ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

カイツブリ

2011年12月30日 | 動物:鳥

 潜り上手

 ウチナーンチュであり、沖縄に住んでおり、泳ぎもただ浮いているだけなら何の不自由も無い身でありながら、私はスキューバダイビングなるものをやったことが無い。スキンダイビングはある。高校2年だったか3年だったかに瀬良垣ビーチを訪れた際、地元の少年、小学校高学年か中学生に教えて貰って以来、何度か経験している。
 何度経験しても、海の中が特に好きにはなれない。海の中の食えるものには興味があるが、美しいサンゴなどと言われても、美しい花が陸上にはいっぱいあるじゃないかと思うだけだ。浮遊感よりも大地にしっかり足をつけて重力を感じていることの方が好きだ。その意味では、私はきっとスカイダイビングも好きになれないと思う。

  そんな私とは違って潜りの上手な鳥がいる。空を飛び海に潜る、浮遊の好きな鳥。2009年7月の大東島旅行の時に出会った。その時のメモがある。

 水面を眺めながらじっとしていること約30分、やっと1羽の水鳥が池畔の草むらから出てきた。距離は遠いが12倍ズームで写真を撮る。写真はやっと判別できる程度の大きさであった。後日調べてカイツブリと判明。カイツブリは警戒心の強い鳥とのこと。その時も、私が近付こうと思って立った瞬間、水の中に潜ってしまった。

 
 カイツブリ(鸊鷉) 
 カイツブリ科の留鳥 アジア、ヨーロッパ、アフリカなどに広く分布 方言名:不詳
 名前の由来、「ではないか?」という一説が広辞苑にあった。「掻いつ潜りつを略したものという説がある」とのこと。広辞苑には別名もいくつか紹介されており、一丁潜り、八丁潜り。息長鳥などとある。どれもカイツブリの同じ特徴を表したもの。
 飛ぶことはあまり得意で無く、水に潜ることは得意。『沖縄の野鳥』に「30秒ほど潜ることもあり、潜った地点からかなり離れた所に浮上する」とあった。長い距離を潜ることから一丁潜り、八丁潜りなどの別名がある。ちなみに丁は距離の単位で約109m。まさか八丁、872mも潜り続けることは無いだろうが。
 大東島で見たカイツブリは、その時カイツブリであるということを知らなかったが、今そこにいたのに、ちょっとよそ見している間に消えた。「あれっ?」と思って池面を見渡していると、離れた所から出てきた。消えた鳥と同じ鳥だったかその時確信は無かったのだが、後日、図鑑で調べて、カイツブリと知り、「であったか」と納得した。
 全長20センチ、池や沼などに生息。日本ではごく普通の水鳥らしいが、沖縄には少ないとのこと。大東島のものは亜種ダイトウカイツブリで白色種もいるとのこと。

 記:2011.12.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


淡々と呼吸する

2011年12月30日 | 通信-科学・空想

 12月第二週の『隠れた達人』、及び第三週の『気功の効果』の続き、

 少量生産少量消費を常々心掛けている私は、食事は概ね一日二食で、その一食一食も腹六分程度で済ませている。雲子はほぼ毎朝1回出るが、たぶん(他人と比べたことが無いので断定はできない)その量も少ないと思う。入るも出るも少量だ。
 少量生産少量消費を常々心掛けている私は、たぶん(これも他人と比べたことが無いので断定はできない)吸う息も吐く息も少ない。息はゆっくりで浅い。そのせいなのか知らないが、心拍数も少ない。これは周りの友人たちと比べて「少ない」と断定できる。
 ついでに言うと、入るお金も出るお金も少ない。これは絶対少ない。他人と比べずとも明白に少ない。入るお金が出るお金よりも少ないという状況が2年ほど続いているので、車購入のために貯めていた金も既に使い果たし、今は、貯めていた500円玉貯金箱を開けて、それから足りない分を賄っている。早く仕事を見つけなきゃあ、なのだ。

