おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ゴーン・ガール

2022-06-29 06:56:19 | 映画
「こ」に入ります。
過去2回は以下の作品でした。

2019/5/20から 「恋におちたシェイクスピア」「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」「好奇心」「河内山宗俊」「幸福な食卓」「荒野の決闘」「荒野の七人」「荒野の用心棒」「コキーユ-貝殻-」「告白」「午後の遺言状」「ゴジラ」「ゴッドファーザー」「ゴッドファーザーPART II」「ゴッドファーザーPART Ⅲ」「GONIN」「この愛のために撃て」「この国の空」「この世界の片隅に」「ゴーストライター」「恋の罪」「絞首刑」「この空の花 長岡花火物語」「御法度」「小早川家の秋」「コレクター」

2021/2/6から 「恋するシャンソン」「恋するトマト」「恋におちて」「恋人たち」「恍惚の人」「好人好日」「幸福」「コーラス」「コールガール」「コールド マウンテン」「故郷」「哭声/コクソン」「告発のとき」「告発の行方」「孤高のメス」「コミック雑誌なんかいらない!」「孤狼の血」「コンタクト」


「ゴーン・ガール」

     
監督 デヴィッド・フィンチャー      
出演 ベン・アフレック
   ロザムンド・パイク
   キム・ディケンズ
   キャリー・クーン
   ニール・パトリック・ハリス
   タイラー・ペリー

ストーリー
ミズーリ州の田舎町。
結婚して5年目になるニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は、誰もが羨む理想のカップルだった。
ところが結婚5周年を迎えたその日にエイミーの姿が忽然と消える。
家には争った形跡があり、さらにキッチンからエイミーの大量の血液が拭き取られていることも判明する。
警察は他殺と失踪の両面から捜査を開始する。
美しい人妻の謎めいた失踪事件は茶の間の注目を集め、小さな町に全米中からマスコミが殺到する。
警察は捜査を進めるうちに、アリバイがあいまいなニックを疑う。
美しい若妻が失踪したこの事件は注目され報道は過熱、ニックは全米から疑いの目を向けられカップルの知られざる秘密が明るみになる……。


寸評
全体としてはサスペンスの形を取っているが、単にミステリーにとどまらない夫婦の深層心理にまで斬り込んだ秀作だ。
夫目線で妻の行方を探す前半から妻目線の後半へ進んで行くと衝撃的な展開を見せる。
その切り替わりを見事に描いて見せる。
人は自分に都合のいいことは言うが、都合の悪いことは信頼する人にも言わないものだと言うことがよくわかる。
ニックは異常に思えるくらい仲の良い妹にも、言えた内容でないことでもあるのだが隠し事をしているのだ。
そんな人間の持つ身勝手さの様なものを夫の側、妻の側、警察側とそれぞれの視点から描く語り口が巧みだ。
ニック夫妻は満たされた生活をしている上流階級に属する成功者と見える。
どこから見てもセレブ側の世界に生きている人々たちの世界での話と思わされていたストーリーが、結末を迎えるころには実は我々が内在している夫婦関係でもあるのだと入り込んでくる。
その演出はダイナミックで鮮やかというほかない。

アメリカ社会を写しとったような場面も出てくるが、日本社会も同様の状況下にあるので、その社会性の怖さも体感できる。
何か事があると一斉に取り上げるワイドショーによるリンチの構図だ。
覘き趣味的なゴシップ報道はエンタテイメント性を競いながら追い続ける。
それに正義ぶった偽善者達も群がり、真実よりも利益を追求する者たちが登場してくる。
虚構の世界に住む偽善者は、事件を面白おかしく見つめる者たちだけではない。
当事者である夫婦もその内の一人なのだと言いたげだが、それは我々自身でもある。
現実世界を見渡せば、親の介護で田舎に引っこんだことで結婚生活のほころびを経験するなんてありそうな話だ。
浮気は当然夫婦間の秘め事だし、こんなはずではなかったの思いは口には出せない。
支配する側と、支配される側の関係は微妙に揺らぎ、お互いに我慢することが円満の秘訣の様になっていく。
本音を言い合えば夫婦関係は壊れてしまう。
一体、夫は、妻は何を考えているのか、本当のところは明かされないで維持されているのが夫婦関係なのかも知れない。
だから大抵はニックの様にならないし、エイミーにもならないのだが、その要素だけは持っているのかもしれない。
ラストの結末は気持ちとしてはモヤモヤとしたものを感じてしまったのだが、これが結婚なんだと言われているようでもあった。
2時間29分と長尺だが、まったく退屈しない。
男は弱い…女は怖い…。


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