ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オキナワヒバリモドキ

2014年12月01日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 違いの説明

 田中(仮名)さん家の猫と、中田(仮名)さん家の猫とはよく似ていて、私には両者の区別がつかない。ちょっとした違いはあるのだろうが、猫に興味のない私は、そのちょっとした違いに気付かない。品種の違いはあるかもしれないが、どちらの猫もネコ科の家猫で同じ種なのだ。私にその違いが判らなくて当然ともいえる。

 昆虫には種は違うが、互いに似ている者が多くある。過日、虫の写真を撮って、その虫が何者か判明させるために図鑑を見た。図鑑には私の撮った写真の者と似たような虫が2種いた。クロヒバリモドキとオキナワヒバリモドキ。図鑑の両者をよーく見比べたが、どこがどう違うのか判別できない。図鑑の両者をよーく見比べている内に「あっ、そういえば」と思い出した。今調査中の写真の虫と似ているが、どこか何か違うと感じていた虫の写真があった。残念ながらその写真、少々ボケていたので削除してしまっていた。

 最近、新しく参考文献に加えた『琉球列島の鳴く虫たち』には、クロヒバリモドキとオキナワヒバリモドキの両者の写真があり、写真だけでなく、両者の違いが詳しく説明されてある。それを読んで、今調査中の写真の虫がクロヒバリモドキであると判明。
 オキナワヒバリモドキはクロヒバリモドキより少し大きめで、色も全体に比較的明るいと判って、「いや、俺の畑にはオキナワヒバリモドキもいるぞ、しかも同じような所に」と確信を持って、オキナワヒバリモドキの写真を撮ることに挑戦した。
 それらしきものはいて、何度か写真を撮ったが、小さいのでなかなか良い写真が撮れない。ボケてない写真が撮れたのは挑戦を始めてから2ヶ月も経ってからだった

 
 オキナワヒバリモドキ(沖縄雲雀擬き):バッタ目の昆虫
 コオロギ科 琉球列島、小笠原諸島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。漢字表記の沖縄雲雀擬きも私の想像。ヒバリはクサヒバリを指し、本種はそのクサヒバリに似ているということでモドキがつくと想像し、クサヒバリは草雲雀で草地に住んで雲雀に似た鳴き声を出すからではないかと想像した。鳥のヒバリの鳴き声は『沖縄の野鳥』に「びるっ、びるるっ」とあり、クサヒバリの鳴き声は広辞苑に「ふいりりり」とあった。両者が似ているかどうかは実際に声を聞いたことがないので不明。オキナワは分布が琉球列島ということからで、たぶん間違いない。
 体長は4~6ミリとクロヒバリモドキより僅かに大きい。水田などの湿ったイネ科植物の草原に生息する。私の畑でもイネ科植物であるチガヤに多くいる。出現は周年。
 よく似たクロヒバリモドキとの違いが『琉球列島の鳴く虫たち』に詳しくあった。
 翅の色、オキナワヒバリモドキは淡黒色、クロヒバリモドキは黒色で光沢がある。
 脚の色、オキナワヒバリモドキは黄色、クロヒバリモドキは前、中脛節は黒色で、前、中腿節及び後脚は赤褐色。
 前翅、オキナワヒバリモドキは横脈が多い、クロヒバリモドキは横脈がほとんどない。
 口ひげの色、オキナワヒバリモドキは黄色、クロヒバリモドキは黒色。
 とのこと。
 本種は水田などの湿ったイネ科植物の草地に生息し、乾燥したイネ科植物の草地に生息するクロヒバリモドキと棲み分けしているらしいが、私の畑には両者いる。
 
 斜めから

 記:2014.10.17 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


クロヒバリモドキ

2014年12月01日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 似た者もどき

 先日、沖縄知事選があった。競っているトップ2は新人と現職だが、どちらも元は同じ政党の人。新人は辺野古基地建設反対を、現職は同基地建設推進を主張し、結果は予想通り、沖縄県民の多くが基地建設反対なので予想通り新人の大勝利。
 私も新基地建設には反対である。「新」が嫌なのである。過去さんざん基地被害を受けてきた沖縄に、新たに基地を造るなんて「どういうつもり?」という気分。「新基地は他府県に」と言っても、「どうぞうちへ」と仰るところは無いのだ。どこの都道府県も受け入れたくないものを、「だから、沖縄でいいさ」という政府に腹が立つ。
 辺野古基地建設反対を主張している人が次の知事となるが、しかし、それを「めでたしめでたし」と手放しで喜んでもいられない。新知事も現職と元は同じ穴の住人。新知事のこれまでの言動からしても、この2人は似た者同士だ。
 新知事が、もしもまた、現職同様、結局は基地建設推進に心変わりしたならば、それは県民を裏切る行為だ、県民の代表として失格である。さらに言えば、人としてもいかがなものか?となる。彼らは人もどきと呼ばれるようになるかもしれない。