 話がちょっと逸れた。本題に戻る。私は手首で測る血圧計を持っていて、気になった時は血圧を測っている。測るのは朝目覚めた後、たいてい小便して、ベッドに戻って、息を整えて測っている。11月までは私の血圧は高めだった。上が140台、時には150に近い値もあった。下は90前後。12月に『隠れた達人』に教わった腹式呼吸をやるようになって血圧が下がった。上も下もそれぞれ10ポイントほど下がった。
 血圧が下がったのはもちろん良いことで、『隠れた達人』に感謝しているが、一つ気に入らないことが発生した。脈拍数が増えたのだ。私の血圧計は脈拍数も測ってくれる。それまで60前後であったそれが60台半ばから60台後半にまで増えた。
 『隠れた達人』に教わった呼吸法は、大雑把に言うと「お腹、できたら丹田で深く息をしなさい」ということであった。それを実践した。腹いっぱい息を吸い、吐いた。息の量はそれまでの10倍くらいだと思う。脂肪のほとんど無い私のお腹が丸くなる。
  その呼吸法を2分程やって血圧を測ると正常値となるのだ。しかし、脈拍数も増える。友人の整体師Sに言わせると「その数値が普通だ」なのだが、怠け者の私は肺も胃腸も心臓もあまり動かしたくない。血圧も下がって脈拍も下がる方法は無いかと考えた。
 腹式呼吸にいろいろ変化をつけた。息を腹一杯吸うのでは無く、食事と同じように腹六分にする、または腹八分にする。腹一杯、腹八分、腹六分を混ぜる、2分間だったのを5分間にする、10分間にする、などなど。結果はまちまちであった。脈拍が60前後になると、血圧が130台後半になったりする。良い方法はまだ見つかっていない。

 そんな中、整体師Sが「30分の気功だ、心身とも良くなるぜ」と一冊の本を貸してくれた。せっかくの好意だが、私はそれを最初の5分ほどで済ませている。Sも「腹式呼吸で丹田に気が集まり、その気が体を整えているんだろうな」と仰っている。だからいいのだ、私はちゃんとした気功をやらなくても、淡々と呼吸するだけでいいのだ。
 腹式呼吸を一ヶ月近く続けて、最近は丹田に息が届くような感覚も得られるようになった。そのうち、浅い呼吸でも息が丹田にまで届き、血圧は正常値で、脈拍は60前後という私の望むような結果が得られるに違いない、と期待している。
          

 記:2011.12.30 島乃ガジ丸


コサギ

2011年12月23日 | 動物:鳥

 オジーのサギ

 ダイサギ、チュウサギ、コサギのように全身が白いサギをまとめてシラサギと言う、と広辞苑にあった。シラサギという種はいないようだ。でも、ダイサギ、チュウサギ、コサギという名前よりもシラサギという名前が、白鷺という漢字と共に馴染み深い。
  ダイサギの項でも書いたが、白鷺というと祖父を想い出す。祖父の好きな泡盛が白鷺という銘柄であったからだ。子供の頃、10セント(当時の沖縄はアメリカドルが通貨)玉を渡され、近くのマチヤグヮー(今のコンビニのようにいろんなものが置いてある店)に白鷺を買いに行ったことをよく覚えている。何度も行っている。
 5、6年前だったか、そんな昔話を叔父とやっていたら、「オジーは白鷺が好きだったわけでは無い、泡盛は他のウイスキーなどに比べずっと安い酒だが、白鷺がその中でも最も安かったからだ。」とのこと。そうか、だから、とても臭かったんだと合点した。

  さて、鳥の方のシラサギの話。ダイサギ、チュウサギ、コサギは図鑑を見る限りとてもよく似ている。ダイサギと思われるものはあちこちで何度も見かけ、もしかしたら、これはチュウサギではないかと、そのたんびに迷っている。自分の撮った写真を図鑑の写真と見比べて「これはダイサギだ」と判断しているのだが、その結果、あちこちで何度も見ているダイサギかチュウサギか迷っていたものは全てダイサギであった。
 コサギは2度、写真を撮った。写真を撮った時点で「これはコサギではないか」と見当がついた。全体に小さかったのと、嘴が黒かったからだ。後で図鑑と照らし合わせてそれが正しい判断であることも判明した。ちなみに、チュウサギはまだ見つけていない。

