ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ゴイサギ

2014年01月24日 | 動物:鳥

 天皇に認められた鳥

 才色兼備の人妻Mとはたまに会い、たまに電話し、時々メールのやり取りをする。人妻の「人」は私の従姉の息子で、彼が子供の頃はよく遊んでやったので、親戚の中ではごく親しい仲だ。そして、彼が女房を紹介した時、私はすぐに彼女を気に入り、携帯番号を聞き、メールアドレスを聞き、その後は夫よりも女房の方とずっと親しくなったわけ。
 Mの長男はこの4月に中学生となる。畑を初めてから私が忙しくなってあまり遊んでやっていないが、2、3年前までは公園の散歩などに連れて行ったりした。昆虫が好きなので私とも話が合ったのである。彼はまた、切手やコイン集めが好きで、勉強の方では歴史が好きだと聞いている。Mに似て頭が良いらしく、成績もトップクラスらしい。

 実家の片付けをしていて、あちこちにあるたくさんの棚から様々なモノが出てきた。壺類は30個余、掛け軸が4幅、古いコイン、など「なんでも鑑定団」に出せば、もしかしたら値打ちものかもと思われるものもあったが、それらは全て人に譲った。
 掛け軸を入れるような細長い桐の箱、普通の掛け軸よりずっと大きめの箱が一つ、母の部屋の棚の奥から見つかった。「おっ、これこそ鑑定団行きかも」と期待しつつ箱の表を見ると、そこには「歴代天皇御真影・・・」とあった。
 天皇が外国へ行って、その国の人々と友好を深めるといったニュースをテレビで観たことがある。天皇はたいてい歓迎され、尊敬を持ってもてなされているように感じた。なので、「百人の政治家が1千回外国へ行き、1万の握手をするより、天皇の微笑み一つが、外国との心の友好を深めるためには遥かに有効かも知れないな」と私は思った。
 そのように、平和のために尽力されていると十分承知しているが、ウチナーンチュの多くは天皇と歴史的に縁が薄い。なので、「歴代天皇御真影・・・」を貰ってくれる親戚友人知人はいないだろうと思った。「古本屋へ持って行こうか」と思った。
 ところが、正月にM家族が来た時その話をすると、長男が強く興味を示し、「見てみたい」と言い、箱を開け、掛け軸様の巻物を伸ばした。そこには神武天皇から現代までの天皇の肖像画がずらっと並んで描かれていた。長男は目を輝かせた。

  今回紹介するゴイサギ、その説明文(下記)を書いたのは昨年末、その時に、その名の由来は「醍醐天皇が神泉苑の御宴の折、五位の位を与えた故事による名」と広辞苑にあって、「そうか、天皇が認めた鳥であったか」などと思って、ちょうど醍醐天皇という言葉が頭にあった。で、「醍醐天皇って足利尊氏の頃の天皇だっけ?」と、掛け軸に魅入っていたMの長男に訊いた。「全然違うよ、醍醐天皇は菅原道真の頃だよ」と答える。
 「そうだったか、尊氏の頃は後醍醐か?」と、オジサン(私)は恥の上塗りを覚悟して再度質問した。「当り」と長男は笑った。オジサンはホッと胸を撫で下ろした。

 
 ゴイサギ(五位鷺)
 コウノトリ目サギ科の冬鳥または一部留鳥 方言名:ユーガラサー
 名前の由来、サギについてはサギ類の項で前に述べたが、『動物名の由来』に「サギはしばしば集団繁殖してやかましく騒ぎたてることによる」のではないかとあった。「騒がしいこと」の古語が「さやぎ」といい、それが略されたものではないかとのこと。
 ゴイは広辞苑にあり、「醍醐天皇が神泉苑の御宴の折、五位の位を与えた故事による名という」とのこと。五位の位を与えられる前にも名前はあったはずだが、それは不明。方言名のユーガラサーの方はずっと解り易く、夜のカラスという意。本種は夕方から夜間に飛びながらグワッとかガァッ、あるいはゴア、ゴアと大声で鳴く。
 幼鳥は成鳥と見た目が大きく異なるとのことで、全身灰褐色に淡色の星状斑紋があり、そのため別名ホシ(星)ゴイとも呼ばれるとのこと。
 全長58センチの中形のサギ。冬鳥または一部留鳥で、一年中見られる。緑黒色の後頭部に2本の細長い白羽が目立つ。河川や湖沼の岸辺、水田、それらの周辺の林に生息するとのこと。私は沖縄ではまだ見ておらず、愛知の東山動物園の池で見た。

 記:2014.1.23 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行
 『沖縄 宮古の野鳥』砂川栄喜著、(有)ボーダーインク発行