マヨネーズといえば
私の父はユースカー(米国民政府)に勤めていた。まれにだが、休みの日に職場へ連れて行ってくれたことがある。職場は、当然なのであるが米軍基地内にある。基地内にはアメリカ人用のスーパーがあり、アメリカ人用のレストランがあった。子供の私にとって、父の職場や父の仕事はどーでもよく、唯一最大の楽しみはそのレストランだった。
父はレストランのコックにも友人がいたようで、ある日、厨房内へ案内してくれた。父とコックが何の話をしていたか、英語だったのでよく解らなかったが、父がハンバーガーを注文し、「よっしゃ、とびきり美味いのを作ってやる」とでもコックは言って、でっかいハンバーグを焼きだした。鉄板では無く、網焼きだった。
ハンバーガーはとびきり美味かった。ハンバーグに塗られているケチャップの味も好きだったが、レタスの上に塗られたマヨネーズの味も私は好きであった。
沖縄にマヨネーズが上陸したのは占領軍と共にであろうが、その時上陸したマヨネーズがウチナーンチュのマヨネーズとなった。それはエゴーマヨネーズという銘柄。後年、たぶん復帰後のことだと思うが、日本産のキューピーマヨネーズがやってくるまで、ウチナーンチュにとってマヨネーズといえば、このエゴーマヨネーズしかなかったのである。
アメリカ人は酸っぱいものが大好きみたいで、アメリカ人が好んで食べるピクルスもザワークラウトも酸味が強い。別項で紹介するA1ソースも酸味が強いが、このエゴーマヨネーズもキューピーや味の素に比べてずっと酸っぱい。
東京暮らしでキューピーの味に慣れてからは、エゴーの酸っぱさがきつくて、以来、私はほとんど口にしていない。今度、このHPのために1瓶買いはしたが、開けようかどうしようか、今悩んでいるところである。懐かしさだけでは完食できないかもと。
エゴーマヨネーズはアメリカ合衆国産。エゴーはEGGOと書く。エッグからきていると思われる。ラベルには、マヨネーズではなくサラダドレッシングと書いてある。ホリデーマーガリンもA1ソースも今は本土の企業が輸入元であるが、このエゴーマヨネーズだけは今でも沖縄の企業が輸入元となっている。全国区では無いということであろう。この酸っぱいマヨネーズは、倭人の口に合わないのかもしれない。
ユースカーについては →記事「個人は友達、集団は敵」
記:ガジ丸 2006.2.28 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行