 
 コサギ(小鷺)
 コウノトリ目サギ科の冬鳥 渡り鳥で沖縄で越冬 方言名:サージャー(サギの総称)
 名前の由来、『動物名の由来』に「サギはしばしば集団繁殖してやかましく騒ぎたてることによる」のではないかとあった。「騒がしいこと」の古語が「さやぎ」といい、それが略されたものではないかとのこと。鳴き声は『沖縄の野鳥』に「グェー、グェー、グッァー、グァーという太い声」とあったので、それは騒がしかろうと想像できる。
 ダイサギやチュウサギとよく似ている。3種とも全身が白いのでまとめてシラサギ(白鷺)とも呼ばれる。本種はダイサギやチュウサギに比べ小さいのでコが付く。
 『沖縄の野鳥』にも「群れでいることが多い」とあったが、吉の浦海岸でも富祖崎海岸も単独だった。騒がしかろう声については、私はまだ聞いたことが無い。
 ダイサギは全長89センチ、それより一回り小さいチュウサギは全長69センチ、さらに一回り小さい本種は全長61センチ。ダイサギとチュウサギのどちらも「冬羽は嘴が黄色くなる」のに対し、本種は夏も冬も黒いままなのが特徴。
 「嘴と足は黒く」は見てすぐに判り、「足指だけが黄色味をおびる」についても運良く足指を上げて見せてくれたので確認できた。また、「夏羽は後頭部に2本の細長い飾り羽がある」のも特徴のようだが、それについては、飾り羽は確認できたが、私には1本にしか見えなかった。「背にも飾り羽があり」ともあったが、それについては未確認。
 沖縄県では冬鳥で、越冬する。河川、干潟、海岸の湿地などを生息場所とし、9月から6月まで見られる。私が見たのは12月と4月、いずれも海岸で。
 
 「足指だけが黄色味をおびる」が撮った写真の1枚で運良く確認できた。

 記:2011.12.7 ガジ丸 →沖縄の動物目次
 追記:2018.6.7
 2018年6月6日、吉の浦公園を散策していたらコサギがいた。「後頭部に2本の細長い飾り羽」の1本が確認できる。「背にも飾り羽があり」はなおも未確認。
 
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『動物名の由来』中村浩著、東京書籍株式会社発行


親のシワ

2011年12月23日 | 通信-社会・生活

 今月の初め、久々に現場に出て、肉体労働をした。現場には、古株のOさんと私の他は社長の息子2人だけ、もう息子以外に手助けしてくれる若者はいなくなったようだ。その息子二人は、Oさんと私のオジサン二人が穴掘りや地均しなどの肉体労働をしている間、傍でぼーっと突っ立っていることが多々あった。社長の息子は労働者と同じような難儀をしてはいけない、などという教育を親から受けているのかもしれない。
 私から見れば「この二人このままじゃいつまでたっても一人前の職人にはなれないぞ、他所の会社に行ったら、一から鍛え直されるぞ」なのだが、Oさんに訊くと「社長から、無理するな、危険なことはするな、なんて言われているそうだ。」とのこと。確かに、ギアの調子が悪いトラッククレーンを子供たちは運転しない。高所での危険作業もOさんだけがやっている。「難儀なこと危険なことから逃げてばかりじゃ、一人前の人間にもなれないぞ、大丈夫か?我が子に対する愛情が間違っていないか?」と私は思った。

 友人Oの息子は、今でこそ一人前の営業マンとなっているが、子供の頃は手のつけられない暴れん坊だった。母親のE子が「ウチクルサリンドヒャー、エナワラバーヒャー」と怒鳴りつけるのを何度も見ている。ウチナーグチ(沖縄口)の専門家ではないので正確では無いかもしれないが、ウチクルサリンは打ち殺してやる、エナワラバーは嫌な童といった意味、ヒャーは侮蔑の意を含む接尾語。酷い言葉だ、罵詈雑言と言っていい。
 ちなみに、そのエナワラバーは幼児の頃、その暴れん坊のせいで通っている保育園から「明日から来ないで欲しい」と退園させられた程のエナワラバー。それがその後、まともに育って行き、今では一人前の仕事人となっている。それを考えると、甘いことが子に対する愛情ではなく、厳しく躾けることが愛情なのかもしれないと思う。

