他人のふんどし
何年か前に撮ったチョウの写真があって、それを去年、ガジ丸HPで虫を紹介するようになってから図鑑で調べた。生来いい加減な性格なので、最初の頃はテキトーな調べ方をしていた。で、そのチョウのことはメスアカムラサキであると判断していた。
最近になって、その古いチョウの写真を改めて調べてみた。この頃はたくさんのチョウの写真を撮ったりして、少し知識も増えたので、写真のチョウがメスアカムラサキでは無く、カバマダラであることが判った。メスアカムラサキの雌は、カバマダラに似てはいるが、それは他人のふんどしで相撲を取っているようなもの。いわゆる擬態。
カバマダラは毒を持っており、鳥などに襲われにくい。カバマダラに似せておけば自分もまた鳥などに襲われにくいというわけだ。
他人のふんどしで相撲を取っているようなこと、つまり擬態は、昆虫の世界では多くの例があるようだ。カバマダラのふんどしで相撲を取っているチョウも、メスアカムラサキだけでは無く、ツマグロヒョウモンもその一つといわれている。
ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋):鱗翅目の昆虫
タテハチョウ科 本州南部以南、沖縄などに分布 方言名:ハベル(チョウの総称)
「つまぐろ」を広辞苑で引くと、漢字で褄黒、または端黒と書き、「縁の黒いこと」を表すとある。「ひょうもん」は豹紋。したがって、ツマグロヒョウモンは縁が黒い豹柄のチョウということになる。オスはその名の通りの翅模様。メスはちょっと違っていて、メスアカムラサキと同じく自らに毒は無いが、毒を持つカバマダラに擬態している。
前翅長35ミリ内外。成虫の出現時期はほぼ周年であるが、チョウも沖縄の直射日光はきついらしく、真夏には少なくなる。幼虫の食草はスミレ類。
雄1
雄2
雌1
雌2
交尾
記:ガジ丸 2005.8.14 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
訂正加筆 20011.8.8
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行