おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

去年マリエンバートで

2022-06-08 07:04:55 | 映画
「去年マリエンバートで」 1960年 フランス / イタリア


監督 アラン・レネ
出演 デルフィーヌ・セイリグ
   ジョルジョ・アルベルタッツィ
   サッシャ・ピトエフ

ストーリー
豪奢だが、どこか冷たいたたずまいを見せる城館に、今日も富裕らしい客が、テーブルを囲み、踊り、語って、つれづれをなぐさめている。
まるで凝結したような、変化のない秩序に従った生活で、誰も逃げ出すことの出来ない毎日なのだ。
この城館の客である一人の男が、一人の若い女に興味をもった。
女とは去年に会っていた、マリエンバートで……。
そして男は女に、「過去に二人は愛しあっていた、彼は女自身が定めたこの会合に彼女を連れ去るために来た」と告げた。
男はありふれた誘惑者なのか、気ちがいか?女はこのとっぴな男の出現にとまどった。
だが男は真面目に、そして執拗に、過去の物語を話して聞かせながら言葉をくり返し、証拠を見せる…。
女は相手を認めるようになったが、女は今迄自分が安住していた世界を離れることに恐怖を感じた。
それはやさしく、遠くから彼女を監視しているようなもう一人の男、多分彼女の夫である男によって表現される世界であった。
今や苦悩は女の現実であり真実となり、現在と過去はついに混り合った。
三人の間の緊張は女に悲劇の幻想さえおこさせたが、ついに女は男の望んだ通りの存在であることを受け入れ男とともに、何ものかに向って立ち去った。
それは、愛か、詩か、自由か、……それとも死かもしれないのだが……。


寸評
人気のない大きな邸宅の内部の装飾された天井や壁画が、ゆっくりとしたカメラの移動で映しとられるシーンで始まるが、いつまで続くとのかと思うくらいかなり長く感じるシーンとなっている。
まるで主人公がゆっくりと歩いている風にも見えるが姿は見えない。
やがてこの館に集まっている人々であろうか、正装した男女が徐々に登場してくるが動きがない。
ストップモーションではなく、彼らは動きを止めているのだが、何故静止しているのかはわからない。
人々は館内にある劇場で演劇を見ているが、服装からして上流階級の人たちのように思える。
芝居が終わると儀礼的なスタンディングオベーションを送るが、ここでも彼らは動きを止める。
まったく動かない人々は度々登場してくるが、無表情に見える彼らなのだが瞳の輝きだけは失っていない。

「去年マリエンバートで」は僕にとっては難解な映画である。
まずドラマらしいドラマがない。
意味ありげな独白が続くが、僕はその意味するところも良く分からなかった。
これは僕のような平凡な人間でもわかるドラマではなく、この男の心の中、想念の世界を描いた映画なのだ。
人間関係もよく分からないが、想像するに男は女と去年マリエンバートで出会っている、あるいはそう思っているのだが、女には夫がいるようだ。
男の思い込みにしては、その記憶は鮮明に思える。
男は関係があったのか、見かけた女に魅かれたのか、女を愛している風でもある。
男は夫らしき男とパズルのようなゲームをするが常に負けてしまう。
なかなか夫から愛する女を奪うことができないでいるように見える。
そう思えば、男が射撃場で射撃の練習をするシーンもその事を言っていたのかもしれない。
パンパンと銃撃の音が聞こえていて、男が振り向きざまに拳銃を発射すると銃撃音は聞こえず、いきなりカットが変わって女が歩いてくるシーンに変わる。
僕の飛躍かもしれないが、拳銃は男性器の象徴で、彼は女を射止めることが出来なかったと言う事ではないのかと思ったりした。
そんなことに思いをはせながらこの映画を見なくてはならないので、非常に疲れる。
普通だと眠気が襲ってきそうなものだが、それぞれのシーンに何故か迫ってくるものがあり瞼は閉じない。

映画は過去と現在を行き来するが、それも男の幻想の世界なのかもしれない。
なぜなら、男はさんさんたる太陽の下で愛を語り合ったのだと言っているのだが、館の人の会話では「去年の今頃はマリエンバートは大変な寒さで噴水の水も凍った」ということが語られていたのだから、男はやはり思い込みの世界に居たのかもしれない。
しかし、いったいこの映画は何を言いたかったのだろう。
思いを寄せた女性を空想の中で想った時に、出来なかったことを想像したり、また物語を作り込んでその中で思いを遂げるという経験は人によってはあるかもしれない。
そんなことを描いた映画だったのかなあ・・・。
でも、女は男と共にすることを選んだようにも思えるラストでもあったしなあ。。。わからん。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
分りましたか (指田文夫)
2022-06-16 20:09:54
多分、4回見ていますが、分りませんでした。
難解ホークスですね。
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わからん・・・ (館長)
2022-06-17 08:05:47
4回も見たことを尊敬してしまいます。
私はこういう理解できない映画は再見することはないと思います。
私の頭ではついていけません。
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