よろこばしい知らせを「福音」と言うが、これは福音に当たるのだろ
う。ネット上に掲載されていた、産経新聞のニュースである。
「相模原市の障害者施設殺傷事件を受け、再発防止策を検討してきた
厚生労働省の有識者チームは8日、措置入院した全患者の退院後の支
援計画を都道府県や政令市が作るよう求める報告書を公表した。患者
が転居しても支援が確実に引き継がれる仕組みも提言。厚労省は早け
れば来年の通常国会に、こうした内容を盛り込んだ精神保健福祉法改
正案を提出する。」(産経新聞12月8日配信)
つまり、野に放つと危険なヤバい野獣を、野放しにせず、きちんと監
視下におくための計画案が、厚労省によって提出されたというのであ
る。かつて私は、相模原市の障害者施設大量殺傷事件を受けて、本ブ
ログで次のように書いたことがある。
今後、この種の事件の再発を予防しようと思うなら、措置入院に伴う
入退院の見きわめのあり方について、根本的な検討を欠かすわけには
いかない。
こう書いた私が、この報を「福音」だと思わないわけはない。今回
の、厚労省による報告書は、措置入院の後、「他者に危害を加える恐
れがなくなった」と診断され、退院した者を、きちんとフォローアッ
プの対象にしようという提言である。
ところがこのもっともな提言に対して、あろうことか、計画の実施主
体になる自治体の側から、困惑とも苦情ともつかぬうめき声が出され
ているという。こんな具合である。
最終報告では、自治体が措置入院した患者の退院後の支援計画案を作
成し、退院後は計画に沿って支援を継続していくことが盛り込まれ
た。しかし、措置入院の件数は自治体ごとに大きく異なる。負担が増
える自治体から人手不足との声も聞かれた。
(中略)
ある自治体の担当者は「現状では保健所の人手がとても足りない」と
打ち明ける。この自治体には措置入院後の支援についてのガイドライ
ンがあるが、「人手が足りない保健所は、支援まで手が回っていない
のが現状だ」と明かす。別の自治体の担当者も「予算がないと動けな
い。補助金が出るのか。それで足りるのか」と不安をのぞかせた。
(産経新聞12月8日配信)
残念なことだが、一度措置入院の対象になった者は、「他者に危害を
加える恐れがなくなった」と診断されて退院した後でも、つねに再発
の可能性を有している。彼/彼女は、いつ野獣に戻るとも分からない
動物なのだ。
やれやれ、予算不足による人手不足ですか。なるほど。でも、それを
理由に、潜在的野獣を監視下におく体制が組めないというのなら、無
用なハコモノなど作るまえに、予算の使途をもっと精査すべきだろ
う。
地方自治体の苦しい会計事情は分かるけど、ハコモノを作るより、
人件費に予算を使ったほうが、地方の活性化にもつながるし、そ
のほうが良いと思うんだよね。
う。ネット上に掲載されていた、産経新聞のニュースである。
「相模原市の障害者施設殺傷事件を受け、再発防止策を検討してきた
厚生労働省の有識者チームは8日、措置入院した全患者の退院後の支
援計画を都道府県や政令市が作るよう求める報告書を公表した。患者
が転居しても支援が確実に引き継がれる仕組みも提言。厚労省は早け
れば来年の通常国会に、こうした内容を盛り込んだ精神保健福祉法改
正案を提出する。」(産経新聞12月8日配信)
つまり、野に放つと危険なヤバい野獣を、野放しにせず、きちんと監
視下におくための計画案が、厚労省によって提出されたというのであ
る。かつて私は、相模原市の障害者施設大量殺傷事件を受けて、本ブ
ログで次のように書いたことがある。
今後、この種の事件の再発を予防しようと思うなら、措置入院に伴う
入退院の見きわめのあり方について、根本的な検討を欠かすわけには
いかない。
こう書いた私が、この報を「福音」だと思わないわけはない。今回
の、厚労省による報告書は、措置入院の後、「他者に危害を加える恐
れがなくなった」と診断され、退院した者を、きちんとフォローアッ
プの対象にしようという提言である。
ところがこのもっともな提言に対して、あろうことか、計画の実施主
体になる自治体の側から、困惑とも苦情ともつかぬうめき声が出され
ているという。こんな具合である。
最終報告では、自治体が措置入院した患者の退院後の支援計画案を作
成し、退院後は計画に沿って支援を継続していくことが盛り込まれ
た。しかし、措置入院の件数は自治体ごとに大きく異なる。負担が増
える自治体から人手不足との声も聞かれた。
(中略)
ある自治体の担当者は「現状では保健所の人手がとても足りない」と
打ち明ける。この自治体には措置入院後の支援についてのガイドライ
ンがあるが、「人手が足りない保健所は、支援まで手が回っていない
のが現状だ」と明かす。別の自治体の担当者も「予算がないと動けな
い。補助金が出るのか。それで足りるのか」と不安をのぞかせた。
(産経新聞12月8日配信)
残念なことだが、一度措置入院の対象になった者は、「他者に危害を
加える恐れがなくなった」と診断されて退院した後でも、つねに再発
の可能性を有している。彼/彼女は、いつ野獣に戻るとも分からない
動物なのだ。
やれやれ、予算不足による人手不足ですか。なるほど。でも、それを
理由に、潜在的野獣を監視下におく体制が組めないというのなら、無
用なハコモノなど作るまえに、予算の使途をもっと精査すべきだろ
う。
地方自治体の苦しい会計事情は分かるけど、ハコモノを作るより、
人件費に予算を使ったほうが、地方の活性化にもつながるし、そ
のほうが良いと思うんだよね。