ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キボシカミキリ

2011年07月23日 | 動物:昆虫-甲虫目

 君は君だろうか?

 数ヶ月前に矢頭治虫さんという方からメールを頂いた。ガジ丸HPに載せてある写真の甲虫の一つが、「その名前の甲虫ではないと思いますよ。」といった内容のメール。矢頭治虫さんは日本甲虫学会の会員で、主にオサムシを専門にしているとのこと。
 私は正統派のウチナーンチュであり、物事をテーゲー(大概、大雑把といった意味)で捉える癖が身に染み付いている。それに加え、HPで昆虫を紹介しておきながら、昆虫について学問したことの無い素人である。「昆虫の同定って難しいですね。」と、少々開き直った返信をした。すると、虫に興味を持つ人は、私がそうであろうと期待していた通り優しいのであった。「昆虫の同定はプロでも難しいです。」との言葉を頂く。

  昆虫には見た目似ているけど別種であったり、雄雌で違ったり、親子で違ったり、個体差もあったりして、何者か判別するのに難しいものが多くある。キボシカミキリは、体の色模様が地域差に富んでいるとのこと。そのせいだと思うが、私が参考にしている図鑑の一つと、私の写真とが一致しなかった。で、迷ったのだが、別の図鑑と一致したので、プロでも難しい同定を「えいやっ!」と、やってしまった。そんなテーゲーを、優しい矢頭さんはきっと、「それでいいと思います。」と言ってくれるに違いない。

 
 キボシカミキリ(黄星天牛):甲虫目の昆虫
 カミキリムシ科 本州~琉球列島、台湾などに分布 方言名:カラジクェー
 ある文献にオキナワキボシカミキリと独立してあったが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』によると、「近年まで奄美、沖縄、宮古のものはオキナワキボシカミキリという別種としていたが、現在では日本産は全て同種で、10亜種に分けられている。」とのこと。10亜種のうち、トカラ列島亜種、奄美諸島亜種、与論島・沖永良部島亜種、沖縄諸島・大東諸島亜種、宮古諸島亜種、八重山諸島亜種、与那国島亜種が琉球列島にあるとのこと。
 「首が長く、複眼は互いに近接」と体の特徴があったが、体の色模様については「地域差に富み」ということで、上記の通り「島ごとに亜種化」しているようだ。
 体長15~30ミリ内外、成虫の出現は4月から7月、寄主はアコウ、イヌビワ、ガジュマルなどのクワ科植物。幼虫も同じ植物に住む。リュウキュウクワカミキリ同様、シマグワの害虫とのこと。

 記:ガジ丸 2009.9.12 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『日本の甲虫』(株)北隆館発行