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ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

領土交渉を阻むもの

2016-12-14 13:40:24 | 日記
あすプーチン・ロシア大統領が来日する。安倍首相との首脳会談は、
どうなるのか。北方領土の話題が、このところ各種メディアで取り沙
汰されている。私も本ブログで二度ほどこの問題を取り上げ、次のよ
うに書いた。

今回の日ロ首脳会談で北方領土問題が急進展することなど、まずあり
得ない。そうである以上、今回の首脳会談の成果に期待するより、日
ロ間で経済交流が活発化して、国境の垣根が無意味になるのを待つほ
うが賢明ではないか。
ただ、この日ロ間の経済交流という問題も、現場の具体的な局面に踏
み込んだレポート記事を読む限り、それはそれで問題山積ということ
らしく、いずれにしても、日ロ間の領土交渉は前途多難であるよう
だ。

そういうわけで、北方領土問題の解決に対する私の見通しは、勢い悲
観的にならざるを得ないのだが、きょう(12月14日)の読売新聞の社
説《プーチン氏会見 北方領土で際立つ消極的姿勢》を読んで、ここ
にはもう一つ、さらに厄介な問題が潜んでいることを思い知らされ
た。

この問題、それは、国家主権の問題である。国家主権、それは領土の
壁ほどに固く、そして高くぶ厚い。

読売の社説はこう書いている。

共同経済活動は、90年代にロシアが提案した。日本の資本を4島の
振興に役立てる思惑がある。
問題なのは、プーチン氏がロシアの主権下での実施を求めたことだ。
ロシアの国内法が日本人に適用されれば、ロシア側の主権を実質的に
認めることにつながる。

領土問題は、ほかならぬ国家主権の問題である。日ロ間の経済交流が
ロシア側の提案で始まったというのは、初めて知らされる興味深い事
実だが、読売がここで問題だとして強調しようとしているのは、この
経済交流が、ロシアの国家主権下で行われるとされていることであ
る。「共同経済活動は、日本の法的立場を害さないという前提を崩さ
ず、領土交渉の前進に資するよう進めることが求められる」と読売は
タテマエ論を述べるが、日ロの経済交流、つまり共同経済活動が、ロ
シアの国家主権下で行われるとなれば、読売のこうしたタテマエ的要
望など叶えられるべくもない。

領土問題を解決するために行われるはずの経済交流が、領土問題に足
をすくわれ、領土問題が解決してからでないと、開始できない。イタ
チごっこのような堂々巡りの悪循環が、領土問題を、暗く深い泥沼の
混沌に引き込んでいる。

ハードルがとてつもなく高い、こんな難題に立ち向かう安倍首相は、
己をわきまえないただのオメデタなのか、よほど腕に覚えのある自信
家なのか、それともチャレンジ精神に満ちた野心家なのか、そのあた
りのことが、イマイチ私には分からない。
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領土交渉のゆくえ

2016-12-13 13:54:14 | 日記
プーチン・ロシア大統領の来日が近づいてきて、テレビのニュース番
組などでも、北方領土問題が取り上げられることが多くなった。テレ
ビの画面では、旧島民がインタビューで、「(北方四島の)返還なん
て、ロシアはしないと思っているし、期待してもいない」と語ってい
た。旧島民のこの素朴な思いは、私の推測に近い。本ブログで、私は
次のように書いた。今回のプーチン来日で、北方領土問題が急展開す
ることなど、ほぼあり得ない。そんなことを期待するより、日ロ間で
経済交流が活発化して、国境の垣根が無意味化するのを待つほうが賢
明ではないか、と。

そうなると、問題は、日ロ間での経済交流の見通しがどうかである。
これについては、「週刊現代」に掲載された論説《プーチンにやられ
た12・15  安倍「北方領土交渉」無残な結末》(現代ビジネス配
信)が、実に興味深い情報を提供してくれている。以下は、その一部
の抜き書き風コピペである。

「10月8日、共同通信が「8項目の対ロ経済協力は1兆円超」と報じ
た。以後、「1兆円の経済協力」が各メディアで報道されるようになっ
た。
肝心の北方領土は返ってこないというのに、いったい何に1兆円も出す
のか。経産省関係者に聞いた。
「ロシア側は例えば、モスクワと極東のウラジオストクを結ぶ全長
9300㎞のシベリア鉄道が、開通してちょうど100周年だから、日本
の経済協力で北海道までつなげてくれとか要求してきています。
しかしJR北海道は11月18日、全路線の約半分にあたる10路線
約1200㎞分を『維持困難』と発表したばかり。稚内-サハリン間の定期
フェリーも、赤字がかさんで昨シーズンで打ち切りとなりました。そん
な中で、シベリア鉄道を北海道までなどというのは、あまりに非現実的
です」

