おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

パリは燃えているか

2021-09-14 06:49:18 | 映画
「パリは燃えているか」 1966年 フランス / アメリカ


監督 ルネ・クレマン
出演 ジャン=ポール・ベルモンド
   シャルル・ボワイエ
   グレン・フォード
   アラン・ドロン
   カーク・ダグラス
   ゲルト・フレーベ

ストーリー
1944年8月、第2次世界大戦の連合軍の反撃作戦が始まっていた頃、フランスの装甲師団とアメリカの第4師団がパリ進撃を開始する命令を待っていた。
独軍下のパリでは地下組織に潜ってレジスタンスを指導するドゴール将軍の幕僚デルマと自由フランス軍=FFIの首領ロル大佐が会見、パリ防衛について意見をたたかわしていた。
一方独軍のパリ占領軍司令官コルティッツ将軍は連合軍の進攻と同時に、パリを破壊せよという総統命令を受けていた。
コルティッツ将軍は、すでにドイツ敗戦を予想していて、パリを破壊することは全く無用なことと思っていた。
やがて連合軍の進撃が始まり、米軍のブラドリー将軍は全軍にパリ進攻を命令した。
8月25日、ヒットラーの専用電話はパリにかかっていて“パリは燃えているか"と叫び続けていた。


寸評
僕が初めて見たオールスター・キャストと称される作品で、手元のパンフレットの日付を見ると1966年12月26日となっている。
実際、ちょっとしたエピソードに名だたる俳優が登場していて、今となってはそれを見るだけでも楽しい作品だ。
オールスター映画とあって、パンフレットをめくるとキャスト欄には55名の名前が役名と共に記載されている。
主だった俳優として1ページに2名が写真付きで紹介されていて、そのページ数は8ページ16名に及ぶ。
脚色者にゴア・美ダルと共にライター時代のF・コッポラの名前がある。

物語の主軸は、パリ郊外に迫る連合軍の進撃を阻止するためにヒトラーが立案した、“パリ焦土化計画”と、これを食い止めようとするレジスタンスたちの熾烈な攻防戦。
ドキュメンタリータッチの効果を狙ったと思われるモノクロ映画で、時折ニュース映画からの転用と思われるシーンの違和感をなくしているのは期待通りだ。
2時間49分、20巻の長尺とはいえ、これだけの俳優が登場するとエピソードは散漫にならざるを得ず、戦争の悲惨さは伝わって来ない。
煙草を買いに出かけたままドゴール軍に参加した兵士がアメリカ製の煙草を持ってまもなく我が家というところで爆死してしまう場面では、キャメルの煙草を映して終わる。
あこがれのパリに進撃した兵士は歓喜と共に銃撃にあい、あっけなく死んでしまう。
それらのシーンは「可哀そうに…」という思いだけを抱かせ、そのことを通じた戦争がもたらす悲劇性をあまり訴えてこない。

戦争の悲惨さを感じさせないもう一つの理由に、ウィットに富む会話などが全体に散りばめられていることもあると思う。
だけども、第二次世界大戦においてフランスがどうだったのかを知らない僕にとっては、当時の内情を知り得て興味しんしんではあった。
レジスタンスが派閥に分かれていて主導権争いをしていたことなどが、戦後にドゴールが大統領になったことと重ね合わせると面白く見ることが出来る。
敗戦を知ってまっとうな態度を示すドイツ兵なども結構描かれていて、その筆頭がドイツ軍最後のパリ司令長官だろう。
レジスタンスのアラン・ドロンやジャン=ポール・ベルモンド、戦車隊の軍曹イヴ・モンタンなどの熱演もあるが、役得だったのはパリ司令長官コルティッツ将軍を演じたゲルト・フレーベと、スウェーデン領事のオーソン・ウェルズだ。
二人ともパリ解放に貢献度大の人物として描かれて、作品中で一番の好感度を得れたのではないかと思う。
今では作られることはなくなったタイプの戦争大作の1本ではある。


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