。
論文が出た次の号で、いきなりこれだけの批判が噴出するのには驚かされます。結局、疫学理論上常に問題になる「誤分類」「年齢調整」といったテーマで、かなりナイーヴな議論をして、強引に結論を出してしまった論文なのだというのがよく分かります。

その前に……、「その1」はこちら。
リンク: リヴァイアさん、日々のわざ: エンストローム研究への反論の要約1.

ちなみに、「エントスローム批判」はすべてウェブで読めます。「その1」に所在は示してありますので、英語が嫌でなければご覧下さい。

あらためて、エンストローム論文についての、ぼく自身のコメントも書くつもりですが、とりあえずは、「その2」をどうぞ。
Michael J Thun(epidemiology and surveillance research)は、アメリカがん協会の見解として、エンストロームの結論に同意しない、という。エンストロームが利用したカリフォルニア州でのコホート研究のデータは、そもそも、アメリカがん協会が、がん予防のための研究として得たものなのだが、研究目的はあくまで能動喫煙の害を調べることだった。よって、受動喫煙の害を評価するためのデータを十分に集めていない。それゆえ、エンストロームの論文は、ほかの批判者も指摘するように、曝露群の誤分類という致命的な欠陥を抱えている。
エンストロームが比較したのは、研究のはじまりの時点で「配偶者が喫煙者だった非喫煙者の女性と、「配偶者が非喫煙者だった非喫煙者の女性」だが、これらの人々は1972年から1998年の間追跡されず、その間に、配偶者が喫煙をやめても、離婚しても、死別しても、いっさい考慮されていない。1999年にこれらの人々を再調査した時、最初のコホートのわずか2パーセントを追跡できたのみだった。
またThunは、1950年代1960年代には、アメリカ人は事実上だれもが受動喫煙に曝露しており、そういう意味で、エンストロームは「配偶者のたばこ煙に曝露している非喫煙者女性」と「ほかのたばこ煙に曝露している非喫煙者女性」を比べているにすぎない、とも批判している。

John H Glaser(independent researcher)は、エンストロームのデータの中に、非常にめずらしい「逆転現象」があると指摘している。テーブル2とテーブル3を組み合わせてみると分かるらしいのだが(川端は、再確認していないですが)、高学歴のグループほど喫煙率が低いという一般的な傾向と反対の傾向が確認できるとのこと。Glaserは、ここに「疑惑」を見いだしているらしい。

A J Hedleyら(Hongkong Univ)らは、エンストローム研究では、受動喫煙が、呼吸器系に障害を与え、死亡率を高めていることを確認しているのに、メディアがほとんどそのことに関心を払っていないことを指摘している。エンストローム研究で、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary、いわゆるCOPD)による死亡のリスクは、1.65(95パーセント信頼区間で1.0-2.73)で、この数値は、ほかの研究とも矛盾しない。
Hedleyらは、香港での受動喫煙の研究を紹介しつつ、肺がんとの因果関係だけじゃなくて、こっちも注目せよ、と言いたい模様。
ちなみに、COPDについては、こちらをどうぞ。肺気腫だの、慢性気管支炎などをまとめて、最近ではそう呼ぶようです。
http://www.copd-info.net/
世界的に死亡原因の第4位だそうな。

Eugene Milne(Newcastle General Hospital)は、エンストローム論文の年齢調整がおかしいと主張している。たとえば、1959年の時点で「一日40本の喫煙者」の妻は、「一日19本までの喫煙者」の妻に比べて、4歳若い。これは、ヘヴィスモーカーである夫は「たばこ病」によって早く死んでしまうことが多いため(喫煙量が少ない方が長生きするため)だと考えられ、その結果、配偶者である妻の方にも年齢差が生じているのではないか、と。年齢が高いと一般に疾病にかかりやすいので、これがヘヴィスモーカーの妻(つまり、若い)の方が、年齢的に病気になりにくいバイアスを発生させるのではないか。
さらにいろいろな面からage adjustmentの問題を指摘しているのだけれど、うまく説明できないのでここは割愛。すみません。勉強が足りません。
あるいはどなたかまとめてくださったら、付け足します。

以上。
科学的な議論としての批判は、BMJ327ではこれくらい。
この後にも、BMJ誌き編集方針やらコメントやらが、LancetやEuropean Journal of Public Healthのエディターから寄せられていたり、BMJのエディターが、なぜエントスローム論文を掲載したのかつらつらと書いていたり、おもしろいところはあるけれど、科学的な側面ということ、でここでやめておきます。