日本側は12月16日、ホテル・ニューオータニで「日ロビジネス対話」
を開き、両国の大手企業経営者を一堂に集めて、経済協力を推進する
としている。ここには安倍首相とプーチン大統領も参加し、ビジネス
拡張を促すスピーチをする予定だ。
だが今回、ロシア進出に積極的と報じられている企業に問い合わせる
と、次のように答えた。
「モスクワの販売拠点を拡張すると報道されましたが、単に検討しよ
うかというだけのことで、契約したわけでもありません。ロシアビジ
ネスを拡大するかどうかも未定です」(ファナック広報部)
「ハバロフスクの野菜工場の生産を2倍にするなどと報道されました
が、意味不明です。そもそもこの事業は今年2月から始めていて、プー
チン大統領の訪日とは無関係です」(日揮公報IR部)
「たしかに来年春にウラジオストクに居酒屋を出そうとはしています
が、たまたま時期が重なっただけで、プーチン大統領の訪日とは無関
係です」(伸和ホールディングス本部)
このように、プーチン大統領の訪日を機に、ロシアビジネスを盛り上
げようという日本政府と、日本企業との間には、相当な温度差がある
のだ。
北海道を代表する企業の幹部が語る。
「日本政府は北海道に、ロシアとの経済協力の窓口になってほしいと
要望していますが、北海道民の53%が、ロシアとの経済協力に反対し
ています。
そもそもロシアの極東地域には、北海道の540万人とほとんど変わらな
い600万人しか住んでいないので、生産拠点としても市場としても不適
です。また、ロシアとのエネルギー協力と言うけれど、過疎化が進む北
海道は、いま以上のエネルギーを必要としていない。
北海道の企業は、一様に冷めた目で、プーチン大統領の訪日を見守っ
ています。」

いやはや。実に説得力に富んだ文章である。日ロ間の経済交流という
問題も、具体的な局面に踏み込んでみれば、問題山積ということらし
い。いずれにしても、日ロ間の領土問題は前途多難であるようだ。
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ひらめきが グラついた

2016-12-12 16:19:11 | 日記
きょうの寒い朝、ひらめいた。片麻痺による身体動作の不如意は、慣
れればよいのだ、と。きょうはリハビリ施設に通所する日である。送
迎の車の中で、先に施設に入っていく利用者たちの姿を眺めながら、
そうひらめいたのである。私は脳出血の後遺症で片麻痺を患い、ここ
数年来、杖なしでは歩行できないなど、その症状である身体動作の不
如意に悩まされている。一度ダメージを受けた脳の神経細胞は再生し
ないということから、この後遺症は一生治らないと分かっている。だ
が、たとえ治らなくても、それに慣れることはできるのではないか。

私をとらえているのは、左半身の鈍重な重たさである。左足の足首に
100キロのオモリをつけた感覚がそれに近い。どちらかの足首に100
キロのオモリをつけて歩いたら、どんな人でも、ぎこちない歩行しか
できないに決まっている。
だが、ぎこちない歩行しかできなくても、そのぎこちなさに慣れてし
まえば、不自由さは感じなくなるのではないか・・・。ふと、そんな考え
が浮かんだのである。左足の100キロのオモリに慣れればよい。それ
だけのことだ、と。

けれども車を降り、リハビリ施設内の廊下を、杖をついて歩き始めた
途端に、私のそんな浅知恵は木っ端微塵に吹き飛ばされた。私の身体
動作をぎこちなくしているのは、オモリの感覚だけではないことを思
い知らされたのだ。それ以上に、もっともっと大きな障害として、グ
ラつき感がある。例えば身体を30度傾けると、私はその傾きをまる
で60度のように感じるのだ。スマホで撮ってもらった動画を見る限
り、私の杖歩行の場合は、左右の足をあと10センチづつ前に出せば、
歩幅が大きくなり、もっと速く歩けるようになる。それは分かるのだ
が、頭とは裏腹に、私の身体がどうにも言うことをきかないのである。
「それ以上足を前に出すと、ほら、危ない、ひっくり返るぞ!」と
(ダメージが残り、正常とは言い難い)私の脳が誤った信号を送るの
で、私の足はそれ以上前に出すことをしない(できない)のである。

問題は、この厄介なグラつき感の克服である。脳出血を発症してから
しばらくの間、リハビリ病院に入院していた頃には、そんなグラつき
感は全く感じず、そのためか、何度となく転倒した。今は逆にグラつ
き感を過敏なほどに感じるようになり、そのためか、転倒することは
なくなった。

このグラつき感には馴染めそうにないが、「気をつけろ!」のシグナル
とも言えるグラつき感。この大げさな転倒予防の注意報・警報は、はた
して感じたほうが良いのかどうか、慣れたほうが良いのかどうか。これ
ばかりは当事者の私でも分からない。
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カジノ摘発 今度もドゥテルテ

