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ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

要注意に社説は

2016-12-20 17:18:20 | 日記
「要注意」のモノには気をつけて、事故を起こさないか、悪さをしな
いか、注意深く監視しなければならない。たびたび事故を起こすので
「要注意」のレッテルがお似合いの軍用輸送機・オスプレイの場合は、
事故原因が解明済むまでは飛行を認めないとか、事故を起こしたとき
でも大きな被害が出ないように、集落の上空を避けて飛行するよう制
限を設けるとか、何らかの規制が必要になる。

オスプレイの墜落事故を受けて、宜野湾市の市長は、アメリカ軍の幹
部と面会し、上記のような要望を提出した。沖縄県の翁長知事も、稲
田防衛大臣に面会し、オスプレイの配備撤回を要請した。

ところがアメリカ軍は、沖縄住民のそんな声をシカトして、オスプレ
イの飛行を全面的に再開させる方針を打ち出した。

信じられないのは、これに対する政府の対応である。菅官房長官は次
のように述べ、米軍の方針にまったく意義を差しはさまなかった。
「米側の説明は防衛省、自衛隊の専門的知見に照らし合理性が認めら
れることであって、本日午後からオスプレイの空中給油以外の飛行を
再開することは、理解できるものと認識をいたしてます。」

こうした政府の対応に、朝日、毎日、東京の三紙はきょう(12月20日)
の社説でいっせいに批判の矢を放っている。

朝日《オスプレイ再開 県民より米軍なのか》
毎日《オスプレイ再開 政府はなぜ認めたのか》
東京《オスプレイ 飛行再開、理解できぬ》

上記三つの社説の論旨は、(タイトルからも窺えるように)だいたい
似たり寄ったりである。三紙とも、名護市沿岸でオスプレイが墜落事
故を起こしたのと同じ日に、普天間飛行場で、別のオスプレイが胴体
着陸する事故を起こしていたことにふれている。これは、オスプレイ
が「要注意」のモノであることを印象づける狙いからだろう。名護市
沿岸での墜落事故について、米軍は、「空中給油の際の給油ホースと
オスプレイのプロペラの接触が原因であり、機体そのものが原因では
ない」と説明しているが、同じ日に起きたこれら二つの事故は、原因
が「機体そのもの」にあることを実証している。

朝日と東京は、本土各地へオスプレイの配備計画があることにふれ、
オスプレイは今後、本土の上空を飛び回る可能性があると述べてい
る。本土の読者に向けて、「これは沖縄だけの問題ではない。他人事
だと見過ごすことはできない」と言おうとしているのだ。

他人事であるかどうかに関わりなく、オスプレイの事故への政府の対
応は、見過ごせない問題である。それだけに、社説でこの問題にまっ
たくふれようとせず、ひたすらダンマリを決め込む読売と日経、産経
の態度は、ことのほか異様に映る。

読売も産経も、政府自民党の方針には賛辞を惜しまない、右寄りの新
聞である。今回の政府の対応についても、反対の姿勢を取らないから
といって、賛成の姿勢をおおっぴらにすることには、無理を感じ、た
めらいを感じるだけの見識が、読売や産経の論説委員にはあったのだ
ろう。だからといって、今回のようにダンマリを決め込むのでは、読
売も産経も(それに日経も)、「ああ、そういう新聞なのね」と信用
を落とすだけなんだけれどね。
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要注意を監視下に

2016-12-19 22:31:49 | 日記
アイドル活動中だった女子大生のA子さんは、ストーカー・B夫の魔
の手から逃れられなかったのだろうか。A子さんはB夫から何度もス
トーカー行為を受け、またツイッターへ執拗な書き込みもされて、身
の危険を感じていた。恐怖が募り、警察署を訪れて「殺されるかもし
れない」と不安を訴えたが、警察はこの訴えにまともに取りあってく
れなかった。

「気持ちは分かりますがね、事件が起こってからでないと、警察は動け
ないのです」というのが、警察側の言い分だろう。

この場合、「脅迫罪」の適用は考えられなかったのだろうか。刑法222条
には、この罪が適用されるのは「生命、身体、自由、名誉又は財産に
対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者」とある。A子さんのツ
イッターへのB夫の書き込みは、「害を加える旨を告知」したもの
とは見なされなかったのだろう。

しかし、2000年には「ストーカー規制法」ができている。警察がA子
さんの訴えを真摯に受けとめていれば、この新たな法律の適用を念頭に
おいて、警察は被害届を出すようA子さんに助言し、B夫を監視下にお
くこともできたはずだ。A子さんに対するB夫の障害行為は、防げたか
も知れないのである。

