妄想は遠慮して
テントウムシも夏の暑さはきついのか、今(7月)はその姿をあまり見ないが、冬の間からダンダラテントウは多く見られ、春が近付くとニジュウヤホシ、キイロ、ハイイロなどがどこからともなく湧き出してきた。その時にそれぞれの写真は撮ってある。そして、それらを紹介するのは有名なナナホシを撮ってから一緒に、と思っていた。ところが、そのナナホシがなかなか見つからないのであった。どうも、私の周辺には個体数が少ないみたいである。で、紹介が延び延びになっていたテントウムシであった。
先月の四国の旅でナナホシ(写真はピンボケだが)を見つけ、またナミテントウの写真も撮れた。どちらも沖縄にいることはいるらしいが、私には探せなかったもの。まあ、とにかく、これでやっとテントウムシを紹介できることとなった。
テントウムシを紹介する際は、その題を『伝統無視の産婆』にしようとも思っていた。が、よく考えると、『テントウムシのサンバ』はずいぶん古い歌で、知らない人も多いだろし、産婆もまた知らない人が多いと思われる。ということで、「伝統を無視して仕事をする産婆さんが大活躍する」という妄想は、私の頭の中だけに収めた。
テントウムシ(天道虫・瓢虫・紅娘):甲虫目の昆虫
テントウムシ科の甲虫 方言名:グスーマヤグヮ
テントウムシという名は、テントウムシ科の甲虫の総称でもあるが、ナミテントウをも表す。で、ナミテントウはその名の通り、日本では最も普通に見られるテントウムシ。ただし、日本では最も普通かもしれないが、沖縄では、少なくとも私の周辺ではあまり見かけない。体長7ミリ内外。アブラムシやカイガラムシなどを捕食するので益虫となる。
体の色模様はさまざまで、「赤の無地、赤地に多くの黒紋のあるもの、黒地に赤紋のあるものなどがある」(広辞苑)ようだが、私は1種類しか見ていない。
広辞苑を引くと、天道虫という字の他に瓢虫、紅娘などの字もあてられている。紅娘とは面白い。これからも妄想が発展しそうだが、今回は遠慮した。
テントウムシの交尾
ナナホシテントウ(七星瓢虫):甲虫目の昆虫
テントウムシ科の甲虫 日本、アフリカなどに分布 方言名:グスーマヤグヮ
テントウムシの由来は資料が無く不明。天道虫とは広辞苑にあったが、天道とは神、あるいは太陽を表す。益虫であることから神の使いとされたか、太陽の下でよく見かけるから、といったところではないか。本種は体に7個の黒班があるのでナナと付く。
名前は最も馴染み深いテントウムシで、ナミテントウよりもむしろこっちの方をよく耳にする。童話か漫画の主役だったかもしれない。本土では「人家の近くでもよく見られ、人々に親しまれる」らしいのだが、私の生活する周辺で本種はあまり見かけない。
体長約5~8ミリ内外。寄主はアブラムシ類で、成虫幼虫ともにアブラムシ類を捕食するため、人間からは益虫とみなされる。夏と冬は休眠するとのこと。
ナナホシテントウの脱皮
記:ガジ丸 2006.7.22 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行