【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

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「四十二番街(42nd Street)」(アメリカ、1933年)

2017-07-20 14:33:40 | 映画

         
  30年代後半、トーキー時代に突入した映画界は、それ以前にはなかった音楽映画を盛んに製作した。華やかな歌とダンスを売り物とするミュージカル映画が量産された。ルヴィッチ映画のパラマウント、ブロードウェイ・メロディのMGM、アステア・ロジャースのRKO等々。舞台ミュージカルがそのまま映画化されることもしばしばであった。「四十二番街」は、バック・ステージものの代表的作品である。

 ストーリーは玩具会社の社長で出資者の老人アブナー・デイロンとミュージカル・スターを目指す女性ドロシー・ブロック(ビービ・ダニエルス)、そして彼女に恋する若い男性パット・デニング(ジョージ・ブレント)の三角関係を軸に、演出家ジュリアン・マーシュ(ウォーナー・バクスター)が苦労して男女のダンサーたちを統率し、「プリティ・レディ」というミュージカルを成功させるというもの。

 バーンズ・バリーという芸能プロが「プリティ・レディ」という新作ミュジカル・ショーを企画。出資者はデイロン。演出家にマーシュが起用された。彼はその分野では魔術師とも、ヒットを生む機械とも呼ばれ、仕事熱心な厳しい演出で知られていた。デイロンはスポンサーとなる条件として、目をかけていた女性ドロシーを主役に抜擢させた。オーディションの結果、出演者が決まった。人数が一人足りない。アマチュア・ダンサーのペギー(ルビー・キーラー)が急遽採用された。舞台の初日まで五週間。昼も夜もない踊りっぱなしの猛特訓が、マーシュの演出のもとで行われた。主役のドロシーは、パット・デニングという青年と交際していた。スポンサーであるデイロンの手前、その付き合いをおおっぴらにするわけにはいかなかった。しかし、あるところから二人の付き合いが、マーシュに知られた。ドロシーとパットとの関係が知られれば、デイロンはスポンサーを降りかねない。マーシュは下町のギャングに手をまわし、パットを追放するべく仕組む。パットの才能の開花に期待し、将来を案ずるドロシーは、しばしの別れを提案、パットはフィラデルフィアに去った。

 ハードな練習の結果、ショーは舞台の初日に間に合ったが、場所は当初の予定であったアトランティック・シティからフィラデルフィアに変更となった。ドロシーは、パットが居るフィラデルフィアでの興業と知って気が動転。しかもフィラデルフィアで、ドロシーたちの泊まるホテルには、パットも宿泊していた。彼女は、そのことを知り、うろたえる。苛々を募らせていたドロシーは、前夜祭のパーティでデイロンに「田舎おやじ、カモおやじ」と罵ってしまった。ドロシーはパットと電話連絡がつき、部屋に来てくれと嘆願した。パットはドロシーと再会したが、その場にペギーが現れたため、ドロシーは嫉妬からペギーにくってかかった。仲裁に入ったパットともみあいになり、ドロシーは足首を骨折、初日を前に公演が危ぶまれた。代役にペギーが起用された。気を取り直したドロシーの励ましがあり、短時間のマーシュの特訓で、ペギーは代役をこなし、公演は大成功。血と汗がにじむ猛烈なマーシュの演出とそれについてきたダンス・メンバーの奮闘、それに代役を見事に果たしたペギーのダンスと歌の賜物であった。満足したお客は「演出家なんか楽なもんだよ、マーシュはついていたな、成功はペギーのおかげだ、明日の大スターだ」と帰途につくのであった。

 愛あり挫折あり、いろいろなエピソードがおり込まれ、最後に大レビュー・シーン。圧倒的な壮観のレヴュー。女性ダンサーはステージで整列、脚線美を披露し、エネルギッシュに、華麗に舞う。大勢のダンサーが画面一杯に踊りまくるフィナーレの魅力は、何とも言えない。ペギーの歌うテーマ曲「四十二番街」とタップダンスは、見ごたえ十分である。


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