ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アヒル

2011年04月01日 | 動物:鳥

 アヒルはテレビによく出てくる(生命保険会社のコマーシャルなどで)ので、今の子供たちにも身近な動物であろう。私が子供の頃は実物が近所にいたし、親戚の家にもいて、その頃の沖縄の子供たちにとっては今よりもっと身近な動物であった。
  でも、最近は見ない。私はここ30年ばかり見ていない。アヒルの肉は結核の薬として沖縄では昔から食されてきた。結核に罹る人が少なくなったのでアヒルも少なくなったのだろうと思う。食物としてのアヒルは沖縄の飲食「アヒル料理」で紹介済だが、それにも書いたように、味は鶏肉とそう違わない。飼育がニワトリよりも少々面倒らしい。そういうこともあって、飼育する農家も少なくなったのであろう。
 友人のKYから「アヒル肉を売っている所がある」と聞いて、そこを訪ねた。そこの看板には「観音アヒル」とあった。アヒルはマガモを家禽化したもの で、いろいろな品種があるらしい。「観音アヒル」というのもその一種であろうと思った。が、同じ看板に観音アヒルの絵も描かれてあった。描かれている絵は、私には見覚えがあった。
 年に1、2回は散歩している龍潭にそいつはいる。何羽もいる。前に紹介した「バリケン」の一種だ。バリケンはカモの仲間のノバリケンを家禽化したもの。アヒルとは同科だが、種は違う。それでも、全体が白い種はアヒルによく似ている。全体が白くて、頬が赤いバリケンが「観音アヒル」ということみたいである。
 春、沖縄総合公園の池でマガモに良く似た鳥を見た。似ているけどどこか違う。ネットで調べてみた。アヒルにはマガモに良く似たアオクビアヒルなんて種もいた。

 
 アヒル(家鴨・鶩):卵・肉、羽毛を利用
 カモ目カモ科の家禽 マガモの改良品種 方言名:アヒラー、アフィラー
 渡り鳥のマガモから中国・ヨーロッパで作られた家禽。多くの品種が作られ、中国に北京ダックという高級料理があるが、ペキンダックという品種のアヒルがいる。
 沖縄でも古くから飼育され、卵や肉が食用として利用された。結核の薬とのこと。私が子供の頃、近所にアヒルを養っている家があり、親戚の家にもあった。まあまあ見かける家禽だったと思うが、最近はあまり見かけない。沖縄大百科事典に「穀類、糠類、青草、菜類、残飯などをよく食べる」とあって、何でも食べるなら飼育しやすいのでは?と思ったが、その続きに「頻繁にくちばしを水に入れる(飲料と水洗い)ため、飼料は不経済となる」とあり、「現在あまり飼育されていない」とのこと。
 肉はアヒル鍋、アヒル汁などにして食す。特に臭みがあるとか、肉が固いということは無く、普通の鶏と同じ感覚で食べられる。焼いても美味しいらしいが、私は未経験。手羽を甘辛く煮たものを食べたが、これは少し固く、美味しいとは感じなかった。
 卵は有名な中国の食品、皮蛋(ピータン)の材料となる。羽毛は布団や枕などに利用される。鳴き声はグワァ、グワァ。

 
 観音アヒル=バリケン(bergeende):カモ目の鳥類
 カモ目カモ科の留鳥 方言名:不詳
 南米産のノバリケンを家禽化したもの。沖縄では大きな池などでよく見かける。

 記:2011.2.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行