松本清張『小説東京帝国大学』筑摩書房(わたしは新潮文庫版で読みました。下記のページは新潮文庫版のそれです)。
「『国家ノ須要ナル』人材を養成する目的の東京帝国大学の性格を明治後半期から小説にしてみよう」(「あとがき」p.584)とした作品です。
ムイアヘッドの倫理学をめぐる哲学館(東洋大学の前身)と文部省の対立、戸水教授をはじめとする七博士の対露強硬論に端を発した大学と桂内閣との確執、国定歴史教科書改訂で浮上した南北朝正閏論争での官僚と在野とのやりとり、これらを3本柱として、東京帝国大学の体質を解明しています。
天皇問題での保守的性格、大学自治とは名ばかりの「文部省との馴れ合い」、「私学に対する冷淡な態度」など東京大学草創期の状況がリアルに描かれています。隠田の行者飯野吉三郎、謎めいた怪人奥宮健之、哲学館学生工藤雄三が舞台回しで登場します。
著者は、「欧米先進国に早く追い付け主義の帝国大学の教育に科学性は、それが濃厚になってくるにつれて天皇制と衝突した。そのたびに『学問』は萎縮し、帝国大学は当初の溌剌性を失い、次第に蒼古たる殿堂と化して」いった(「あとがき」p.584)と書いています。まことに正鵠を射た結論です。
著者は、「勝手な書き方をしてきた小説である」(「あとがき」p.584)と書いています。どういう意味でしょうか??
「『国家ノ須要ナル』人材を養成する目的の東京帝国大学の性格を明治後半期から小説にしてみよう」(「あとがき」p.584)とした作品です。
ムイアヘッドの倫理学をめぐる哲学館(東洋大学の前身)と文部省の対立、戸水教授をはじめとする七博士の対露強硬論に端を発した大学と桂内閣との確執、国定歴史教科書改訂で浮上した南北朝正閏論争での官僚と在野とのやりとり、これらを3本柱として、東京帝国大学の体質を解明しています。
天皇問題での保守的性格、大学自治とは名ばかりの「文部省との馴れ合い」、「私学に対する冷淡な態度」など東京大学草創期の状況がリアルに描かれています。隠田の行者飯野吉三郎、謎めいた怪人奥宮健之、哲学館学生工藤雄三が舞台回しで登場します。
著者は、「欧米先進国に早く追い付け主義の帝国大学の教育に科学性は、それが濃厚になってくるにつれて天皇制と衝突した。そのたびに『学問』は萎縮し、帝国大学は当初の溌剌性を失い、次第に蒼古たる殿堂と化して」いった(「あとがき」p.584)と書いています。まことに正鵠を射た結論です。
著者は、「勝手な書き方をしてきた小説である」(「あとがき」p.584)と書いています。どういう意味でしょうか??
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