とにかく、エンストローム論文が受動喫煙研究の決定版なんて、ことは決してないのだ、というのが伝わればいいなあ、と。
そこさえ、きちんと押さえてもらえれば、反「禁煙ファシズム」派の人たちだって、そこから先の議論、やはり変わってくるでしょう? 斉藤貴男氏もそのように述べているとぼくは認識しております。
 少なくとも、「禁煙ファシズムと戦う」を読んで、「受動喫煙って害がなかったんだ」と確信を持ってしまった人たち。あなたがうっかり納得した(ミスリードされた)議論の背景には、こういう論争というか、論争以前の問題がまったく言及されずに横たわっておりますので、ご認識を、ということで。
 
 

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人体模型

2005-10-23 09:18:21 | 日々のわざ
IMG_5101子供にデジカメを渡しておいたら、いつのまにかこんなものが映っている。なんやねん。



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今月内の締め切りは……

2005-10-22 06:55:35 | 日々のわざ
動物園の本の文庫化にともなう手なおし、上野動物園に取材に行って新章を書いて、サッカー小説第二部にも手を入れて(きのう終わったと思ったのに、まだ終わってなかったと個人的に判明)、恐竜小説を書いて(書きかけてあるので、もう少し)、エッセーのたぐいを二つ書いて、エンリッチメント大賞の一次審査をして……こんなもんか。
個人的には瞬間最大風速だ。
さて、どれから手を付けたものか……。
来週に予定されている学童のお祭りの後、きゅうきょ開くことになった保護者会臨時総会のご案内だな。
それを書いてしまわなきゃ、なにも始まらん。

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町探検の打ち合わせ、ちょっと気持ちが折れる

2005-10-21 18:48:07 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
息子の小学校で「町探検」をするというので、お手伝いのための打ち合わせ。
学校で30分ばかり。

先生は例によって、保護者の総称として「お母さん」を使う。これはずっとそうなので、気にしないことにしているけれど、どうしても耳につく。でも、まあ、この先生は保護者のことを時々「父兄」と言ってしまうので、そのあたりはアイコでもあるのだ。悪い先生じゃない(というか、どっちかというと気持ちにゆとりのあるよい先生だと感じている)のだけれど、この方面のセンスだけは、鈍い。意図的なのかな。
結局ぼくは自転車屋の担当になる。
自転車屋さんは子供が入って話を聞いて良い場所の一つ(全部十カ所くらいある)で、その前で子供の安全面、および、お店でのお行儀(?)に目を光らせる。

先生に、「カワバタさん、事前に自転車屋さんに一言いってくださいね」みたいなことを言われる。
そりゃそうだ、「子供がきょうお世話になります」と言わなきゃね。
と思っていたら、続きがこうだ。
「きょうの『町探検』の保護者です、とひとこと言っておいてくださいね……」だって。

はあっ。
ぼくも鈍いので、しばらく気づかなかったのだけど、それって、つまり、不審者と思われるのを避けるためにってこと、なんだな。
ほかのお母さんたちには言ってなかったし。

まあ、真昼間から男が一人、街角でじーっと立っていたら、不審に思う人がいるのは分かる。
それくらい、分かってるから、身の処し方もそれなりに考える。自分で考えるさね。
わざわざ言われたかないと思うのだなあ。

町探検って楽しそうなのだ。
協力できるのはうれしいのだ。
でも、迷惑なのかな。
ちょっと気持ちが折れる。当日までには復活してるだろうけど。
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エンストローム研究への反論の要約1

2005-10-21 11:55:55 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
「禁煙ファシズムと戦う」関連のエントリです。
受動喫煙の害はない証拠として引用されているエンストローム論文(2003年、BMJ;ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)は、掲載の翌号に多くの批判が寄せられていて、その後も何度も研究の欠陥を問う議論が為されています。
小谷野氏は、「禁煙ファシズムと戦う」の中で、批判の多い平山研究と、このエンストローム研究しか、世の中には存在しないかのような論調で、「受動喫煙に害はない」という結論にミスリード(とぼくは確信しております)するわけですが、この論文には学問的なレベルでこういう批判があるのだということを、日本語で書いておくのは意味があるだろうなと思い、ざっと要旨をまとめていきます。
「禁煙ファシズム」の読者で、これまで受動喫煙には二つしか研究がなくて、決定版がエンストロームだと思っている人、現にいるみたいなんですよねぇ。

さて、出所はここ。
リンク: PubMedで検索したBMJ327.