 夏、畑の雑草、特にチガヤの蔓延る近辺を歩くとピョンピョン跳ねる虫が多くいた。跳ねるのには気付いたが、小さいのですぐにはその姿を確認できなかった。「バッタの類だな、知らない奴だ」と思い、カメラを持って何度かその姿を撮るのに挑戦した。
 小さいのでそうとう近付かなければならない。挑戦は6月までに数回、何度目かでやっとボケていない写真が撮れた。その写真と図鑑とを見比べ、何者か調べる。図鑑には私の撮った写真の者と似たような虫が2種いた。クロヒバリモドキとオキナワヒバリモドキ。図鑑の両者をよーーーく見比べたが、どこがどう違うのか判別できない。新しく参考文献に加えた『琉球列島の鳴く虫たち』を見て、やっと判別することができた。

 
 クロヒバリモドキ(黒雲雀擬き):バッタ目の昆虫
 コオロギ科 本州~南西諸島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。漢字表記の黒雲雀擬きも私の想像。ヒバリはクサヒバリを指し、本種はそのクサヒバリに似ているということでモドキがつくと想像し、クサヒバリは草雲雀で草地に住んで雲雀に似た鳴き声を出すからではないかと想像した。鳥のヒバリの鳴き声は『沖縄の野鳥』に「びるっ、びるるっ」とあり、クサヒバリの鳴き声は広辞苑に「ふいりりり」とあった。両者が似ているかどうかは実際に声を聞いたことがないので不明。クロは体が黒いということからで、たぶん間違いない。
 体長は3~5ミリと小さく。比較的乾燥した農地、公園、野原などのイネ科植物の草原に生息する。私の畑でもイネ科植物であるチガヤに多くいる。出現は周年。
 よく似たオキナワヒバリモドキとの違いが『琉球列島の鳴く虫たち』に詳しくあった。
 翅の色、オキナワヒバリモドキは淡黒色、クロヒバリモドキは黒色で光沢がある。
 脚の色、オキナワヒバリモドキは黄色、クロヒバリモドキは前、中脛節は黒色で、前、中腿節及び後脚は赤褐色。
 前翅、オキナワヒバリモドキは横脈が多い、クロヒバリモドキは横脈がほとんどない。
 口ひげの色、オキナワヒバリモドキは黄色、クロヒバリモドキは黒色。
 とのこと。
 オキナワヒバリモドキは水田などの湿ったイネ科植物の草地に生息し、乾燥したイネ科植物の草地に生息する本種と棲み分けしているらしいが、私の畑には両者いる。
 
 斜めから

 記:2014.10.17 ガジ丸 →沖縄の動物目次
 
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


ショウリョウバッタ

2014年11月12日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 無知の成せる自慢

 ガジ丸HPを始める前までの私は、子供の頃も含めてずっと、虫などに興味を持っていなかった。だから、この1年でだいぶ覚えはしたが、虫の名前をあまり知らずにいた。名前は知っていても、その実物を知らずにいたものも多い。アゲハチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヤンマトンボ、クマゼミ、アブラゼミなど、チョウやトンボやセミなど実物を見る機会は多くても、どれが何やらはずっと知らずにいた。
  バッタの仲間も同じで、トノサマバッタなんて有名バッタも、名前は知っているが、どれがトノサマバッタなのかは知らなかった。なのであるが、ただ一つ、ショウリョウバッタだけは、「これはショウリョウバッタである」と言明できたのである。ショウリョウバッタは、バッタの中では特徴のある形をしていて判りやすいからである。ところが、前に撮った写真で、これはショウリョウバッタの仲間であろうと思ったバッタが、調べてみると違うバッタであった。オンブバッタという名前だった。もしかしたら子供の頃、オンブバッタを捕まえて「これはショウリョウバッタだ」と、私は自慢 していたかもしれない。

