カジノを合法化し、事実上解禁する「統合型リゾート(IR)整備推
進法案」(カジノ法案)が、先ごろ、衆院での採決をめざして、審議
入りした。自民党は、2日の委員会で採決したうえ、6日の衆院本会議
で採決に持ち込むことを考えている。
この件をめぐり、新聞各紙がこぞって社説をかかげている。タイトル
は以下のとおり。
朝日《カジノ法案 危うい賭博への暴走 》
読売《カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか》
毎日《カジノ法案 唐突な採決に反対する》
産経《カジノ解禁法案 懸念解消を先送りするな》
以上はいずれも11月2日付の社説。以下は11月3日付の社説である。
日経《拙速なカジノ解禁は問題多い》
タイトルからも分かるように、列挙したこれらの社説は、どれも主旨
に変わりはない。私がまとめてもよいのだが、それよりも、説得力の
ある毎日の社説の表現をお借りすることとし、その一部を抜き書き風
に引用しておこう。
法案は、カジノや会議場、ホテルなどが一体となった施設の整備をう
たう。 法案が成立し、カジノができれば、建設需要や雇用が創出さ
れ、海外からの観光客増加による経済効果も高いと推進派は主張す
る。だが、収益のほとんどは海外資本に吸い上げられるとの指摘があ
る。
ギャンブル依存症問題も避けて通れない。パチンコなどが広く普及す
る日本で依存症は深刻だ。しかし、法案に(依存症対策の)具体策は
書き込まれておらず、対応は先送りされた格好だ。
マネーロンダリング(資金洗浄)や、青少年の健全育成への影響など
他にもマイナス面の指摘は多い。
そもそも賭博は刑法で禁じられている。カジノを例外とする根拠はど
こにあるのか。
以上が毎日の社説《カジノ法案 唐突な採決に反対する》からの抜き
書き風コピペである。これは、ごくごくまっとうな意見ではないだろ
うか。新聞各紙の論説の趣旨がほぼ一致していることも、このことを
裏打ちしている。
自民党が提出したカジノ法案。これには世論(を代表する新聞の社
説)がこぞって反対しているのに、それでも自民党は、なぜ採決を急
ごうとするのか。カジノの建設がもたらす経済効果が、採決を強行す
るホントの理由であるとは考えられない。それなのになぜ?
この私の疑問を解いてくれたのが、ライブドアニュース「リテラ」の
記事である。それによれば、自民党の安倍首相は、"パチンコ業界のド
ン"と蜜月関係にあるのだという。そのドンとは、パチンコ・パチスロ
最大手であるセガサミーホールディングス会長の、里見治氏である。
里見氏が会長をつとめるセガサミーは、韓国のカジノ企業と合弁会社
「PARADISE SEGASAMMY」を設立し、カジノ利権の主導権を握ろう
と企てている。
(以上、リテラ12月2日付《カジノ法案が審議2日で強行採決! 背後に
安倍首相とカジノ利権狙う“パチンコのドン“セガサミー会長の癒着》に
よる)
安倍首相は、こうした里見氏の意向を受けて、カジノ法案の強行採決に
邁進している。
政治とは、主義や信条を貫くことである以上に、さまざまな利害を調
整する塩梅の技術である。――この自説を、私は折に触れて述べてきた
つもりだが、この意味でいえば、安倍政権の政治は明らかに失格であ
り、落第だと言わなければならない。
ここには、利害関係を持った二つの項がある。一方の項は、カジノ企
業を経営する里見氏であり、もう一つの項は、ギャンブル依存症にお
ちいる一般庶民である。安倍首相はこれら二つの項の利害を「調整」
しようとしているのではない。一方の利害関心を体現してこれをごり
押ししようとし、それによってもう一方がこうむる多大の損失には、
目をつぶろうとしているのだ。
これが政治といえるのだろうか。似非(えせ)政治のこういうでたら
