あすプーチン・ロシア大統領が来日する。安倍首相との首脳会談は、
どうなるのか。北方領土の話題が、このところ各種メディアで取り沙
汰されている。私も本ブログで二度ほどこの問題を取り上げ、次のよ
うに書いた。
今回の日ロ首脳会談で北方領土問題が急進展することなど、まずあり
得ない。そうである以上、今回の首脳会談の成果に期待するより、日
ロ間で経済交流が活発化して、国境の垣根が無意味になるのを待つほ
うが賢明ではないか。
ただ、この日ロ間の経済交流という問題も、現場の具体的な局面に踏
み込んだレポート記事を読む限り、それはそれで問題山積ということ
らしく、いずれにしても、日ロ間の領土交渉は前途多難であるよう
だ。
そういうわけで、北方領土問題の解決に対する私の見通しは、勢い悲
観的にならざるを得ないのだが、きょう(12月14日)の読売新聞の社
説《プーチン氏会見 北方領土で際立つ消極的姿勢》を読んで、ここ
にはもう一つ、さらに厄介な問題が潜んでいることを思い知らされ
た。
この問題、それは、国家主権の問題である。国家主権、それは領土の
壁ほどに固く、そして高くぶ厚い。
読売の社説はこう書いている。
共同経済活動は、90年代にロシアが提案した。日本の資本を4島の
振興に役立てる思惑がある。
問題なのは、プーチン氏がロシアの主権下での実施を求めたことだ。
ロシアの国内法が日本人に適用されれば、ロシア側の主権を実質的に
認めることにつながる。
領土問題は、ほかならぬ国家主権の問題である。日ロ間の経済交流が
ロシア側の提案で始まったというのは、初めて知らされる興味深い事
実だが、読売がここで問題だとして強調しようとしているのは、この
経済交流が、ロシアの国家主権下で行われるとされていることであ
る。「共同経済活動は、日本の法的立場を害さないという前提を崩さ
ず、領土交渉の前進に資するよう進めることが求められる」と読売は
タテマエ論を述べるが、日ロの経済交流、つまり共同経済活動が、ロ
シアの国家主権下で行われるとなれば、読売のこうしたタテマエ的要
望など叶えられるべくもない。
領土問題を解決するために行われるはずの経済交流が、領土問題に足
をすくわれ、領土問題が解決してからでないと、開始できない。イタ
チごっこのような堂々巡りの悪循環が、領土問題を、暗く深い泥沼の
混沌に引き込んでいる。
ハードルがとてつもなく高い、こんな難題に立ち向かう安倍首相は、
己をわきまえないただのオメデタなのか、よほど腕に覚えのある自信
家なのか、それともチャレンジ精神に満ちた野心家なのか、そのあた
りのことが、イマイチ私には分からない。
どうなるのか。北方領土の話題が、このところ各種メディアで取り沙
汰されている。私も本ブログで二度ほどこの問題を取り上げ、次のよ
うに書いた。
今回の日ロ首脳会談で北方領土問題が急進展することなど、まずあり
得ない。そうである以上、今回の首脳会談の成果に期待するより、日
ロ間で経済交流が活発化して、国境の垣根が無意味になるのを待つほ
うが賢明ではないか。
ただ、この日ロ間の経済交流という問題も、現場の具体的な局面に踏
み込んだレポート記事を読む限り、それはそれで問題山積ということ
らしく、いずれにしても、日ロ間の領土交渉は前途多難であるよう
だ。
そういうわけで、北方領土問題の解決に対する私の見通しは、勢い悲
観的にならざるを得ないのだが、きょう(12月14日)の読売新聞の社
説《プーチン氏会見 北方領土で際立つ消極的姿勢》を読んで、ここ
にはもう一つ、さらに厄介な問題が潜んでいることを思い知らされ
た。
この問題、それは、国家主権の問題である。国家主権、それは領土の
壁ほどに固く、そして高くぶ厚い。
読売の社説はこう書いている。
共同経済活動は、90年代にロシアが提案した。日本の資本を4島の
振興に役立てる思惑がある。
問題なのは、プーチン氏がロシアの主権下での実施を求めたことだ。
ロシアの国内法が日本人に適用されれば、ロシア側の主権を実質的に
認めることにつながる。
領土問題は、ほかならぬ国家主権の問題である。日ロ間の経済交流が
ロシア側の提案で始まったというのは、初めて知らされる興味深い事
実だが、読売がここで問題だとして強調しようとしているのは、この
経済交流が、ロシアの国家主権下で行われるとされていることであ
る。「共同経済活動は、日本の法的立場を害さないという前提を崩さ
ず、領土交渉の前進に資するよう進めることが求められる」と読売は
タテマエ論を述べるが、日ロの経済交流、つまり共同経済活動が、ロ
シアの国家主権下で行われるとなれば、読売のこうしたタテマエ的要
望など叶えられるべくもない。
領土問題を解決するために行われるはずの経済交流が、領土問題に足
をすくわれ、領土問題が解決してからでないと、開始できない。イタ
チごっこのような堂々巡りの悪循環が、領土問題を、暗く深い泥沼の
混沌に引き込んでいる。
ハードルがとてつもなく高い、こんな難題に立ち向かう安倍首相は、
己をわきまえないただのオメデタなのか、よほど腕に覚えのある自信
家なのか、それともチャレンジ精神に満ちた野心家なのか、そのあた
りのことが、イマイチ私には分からない。