快適な季節

朝晩は、随分と冷え込むようになりました。

ヒンヤリした空気に触れると、気持ちも引き締まるような気がします。
今朝は青空が広がっていましたが、朝は肌寒く感じました。

ゆうやは、その冷えた空気の中、足こぎ車椅子に乗りました。
長袖のシャツを着て、木綿のジャケットも着ました。

作業所へ行く仕度をしている最中、今日はゆうやはとてもよくおしゃべりをしました。
その為、いつもより仕度に時間がかかりました。

「今日は駅まで行けるかどうか分からないから、時間を見ながらどこかでUターンしましょうか。」
ゆうやはとても驚いていました。

「どうして駅まで行けないの？」
「時間があまりないからよ。」
「どうして時間がないの？」
「ゆうやがおしゃべりを沢山していたからね。」
「・・・」

ゆうやの表情が変わりました。
それまでゆったりしていたのですが、キリリと引き締まりました。

足こぎ車椅子に乗り、ゆうやはひたすらペダルを回すことに集中していました。
いつもなら途中でよそ見をしたりおしゃべりをするのですがー。

運動会の徒競走のような勢いで、ゆうやは体を揺らしながら猛烈にペダルを回していました。
家の前まで戻ってくると、ゆうやの体は熱くなっていました。

「もっと乗りたいよ。」
ゆうやは意欲満々でしたが、そこへ作業所の車が到着しました。

今は、運動するには快適な季節だと思います。
明日は、もっと長く足こぎ車椅子に乗れるといいなと思います。


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