また、島根県の女子大生だったC子さんのケースであるが、彼女は性犯
罪歴のある男・D夫の毒牙から逃れられなかったのだろうか。
D夫は、C子さんの遺体が見つかった2日後、高速道路を走行中に事故
を起こして、死亡したという。事件当時からずいぶん時間がかかったが、
D夫が捜査線上に浮上したのは、警察が、過去に性犯罪歴のある人物を
洗い直している中でだった。「過去に性犯罪歴のある人物は、再び性犯
罪を犯す確率が高い」という知見にもとづいた洗い直しの捜査中である。

今となっては後の祭りだが、「過去に性犯罪歴のある人物は、再び性
犯罪を犯す確率が高いことから、当該の人物はこれを事前に監視下に
おくことができる」という法律があったら、D夫は要注意人物として
マークされ、C子さんは命を奪われずに済んだかも知れない。

「要注意人物は事前に監視下におくことができる」という法律があれ
ば、防げたかも知れない事件、ということでいえば、真っ先に頭に浮
かぶのは、相模原市の障害者福祉施設で起きた19人の殺害事件である。
殺人犯の男・E夫は、施設の襲撃を予告する手紙を衆院議長公邸に届
けていた。こうしたふるまいによって、彼には措置入院の処分が適用
され、入院したものの、彼はすぐに「他者に危害を加える恐れがなく
なった」と診断されて退院し、その後、予告通り大量殺人の事件を起
こしている。

相模原の事件を機に、こういう要注意人物を見逃さないようにするた
めの、法整備を促す機運が高まっている。どういう人物を「要注意」の
人物とみなすかは難しい問題だが、それはまた別の問題である。

「要注意」を見逃さないようにする。この場合、「要注意」なのは、
なにも人間とは限らない。たとえばオスプレイは、過去に何度も事故
を起こしているから、「要注意」と判断されて然るべき軍用輸送機で
ある。「要注意」の輸送機であるオスプレイに関しては、高い確率で
事故を起こすことを考慮し、集落の上空を飛ばないよう、規制をかけ
るなどの措置が必要だろう。住民の安全を考えた沖縄県のこうした要
請を、平然とシカトする米軍が、「人道主義」を標榜する国家の軍隊
だというのだから、とんだお笑い種であり、冗談も度を越している。

もう一つの例を考えよう。すでに述べたように、何をもって「要注
意」と判断するかは、なかなか難しい問題である。たとえば今は介
護殺人の事例が増えているという。被害者は要介護の高齢者であり、
加害者は高齢者の介護に疲れ果てた親族であることが多い。ごくご
くフツーの人が、介護に疲れ果て、精神的に追い詰められて、虐待
に走り、極端な場合には、親や祖父母の殺害に及ぶ。
だれもが加害者になり得るこういうケースでは、介護に疲れ果てた
親族を「要注意」だとみなすことは難しいし、仮にそうみなすことが
できて、彼/彼女を監視下においたとしても、それが事態を改善する
手立てにならないことは、目に見えている。事態の改善を考えるなら、
彼/彼女を監視するよりも、彼/彼女に援助の手を差しのべたほうが、
ずっと効果的であるに決まっている。
「殺人」という大枠でくくるのではなく、ストーカーや相模原の事件
と、介護殺人とをきちんと切り分ける、もっと細かな視点が必要であ
る。その上で、この問題はまた別の観点から考えなければならない。
コメント (2)
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友あり遠方より来る

2016-12-18 23:34:33 | 日記
年来の友人が二人、連れ立って我が家にやって来た。彼らと顔を合わ
せるのは、1年ぶりだったり、2年ぶりだったり。まず近況報告のよう
な意味合いを込めて、廊下を4メートルほど杖をついて歩いてみせた
ら、彼らが口にしたのは、「歩き方がだいぶ上手になりましたね」、
「歩くスピードも、速くなったんじゃないですか」という言葉だっ
た。この言葉を聞いて、つい心が小躍りした。自分では片麻痺の後遺
症が改善したという実感がまったく得られないので、ややもするとく
さりがちだったが、1年とか2年の長いスパンで見ると、私の身体は
確実に良くなっているらしいのである。

いや〜、毎週訪問リハビリで、私の身体をお世話してくれている
元?青年のPTさん、いつも愚痴ばかり言って、ごめんなさい、そし
て、有難う。

あ、それから、毎週通所しているデイサのリハビリ施設のスタッフの
皆さんにも感謝しなければならない。(いつもは良くなっている実感
がないから、お礼をいう気持ちにもなれないんだけれどね。)

