ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

フチャギ

2011年03月17日 | 飲食:果物・菓子

 甘くないおはぎ

 甘い食い物はそう好きではない私は、特に洋菓子(ケーキ)の甘さが苦手で、ケーキ屋さんの前を通る時の匂いだけで頭痛のすることもあった。それなのに、高校生の頃好きだった人はケーキ屋の娘だった。好きだとも、付き合ってくれとも言えなかった。
 洋菓子系は苦手だが、あんこ系は好き。倭の国のぜんざいの甘さはちょっときついが、大福餅なんかは食う。彼岸などにスーパーへ行くと必ず置いてあるおはぎもその日には食う。破れ饅頭も食う。それらあんこ系の甘いものは月に1、2回(少ないか?)は食っている。ケーキは、そう、子供の頃、親も私の誕生日にケーキを用意しなかった。大人になってからは食えるようになったが、それでも、2、3年に1回くらいだろうか。

 盆、正月、シーミー(清明祭)の際に出される餅も、他の子供たちがあんこの入った餅や黒糖で甘くした餅を選んで食べていたのに、私は甘くない白餅を選び、塩をつけて食っていた。月見に出される餅も、おはぎ(私が子供の頃は出されていなかったが、最近はよく見る)より、沖縄のフチャギがどちらかというと好きで、フチャギもまた塩つけて食っていた。オジサンになってからは甘い方にも手が伸びるようになっている。
  フチャギとは、沖縄のおはぎのようなもの。俵型に整形した餅の周りに茹でた小豆、甘くない小豆をまぶしたもの。漢字で書くと吹上餅(フチャギムチ)。「中秋の十五夜に仏前に供える」と文献にある。年に1回しか食せない食い物となっている。が、公設市場などでは年中売られている。カーサムーチーと同じくこれもまた、もち粉を練って作る。カーサムーチーとこれまた同じく、サンニン(月桃)の葉を用いる。この場合は包むのでは無く、ただ敷くだけ。サンニンの代わりに芭蕉の葉を敷くこともある。

 餅粉というのは餅米を粉にしたものだが、だんごを作る際の材料である白玉粉と同じものであろう。沖縄の餅はおそらく全てが餅粉から作られている。詳しく調べたわけでは無いので断定する自信は無いのだが、餅米を蒸してから作る餅は無いと思う。
 子供の頃、杵臼で餅つきをする正月の光景をテレビで見て、すごく羨ましく思ったものだ。オジサンになったこの歳まで、私は生の餅つきを見たことが無い。当然、餅を杵でついた経験は無い。大学の頃、正月に帰省せず、一人アパートで孤独をしていたある年、つき立ての餅が食いたいと思い、餅米を炊いて、ビール瓶でついたことはある。
      
 記:ガジ丸 2005.1.16 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行