 以上の文、書いたのは9年近く前。それ以降、ショウリョウバッタもオンブバッタも何度も観察している。虫などに興味を持っていなかった私でも、今は両者を区別できるようになっている。・・・が、ショウリョウバッタモドキという種があり、それは沖縄にも普通に生息しているらしい。もしかしたら私は、ショウリョウバッタモドキを捕まえて「これはショウリョウバッタだ」と自慢しているかもしれない。

 
 ショウリョウバッタ(精霊蝗虫):直翅目の昆虫
 バッタ科 本州以南、南西諸島、東南アジア、南欧に分布 方言名:シェー
 名前の由来は資料が無く不明。漢字の蝗虫は広辞苑にあったが、バッタという名の由来も不明。精霊も広辞苑から、ショウリョウトンボという項目が広辞苑にあり、「精霊祭のころに多く現れるので」と由来が書かれてある。精霊祭はお盆の頃、本種の出現も夏なので、同じ理由で精霊と付いたのかもしれない。正確なところは不明。
 このバッタは形が独特なので、子供の頃から私もその名前を知っていた。文献に「キチキチバッタという俗称がある」というのを見て、さらに懐かしく思う。そうだ、確かにキチキチバッタという名でも呼んでいた。雄が飛ぶ時にそういう音を出す。
 体長雄42ミリ内外、雌72ミリ内外。体色は緑色型と褐色型があり、なお、個体によって多少の色彩変異もあるとのこと。オンブバッタは雄が雌よりずっと小さいが、本種もまた、雄は雌より一回り小さく、やや細身とのこと。出現は5月から11月。
 
 八重山産

 記:ガジ丸 2005.12.5 →沖縄の動物目次
 訂正追記:2014.10.11

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


オンブバッタ

2014年11月12日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 甘えん坊の父ちゃん

 10月18日は母の命日だった。去年が七年忌で今年で満7年となる。早いもんだという感想。「他人の世話にはならない」性格の母だった。持病が悪化して入院して、しばらくたって一時退院した時、「買い物して、荷物がある時は家の階段の上り下りがきつい」と言っていたので、「そういう時は連絡しろよ、手伝うから」と私が申し出ても、一度も連絡が無く、その内、再入院して、あの世へ旅立った。
  父が死んでからは満4年半になる。父は真面目に働く公務員で、真面目に働いて2度も家を建て、親を養い、子を養い育てた。立派な男だと思う。ただ、母に対しては大いに甘えていたと私には見えた。「他人の世話にはならない」性格の母に対し、父は甘えたがり性格だったと思う。昔の男性がそうだったからかもしれないが、縦の物を横にもしないことがあり、「あーしてくれ、こーしてくれ」と母に対する要求は多かった。職場ではシャキッとした人だったかもしれないが、家では母に「おんぶに抱っこ」みたいだった。

 オンブバッタは、雌より一回り小さな雄が、雌の背中に乗っているところをよく見る。そういうところからオンブという名が付いているようである。雌の上に雄が乗るのは他の昆虫でも見られることだが、それは概ね交尾の際の体勢である。オンブバッタもそうだと思われるが、もしも、交尾の時以外でもオンブされていることがあるのだとすれば、よほど甘えん坊の父ちゃんである。小さいからといって、それじゃあ子供だぜと思う。
  オンブバッタの、甘えん坊の雄に比べられたら、父も「何でそんなのと俺とを同じ土俵に置くんだ!」と、あの世で怒るかもしれないが、父は母より大きく、母より力も強かった。細かいことは母に頼ったが、家の中の大工仕事や、腕力のいる作業は父が率先してやっていた。母が病気とか疲れている時などは、洗濯もし、料理もした。オンブバッタに比べればずっと優しい、頼もしい雄だったのである。
 さらに言えば、私の父は、精神的には母に「おんぶに抱っこ」だったかもしれないが、母をおんぶすることはあっても、母におんぶされることは1度も無かった。

 
 オンブバッタ(負蝗虫):直翅目の昆虫
 バッタ科 本州以南、南西諸島、朝鮮、中国に分布 方言名:シェー
 名前の由来、漢字の蝗虫は広辞苑にあったが、バッタという名の由来は不明。オンブについては『沖縄昆虫野外活動図鑑』に「雄は雌よりひと回りほど小型で、しばしば雌の背に乗っているところから」とあった。『沖縄昆虫野外活動図鑑』の写真も私の写真の1枚もそんな絵。交尾時だと思われるが、ただ単に甘えているだけなのかもしれない。オンブを広辞苑で引くと漢字表記が負とあった。これは長年生きてきて、初めて知った。 
 体長雄25ミリ内外、雌42ミリ内外。平地でも山地でも草地や畑などで普通に見られる種。体色には緑色型と褐色型がある。稀にキク科植物を食害することがあると『沖縄昆虫野外活動図鑑』にあった。キク科植物、私の畑には時期によってレタス、ゴボウ、シュンギクなどあり、キクイモ、ヨモギは年中ある。気を付けよう。出現は4~12月。
 