2016-12-11 11:27:30 | 日記
きょうもまずは日課の、ネットの森の散策である。私の目は、次のタ
イトルに引き寄せられた。

《ドゥテルテ、麻薬の次はカジノ摘発 香港ギャンブル王に逮捕状》
                   (Forbes12月10日付)

このタイトルが、いきなり向こうの方から私の目に飛び込んできた、
と言ったほうがよい。

日本ではカジノ法案が国会に提出されたところだというのに、海の向
こうのフィリピンでは、あらま、カジノが摘発の対象になったという
のだ。またしてもドゥテルテ大統領、よくやるなあ!という思いであ
る。

記事本文を読むと、「フィリピン政府は違法なオンラインカジノに関
わったとして、1,300人以上の中国籍市民を逮捕した」とある。フィリ
ピンでは、カジノは違法扱いだということだが、注目しなければなら
ないのは、「ドゥテルテが政権を握る以前、フォンタナカジノは政府
から問題視されていなかった」という記述である。つまり、(米国の
クラーク空軍基地跡の経済特区に建設された)フォンタナカジノ(に
代表される賭博場)を、違法だとして摘発の対象にしたのは、これも
またドゥテルテ大統領なのである。

ドゥテルテ大統領は、なぜカジノを違法扱いしたのか。推測すれば、
彼は賭博事業が、贈賄やマネーロンダリングなどの犯罪を生み出すと
ともに、麻薬と同様、社会秩序を脅かす元凶になると考えたに違いな
い。賭博中毒、ギャンブル依存症は、博打に大金を吸い取られて、貧
困状態に陥った人たちが金欲しさの犯罪行為に走るなど、悪事の温床
になりかねない。

この点についての懸念は、安倍自民党に支配された日本の国会では、
不当に軽視され、歯牙にも掛けられなかった。しかしドゥテルテ大統
領は、この点を重視したのである。貧困にあえぐ人々を常日頃見て
育った人物ならではの着眼ではないか。

お坊っちゃん育ちの日本の首相や、その取り巻きのセンセたちなど
とは、やはり大違いだ。この人、なかなかできる人なんじゃないか
な。

いやはや。きょうの朝の散策は爽快であった。
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民衆と女王の失権

2016-12-10 11:19:38 | 日記
韓国の国会がきのう、朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾訴追案を可決
した。

きょう(12月10日)の新聞各紙の社説は、お隣の国のこの話題で持
ちきりである。朝日新聞(《朴大統領弾劾 正常化急ぐ道筋論議を》)
は隣国のこの事態を、「国民に選ばれた朴槿恵(パククネ)大統領が、
民意によってその地位を追われようとしている」事態だと表現してい
る。日経(《朴氏弾劾でも韓国の政治不信は消えない 》)は、「世論
の激しい怒りが政界を突き動かしたのだろう」と、感慨じみた分析を
その冒頭にかかげている。

私もテレビニュースの映像で見たが、韓国の民衆の、そのパトスのエ
ネルギ――政治に向かうパトスのエネルギー――は、とてつもなくすご
いものだ。底なしで、計り知れないものがある。農民たちがトラク
ターを繰り出してデモをしているニュース映像を見せられると、「熱
いなあ、とんでもなく熱いなあ」と思うのだ。アメリカの農民が、
TPPからの離脱を決め込んだトランプ次期大統領に対して、怒りの矛
先を向けようとする気配すら見せないのとは、雲泥の隔たりである。

トラクター・デモの映像を見ながら、私は思う。「この民衆の莫大な
エネルギーを吸収し、統合できるポピュリストの政治家が現れて、次
の大統領になったら、すごいことになるのだがなあ」と。

けれども、同時にこうも思う。このエネルギーは、もっぱら否定に向
かうエネルギーなのだ。だからこのエネルギーは、現政権の打倒へと
向かったりする。現大統領が民間人の親友に演説原稿の手直しを頼ん
だという、たったそれだけのことで、韓国民衆のエネルギーは、さな
がらえじきを求める狼のように、弱り目の女性大統領に襲いかかるの
だ。

韓国の歴代大統領は、民衆のパトスの特質を、よく知っていたに違い
ない。そのパトスのエネルギーがひたすら否定に向かうエネルギーで
あることを。だから彼らは、自分の政権がぐらつき始めると、反日の
キャンペーンを張り、その場をしのごうとしてきた。そしてそれは成
功したのである。

さて、韓国民衆のこうした否定のエネルギーは、次はどんなターゲッ
トに向かうのか。それが我が国に向かわず、北側の隣国に向かってく
れればいいと思う。でも、この隣国も、韓国と同じ特質を持った同じ
民族からなる国のこと、そうなれば悲惨な潰し合いの戦争は避けられ
ないのかも知れない。
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