ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

イワサキクサゼミ

2014年05月09日 | 沖縄の動物:昆虫-カメムシ・セミ

 勢力拡大中?

 小さなセミの不鮮明な写真がある。どんな状況で、どこで撮ったかは記憶している。旧玉城村のつきしろのまち、その日そこで現場仕事があり、昼休みだったかに辺りを散策して、道路沿いのススキが蔓延っている草むらで小さなセミを見つけ写真を数枚撮った。その日は風が強く、草の葉が揺れて数枚の写真全てがボケてしまったのだ。
 いつのことかは日記を調べた。2007年6月19日。梅雨明け間近の暑い日だった。小さなセミの正体は、同僚のTさんが知っていた。イワサキクサゼミ。

 先週の日曜日(4月27日)、畑仕事をしていると、セミの声が聞こえた。今年の初セミだ。時期からして「シーミーグヮーだな」と思った。鳴き声も文献に書かれてある通りのジーーーーと続く声、シーミーグヮーは方言名で、清明(二十四節季の一つ)の頃に鳴き始めるセミということでシーミー(清明)小(グヮー:小さいものという意)、和名ではクロイワニイニイという。4月は清明の頃、「名前通りだな」と思った。
  セミの声は一ヶ所から聞こえ、1匹のようであった。彼は長く鳴き続けていた。その声を聞いている内に、シーミーグヮーとはちょっと違うような気がしてきた。しかも、声が聞こえてくる所に木は無い。バナナとパパイアとサクナがあるだけ、いずれも草本類だ。もしかしたらと思って、声の主を探した。彼はサクナの葉の上にいた。
 クロイワニイニイは同じく2007年6月19日、つきしろのまちで、木の幹にしがみついているところを撮っている。クロイワニイニイも小さいけれど、サクナの葉の上にいたセミはもっとずっと小さい。「こりゃ、イワサキクサゼミではないか!」と驚いた。

 イワサキクサゼミの分布はごく限られている。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「沖縄島南部、宮古諸島、八重山諸島」とあって、沖縄島南部については『沖縄大百科事典』に「(旧)知念村、(旧)玉城村の一部にしか生息しない」と詳しくあった。図鑑の写真も全て(旧)知念村、(旧)玉城村のもの。私の経験でも玉城でしか見たことがなく、鳴き声も玉城でしか聞いていない。そのセミが私の畑にいる。
  私の畑は旧知念村、旧玉城村から与那原町を挟んだ西原町、イワサキクサゼミがその領土を拡大しているということだろうか?旧知念村、旧玉城村の北側や与那原町、その隣の南風原町まで出掛けイワサキクサゼミがいるかどうか調べる必要があるかも。

 畑のイワサキクサゼミ、29日にはパパイアの葉の上にいて、5月3日にはバナナの葉の上に移り、翌日にはいなくなった。寿命が尽きたのであろう。5月1日には彼がいた箇所とは反対の北端のセンダングサの葉の上にもう1匹、見つけた。その翌日には畑の向かいにあるススキの蔓延る森からも1匹の鳴き声が聞こえた。
 イワサキクサゼミの勢力拡大は、なっぴばる(私の畑の名)の周辺で煩いほど多数の声が聞こえてきたら、他所に調べに行くまでも無く、証明できるはず。

 
 イワサキクサゼミ(岩崎草蝉):半翅目の昆虫
 セミ科 沖縄島南部、宮古諸島、八重山諸島などに分布 方言名:ガヤサンサナー
 名前の由来、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「多くのセミ類が樹木の根から吸汁するが、草本から吸汁するためクサゼミの名がある」とあった。イワサキは岩崎卓爾のイワサキ、岩崎卓爾は1899年、石垣島の初代測候所所長となり、八重山の自然、歴史、民俗の研究にも大きな功績を残した。彼が(学術的)発見をし、彼の名のつく動植物はいくつもある。本種もその一つ。岩崎卓爾については、いずれ別項で述べたい。
 寄主はチガヤ、ススキ、サトウキビなどで、方言名のガヤサンサナーのガヤはチガヤのことを指す。サンサナーはクマゼミのことで、セミの代名詞として使われている。
 体長12~17ミリで、日本国で最小のセミ。成虫の出現は4月~7月で、最盛期は5月。ジージージーと鳴き「多発生地では話声が聞こえないほど煩い」とのこと。ジージージーは一匹でも音量は大きい。地中に2~3年いて成虫となる。成虫の寿命は5~13日とのこと。サトウキビの害虫となっている。翅脈が緑色をしていてきれい。
 沖縄の固有種で、外国では台湾南部にもいるとのこと。
 
 横から
 
 交尾

 記:2014.5.5 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行

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