 脱皮
 
 褐色型の雌

 記:ガジ丸 2005.12.5 →沖縄の動物目次
 2014.10.11訂正加筆

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行


イソカネタタキ

2014年09月05日 | 動物:昆虫-直翅目(バッタ他)

 大雑把性質の罪

 事件は今年(2014年)8月10日に起きた。何の罪もない1匹の小さな虫が、大雑把で細かいことに気付かないオジサン(私のこと)によって、その命を奪われた。 
 オジサンは確信犯ではない。オジサンがほんの少しでも細かいことに気付く性質であったなら不幸な事件は回避できる可能性は大であった。その前日から起きている不思議な現象をオジサンがもう少し深く考えていたなら、事件は起きなかったであろう。

  オジサンの住まいはワンルームの学生向けアパート、部屋の西側は畑になっていて、雑木雑草も多く生えていて住宅街にしては緑豊かである。毎朝鳥の声に起こされ、夏は蝉の声が煩く、夜は蛙が大声で叫び、年中虫の声が聞こえる。
 事件の前日、オジサンは聞き慣れない虫の声を聞いた。ここではかつて聞いたことのない声、よく耳にするコオロギやタイワンクツワムシなどとは全然違う声。
 その声から「これはカネタタキというものではないか?」とオジサンは思った。カネタタキを見たことはないが、昆虫図鑑を何度も捲っ ているのでバッタの類にはそんな面白い名前の虫もいることを知っていた。「鉦を叩く音が名前の由来であれば、この声はそう喩えても間違いないな」と聞こえる良い声であった。
 鳴き声は近くから聞こえた。近いといってももちろん、部屋の中にいるなどとはちっとも思わない。窓を開けっ放しにしているのでその窓の近くだろうと判断した。しかし、声は窓とは反対の、台所の方から聞こえる。「年取って耳も悪くなったのかなぁ」ということにして、そのまま、声の元を探すこと無く1日が過ぎた。

  8月10日の朝、部屋の電灯の上でモゾモゾ動いているものに気付いた。「あちゃ、ゴキブリか?」と思い殺虫剤を手にした。ゴキブリにしては小さく、形も細長いので、「カメムシの類か?」と思い直したが、カメムシは手にすると臭いので「どっちでもいいや」と殺虫剤をその虫めがけて噴射した。虫はよろよろフラフラと机の上に落ちた。
 見るとそれはバッタの類であった。「あっ、もしかしてお前、昨日きれいな声を聞かせてくれていたカネタタキの類か?そうでありゃ悪いことをした、お前だと知っていればこんなことしなかったんだが、頼む、死なないでくれ、良い声していたよ、お前は死なせたくない」とオジサンは祈ったが、ゴキブリ用の殺虫剤は強力であった。

 
 イソカネタタキ(磯鉦叩き):バッタ目の昆虫
 カネタタキ科 関東以南~南西諸島、台湾に分布する 方言名:不詳
 名前の由来は資料がなく不明。カネタタキが広辞苑にあり、漢字表記の鉦叩も広辞苑から。その説明文の中に「ちんちんと鳴く」とあり、ちんちんを鉦を叩く音に見立てたものと思われる。イソ(磯)については、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「海岸のアダン、クサトベラなどの低木林から、やや内陸部のススキ原まで普通に見られる」とあり、海岸にはいないカネタタキに対比して磯と付けられたものと思われる。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「内陸部ではカネタタキと混棲することもある」とあったが、見た目では「雄は翅の先端に一対の黒点を有し」と「翅の長さはカネタタキに比べて小さい」とのことで区別でき、鳴き声でも、本種は「チリチリチリ・・・」という連続音で、カネタタキは「チンチンチン」と鳴くので容易に区別できるとのこと。
 雌は雄よりやや大きく、翅が無い。体長は11~14ミリ、出現は3~12月。
 
 横から
 
 雌

 記:2014.8.27 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行