おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ボディガード

2024-03-07 08:03:39 | 映画
「ボディガード」 1992年 アメリカ


監督 ミック・ジャクソン
出演 ケビン・コスナー  ホイットニー・ヒューストン
   ビル・コッブス  ゲイリー・ケンプ
   ミシェル・ラマー・リチャード  マイク・スター

ストーリー
フランク・ファーマーは世界でも屈指の実力を持つボディガード。
ある時、歌手兼女優のスーパースター、レイチェル・マロンの護衛を依頼される。
最近彼女の身辺で不穏な事件が発生し、脅迫状まで送られて来たのだ。
レイチェルの邸宅を訪れたフランクはずさんな警備体制に驚き、彼女のボディガードとなる決心をする。
フランクの目をかすめてライヴハウスでコンサートを行ったレイチェルは、舞台に上がった男から客席につき落とされるが、駆けつけたフランクに助けられる。
錯乱状態になった彼女を心から介護するフランクを見て、それまで彼をただの邪魔者としか考えていなかったレイチェルは、初めて心を開く。
フロリダのコンサートでレイチェルのもとに脅迫電話がかかり、さしせまる危険を感じたフランクは、自分の父が住むオレゴンに一時レイチェルを隔離する。
雪深いオレゴンで、レイチェルの息子フレッシャーと、レイチェルの姉で付き人でもあるニッキーと過ごすフランクとレイチェルはささやかな幸福に浸るが、フレッシャーの乗るボートが突然爆発し、幸い彼は助かったものの、何者かの手が近づいていることは明白となる。
その夜フランクは、ニッキーから真実を聞かされる。
あの脅迫状を見て、バーで見知らぬ男にレイチェルの暗殺を依頼したこと、今では後悔しているものの、その男を探し出せないでいること_。
しかしフランクが少し目を放している隙に、ニッキーはあっけなく殺されてしまう。


寸評
脚本をもう少し練り上げていれば傑作になったかもしれないのに残念だ。
ホイットニー・ヒューストンが演じるレイチェルは何者かの脅迫を受けているのだが、彼女に危害が一向に及ばないのでサスペンスとしての盛り上がりに欠けてしまっている。
彼女を心配させないためにスタッフによって脅迫の事実が隠されているのだが、事実を知らない彼女に魔の手が伸び始める描写はもっと必要だろう。
走り去る車だけでは物足りないし、いつ襲われるかもしれないという恐怖感も湧いてこない。
ケビン・コスナーがスーパーマン的な活躍を見せるのではなく、プロらしい地道なボディガードぶりを見せるのはいいとしても、やはりサスペンス部分はもう少し欲しかったところだ。

脅迫状から殺害に至る二重、三重の構造も分かりにくく、説明不足のために意表を突かれたという盛り上がりに欠けるものとなっている。
着想は良いのだからもう一工夫、二工夫あっても良かったのにと残念な気持ちだ。
わがままなスターと、プロに徹するボディガードのやり取りが大半を占めているので、犯人との攻防が極めて少なくなってしまっている。
レイチェルは一人息子を溺愛しているが、この子供の役割も十分とは言えない。
通常だとフランクと徐々に心を通わせていく展開があり、子供を通じての理解とか、描き方は色々出来たと思うが、ボートの爆破だけでは物足りないように思う。

フランクはかつてレーガン大統領のシークレット・サービスを務めていたのだが、母親の葬儀で休んだ時にレーガンが狙撃される事件が発生し自分の使命が果たせなかったとのトラウマを抱えている。
そのトラウマの影響もはっきりしないものがあって消化不良だ。
ニッキーのスターになった妹への嫉妬心ももう少し上手く描けたはずだ。
人間の内面に切り込んでいく演出は避けているように感じる。

挙げればきりがない粗さを持った作品なのだが、何といってもいいのはホイットニー・ヒューストンの歌声を初めとするサウンドトラックで、これがあるから記憶に残る作品となっている。
いっそ、劇中でもっとホイットニー・ヒューストンに歌わせても良かったかもしれない。
そうすれば上質な音楽映画になったかもしれない。
僕はホイットニー・ヒューストンが「I Will Always Love You」を高音を響かせ歌いあげるサントラ盤CDを所持しているが、なかなかの聞きものとなっている。
CDを聞いてから見ることになった作品でもあり、このサントラ盤あっての作品だと思う。
ホイットニーにはアルコール・薬物依存からの復帰プログラムが施されているとか、2012年1月には破産寸前であると報じられるなど、さまざまな問題が続いていたが、2012年2月11日に、カリフォルニア州ビバリーヒルズのホテルで浴槽の中に倒れていたところを発見され死亡した。
入浴中にコカインの影響で心臓発作が起こしたという淋しい亡くなり方だったが、48歳での没は惜しまれる。



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