 躾けるのは面倒な仕事だ。私は友人の子供たちに対して怒ったことはほとんど無い。注意することもあまり無い。面倒なことをするほど彼らに愛情を持っていないからであろうと思う。愛情を持って怒る。ガミガミ言う。そうすると疲れる。皺も増える。で、歳を取って行く。親は親の役目を果たして、皺くちゃになって死んでいくということだ。
 親のシワは怒ることだけで増えるのでは無い。心配をウチナーグチ(沖縄口)ではシワと言う。「シワソーンドー」はよく聞く言葉だ。「ぃやー(お前)が(の)ぐとぅ(事)しわ(心配)そーたんどー(してたよ)」などと、祖父母両親が口にしていた。
 親たちは子供のシワをして皺が増える。娘が病に罹るとシワして皺が増える。息子がグレたりすると怒って皺が増え、シワして皺が増える。親業とはまったく大変な仕事なのである。心身ともに健康な子供であればそんなことは無いかもしれないが。

 「娘に腫瘍が見つかって近々手術することになった」と香川県に住む友人Tからメールがあった。その心労がどれくらいかは、それに関連するメールが立て続けに5通も送られてきたことから判る。Tもシワ(心配)で皺が増えたであろう。
 「息子が子持ち女を妊娠させてしまい、結婚することになった。」と友人Yが語った。息子は予備校へは行かず、親に黙って風俗でバイトをし、バイト先の従業員とデキタらしい。怒りとシワでYも皺が増えたであろう。こうやって親たちは老けていく。
          

 記:2011.12.23 島乃ガジ丸


イソシギ

2011年12月16日 | 動物:鳥

 映画のタイトルになる鳥

 中学生の頃、映画が好きでよく観に行った。よく観に行くほど小遣いを貰っていたわけでは無く、その頃母が映画関連会社に勤めていて、毎月招待券が手に入ったのであった。それで、少なくとも月に2本(当時は概ね2本立て)の映画を観ていた。
  映画が好きになって、当時一緒に暮らしていた従姉が映画音楽全集LP版6枚組みたいなのを買ったこともあって、ついでに映画音楽も好きになった。従姉が買ったのは40年ほど前だ、古い。『ウエストサイド物語』、『サウンド・オブ・サイレンス』、『太陽がいっぱい』、『大脱走』、『禁じられた遊び』などが収められている。
 そのLPレコードを私は何度も繰り返し聴いている。音楽を聴いて映画を反芻するみたいなことをやっていた。観たことの無い映画は、その主題歌を聴いて映画の中身を想像したりしていた。全部で70曲ほどもある中、おそらく私はその半分以上の曲を口ずさめると思う。三分の二くらいは、曲を聴いてタイトルを言い当てることができると思う。
     

  「いそしぎ」というと、したがって映画の『いそしぎ』を思い出す。映画そのものを観たかどうかは記憶に無く、映画の内容もまったく思い出せない。しかし、その主題歌は、すぐに口ずさめるというほどではないが、少なくとも、どこかでこのメロディーが流れていたら、「あー、映画いそしぎの主題歌だ」とたぶん判るはず。
 その「いそしぎ」、てっきり夕凪とか潮騒とかいった海辺で起きる事象か何かだと長い間思っていた。鳥の図鑑を見るようになった数年前に磯鷸なる野鳥がいることを知り、映画『いそしぎ』の「いそしぎ」は磯鷸のことであることも知った。

 
 イソシギ(磯鷸) 
 チドリ目シギ科の冬鳥 九州~近畿などで留鳥 方言名:不詳
 名前の由来、シギについては資料が無く不明。漢字の鷸は広辞苑にあった。磯という字も広辞苑にあり、その字の通り磯で見かける。シギの仲間のほとんどは磯で見かけることができるのだが、本種がその代表ということなのかもしれない。
 私が見たのはその名の通り、磯であったが、『沖縄の野鳥』に「内陸部の小さな池や川などでも普通に見られる」とある。名付け人が川で出会ったなら川鷸となったかも。
 全長20センチ。「腹の白色が翼のつけ根の前までくい込んでいる」のが特徴で、私が本種を本種であると判別できたのはそれによる。『沖縄の野鳥』にはまた、「尾を上下に振りながら歩くのが特徴」ともあったが、出会った時はそこまで観察しなかった。
 日本では、本州中北部地方以北では夏鳥、沖縄地方では冬鳥で8月から5月まで見ることができる。その他の地方では留鳥とのこと。鳴き声は『沖縄の野鳥』に「チーリーリー、チリチリチリ」とあったが、出会った時は鳴いてくれなかった。単独で行動することが多いともあり、私が出会った時も単独であった。
 
 沖縄市の倉敷ダム敷地内の池にいたイソシギ。

 記:2011.11.25 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行