2003年8月のBMJ327。だれでも読めるけれど、自分の勉強もかねて。
間違い、ミスリーディングなところの指摘、よろしく、です。
最初の三人だけですが、そのうち続きもやります。いや、誰かがやってくれれば、喜んで手を引きますが……。

それと、特にトラバとかするつもりないですが、リンク歓迎です。
Allan Hackshaw(Unversity college London)は、IARC(国際がん研究機関)の受動喫煙についてワーキンググループを代表して、エンストローム論文が、過去の受動喫煙についての研究によってくだされたこれまでの結論を「減ずる」ものではないと主張している。
理由としては、エンストロームの研究は、わずか177の症例しか扱っていないのに対して(非喫煙者の女性で、喫煙者の夫と同居している場合で、肺がんになった人の数なので、研究の母数が大きくてもこれくらいの症例になる)、これまでの研究全体では、46の研究で合計6257の症例があり、1.24倍のリスク比(あるいは発生率比?)を弾き出している(95パーセント信頼区間は、1.14から1.34)ということ。エンストロームのデータを、そのままこのメタアナリシスに組み込んでも、1.23倍に減るのみ。つまり、エンストロームの研究は、こまれでの研究の積み重ねを否定できないどころか、ほとんど影響しないということ。
またHacshawは、エンストローム論文自体の問題点にも触れる。
エンストロームが扱ったカリフォルニアのデータでは、1959年の時点で喫煙者だった夫を持っていた女性を「喫煙者を配偶者に持つ女性」としているが、エンストローム論文のテーブル8によると、研究の終わった1998年にはこれらの「配偶者」の多くが喫煙をやめている可能性が高い。
というのは……1959年の時点の「タバコを吸ったことがある配偶者」(喫煙者と元喫煙者をあわせたグループです。元喫煙者にも能動喫煙曝露歴があるので、「吸ったことがない人」とは分けて考えているわけです)の中で「今も吸っている人」(つまり、普通に言うと「喫煙者」、ですね)が69パーセントだったのに対して、1998年には28パーセントに下がっているのだ。つまり、1959年に喫煙していた半分以上の配偶者が1998年までに非喫煙者になっている。言い換えると、途中で配偶者が喫煙をやめた女性も「喫煙者を配偶者に持つ女性」と区別なく扱ってしまっているわけで、これが受動喫煙と肺がんとの関係がマスクしてしまったのではないか、とのこと。
ちょっと敷衍すると、これは「夫が喫煙しない女性の集団」と、「夫が喫煙する女性と、夫か喫煙しない(研究期間中にやめた)女性がまざった集団」を比較しているわけで、もしも肺がんと受動喫煙に因果関係があるとしても、このやり方では、両者の間の肺がんの発生率の差が、当然、小さくなる方に(差がなくなる方向に)出てしまうことになる。

Jayant Sharad Vaidya(Universty college London)は、別の問題を指摘する。
カリフォルニアでは1990年に公の場所が禁煙になるまでの間(研究期間のほぼ四分の三の期間)「非喫煙者を配偶者に持つ女性」も職場などでタバコ煙に曝露していたと考えるべきだ。
たとえば、仕事を持っていた女性について考えると、喫煙者を配偶者に持つ女性は、毎日、配偶者のタバコ煙に2時間から4時間さらされ、職場では配偶者の喫煙状況にかかわらず、8時間から10時間タバコ煙にさらされることになる。
結局、エンストロームが比較した集団は、一日に「8時間曝露」(職場で8時間)と「10時間曝露」(職場8時間、家庭2時間)くらいの差しかないものだったのではないか。
従来の説の通り、受動喫煙が30パーセントリスクを高めるとしても、これらの二つの集団では、五パーセントほどの差にしかならず、この程度の違いは疫学研究ではっきりさせるのはとても難しい、とのこと。
つまり、Vaidyaも、エンストロームの「曝露群」と「非曝露群」の腑分けがうまく行っていないことを、別の観点から指摘しているわけです。

Julia Crichley(Liverpool School of Tropical Medicine)は、エンストロームはいくつかの議論を落としていると批判する。
まず、これまでの先行研究もポジティヴではあるが、統計的には有意ではない結果を出すものが多く、その後、多くの研究を総括するメタアナリシスで、受動喫煙と肺がんについての因果関係を確立した。エンストロームは、パブリケーションバイアス(喫煙と受動喫煙の因果関係を否定するような研究は世に出にくいかもしれない、というバイアス)を指摘しているが、大きな前向きコホート研究はその結果がどうであれ、発表されやすいものであり(これはエンストローム研究がBMJに掲載された大きな理由の一つ)、ほかの大規模なコホート研究と自分の研究がなぜ食い違っているのか説明しない。そして、単に自分たちのコホートが大きいがゆえに、結果も頑強であると論ずるのみだ。しかし、実際のところは大規模なコホート研究は、途中で脱落してフォローアップできなかったlossや、誤分類(喫煙者だった夫が、非喫煙者になったり、といったこことで引き起こされる)が、研究期間が長いがゆえに発生しやすい。等々。
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