めが、悲しいことに、政治の裏側には付きものなんだよなあ。
進法案」(カジノ法案)が、先ごろ、衆院での採決をめざして、審議
入りした。自民党は、2日の委員会で採決したうえ、6日の衆院本会議
で採決に持ち込むことを考えている。
この件をめぐり、新聞各紙がこぞって社説をかかげている。タイトル
は以下のとおり。
朝日《カジノ法案 危うい賭博への暴走 》
読売《カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか》
毎日《カジノ法案 唐突な採決に反対する》
産経《カジノ解禁法案 懸念解消を先送りするな》
以上はいずれも11月2日付の社説。以下は11月3日付の社説である。
日経《拙速なカジノ解禁は問題多い》
タイトルからも分かるように、列挙したこれらの社説は、どれも主旨
に変わりはない。私がまとめてもよいのだが、それよりも、説得力の
ある毎日の社説の表現をお借りすることとし、その一部を抜き書き風
に引用しておこう。
法案は、カジノや会議場、ホテルなどが一体となった施設の整備をう
たう。 法案が成立し、カジノができれば、建設需要や雇用が創出さ
れ、海外からの観光客増加による経済効果も高いと推進派は主張す
る。だが、収益のほとんどは海外資本に吸い上げられるとの指摘があ
る。
ギャンブル依存症問題も避けて通れない。パチンコなどが広く普及す
る日本で依存症は深刻だ。しかし、法案に(依存症対策の)具体策は
書き込まれておらず、対応は先送りされた格好だ。
マネーロンダリング(資金洗浄)や、青少年の健全育成への影響など
他にもマイナス面の指摘は多い。
そもそも賭博は刑法で禁じられている。カジノを例外とする根拠はど
こにあるのか。
以上が毎日の社説《カジノ法案 唐突な採決に反対する》からの抜き
書き風コピペである。これは、ごくごくまっとうな意見ではないだろ
うか。新聞各紙の論説の趣旨がほぼ一致していることも、このことを
裏打ちしている。
自民党が提出したカジノ法案。これには世論(を代表する新聞の社
説)がこぞって反対しているのに、それでも自民党は、なぜ採決を急
ごうとするのか。カジノの建設がもたらす経済効果が、採決を強行す
るホントの理由であるとは考えられない。それなのになぜ?
この私の疑問を解いてくれたのが、ライブドアニュース「リテラ」の
記事である。それによれば、自民党の安倍首相は、"パチンコ業界のド
ン"と蜜月関係にあるのだという。そのドンとは、パチンコ・パチスロ
最大手であるセガサミーホールディングス会長の、里見治氏である。
里見氏が会長をつとめるセガサミーは、韓国のカジノ企業と合弁会社
「PARADISE SEGASAMMY」を設立し、カジノ利権の主導権を握ろう
と企てている。
(以上、リテラ12月2日付《カジノ法案が審議2日で強行採決! 背後に
安倍首相とカジノ利権狙う“パチンコのドン“セガサミー会長の癒着》に
よる)
安倍首相は、こうした里見氏の意向を受けて、カジノ法案の強行採決に
邁進している。
政治とは、主義や信条を貫くことである以上に、さまざまな利害を調
整する塩梅の技術である。――この自説を、私は折に触れて述べてきた
つもりだが、この意味でいえば、安倍政権の政治は明らかに失格であ
り、落第だと言わなければならない。
ここには、利害関係を持った二つの項がある。一方の項は、カジノ企
業を経営する里見氏であり、もう一つの項は、ギャンブル依存症にお
ちいる一般庶民である。安倍首相はこれら二つの項の利害を「調整」
しようとしているのではない。一方の利害関心を体現してこれをごり
押ししようとし、それによってもう一方がこうむる多大の損失には、
目をつぶろうとしているのだ。
これが政治といえるのだろうか。似非(えせ)政治のこういうでたら
めが、悲しいことに、政治の裏側には付きものなんだよなあ。