友人二人とは、昼から夕方まで、たわいない与太話をして楽しい時間
を過ごした。彼らは二人とも、私のブログを読んでくれているとのこ
と。「今夜はこれからNHKの大河ドラマもあるし、書いている時間が
あるかなあ」と言ったら、「今度はどんなことを書く予定なんですか」
と聞かれたので、「アイドル活動中の女子大生が、ストーカーに殺され
そうになった事件と、島根で女子大生が殺された事件と、相模原の障害
者施設での殺人事件と、オスプレイの墜落事故の話かな」と答えた。

友人の一人、A君によると、欧米では、起承転結ではなく、まず結論や
概要を書き、その後でそれをフォローする文章を短く簡潔に書くという
のが、学校で教える感想文やレポートの書き方の一般的なスタイルだと
のこと。

その伝に倣って、さっそく私も明日書くブログ記事の内容について、そ
の概要を簡潔に示したつもりだが、これだけでは「え?何の話?」と戸
惑う向きもいらっしゃるだろうから、急いで付け加える。これら4つの
ケースを結びつけるテーマは、「危ない人を事前に取り締まることはで
きるか?」という問いである。スリリングな展開になりそうで、今から
ワクワクしてくる。

でも・・・、ああ、考えてみたら、あしたはリハビリ施設へ通所する日だっ
た。書いている時間があるかどうか、それに、帰宅したあとでそのエ
ネルギーが残っているかどうか・・・。そういう問題もあるから、なおさ
らあしたのブログ書き、スリリングではある。
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「危ない人」への対処はいかに

2016-12-17 14:59:00 | 日記
プーチン大統領の来日、そしてオスプレイの沖縄での墜落事故と、こ
のところ大きなトピックが続き、言及の機会を逸した格好になってい
ることがある。ずっと気になっているのだが、それは、相模原市の知
的障害者施設で、19人の障害者が殺害された事件を受け、厚労省の有
識者チームが提出した報告書の内容を、産経と毎日が社説で議論の俎
上にのせていることである。産経は12月13日付の社説《相模原殺傷
報告 刑法の大改革に踏み込め》で、次のように論じている。

この報告書では、措置入院した患者を対象に、都道府県知事などが支
援計画案を策定し、病院側は患者の退院後の「生活環境指導員」を選
任することなど、退院後の継続的な支援が必要だとしている。しかし
これは、犯罪への強い欲求を持つ者に有効な措置であるとはいえな
い。求めたいのは、入退院の判断への司法の関与であり、退院後の動
向把握への警察の介在である。医療現場や自治体に責任を押しつける
ばかりで事件を防ぐことはできない。
 未然の犯罪防止に対する司法の腰は重い。日本の刑法の原則が、既
遂の犯罪を処罰対象としているからでもある。同様の慎重意見は共謀
罪の導入論議にもみられた。だが、悲惨な犯罪やテロが起きるのを待
てというのか。欧米にみられる「治療処分」や「保安処分」の制度化
を含め、刑法の抜本的見直しを検討すべきだ。

産経の社説の主眼は、措置入院者の退院後の行動確認について、警察
の関与を求めていることである。
たしかに、(厚労省チームの報告書が言うように)この行動確認を自
治体や医療現場に任せたのでは、自治体や医療現場の側から「それは
困る。人手不足の折、とても対応しきれない」と苦情の声が上がるの
は避けられない。措置入院者の退院後への対応を警察に任せれば、こ
うした苦情への実際的な対処にもなるだろう。

それに、警察は何といっても犯罪対応のプロ組織である。プロたちの
集合体である。その種の対応はプロに任せたほうが効果的だろう。

毎日の社説はそこまでは述べていないが、産経と、毎日の社説(12月
14日付《相模原事件検証 再発防止には不十分だ》)には、もっと大
きな相違点がある。一つは、産経の社説が「欧米にみられる「治療処
分」や「保安処分」の制度化」に言及していることであり、もう一つ
は、毎日の社説が「施設の対応」に言及していることである。
「治療処分」は「保安処分」の一環だと見られるが、その是非につい
ては、法学者のあいだでいろいろと議論があるようだ。欧米における
「保安処分」はどういうものなのか、そこにはどういう問題点が指摘
されているのか、私のような無知な人間のために、もう少し突っ込ん
だ紹介が望まれる。

毎日の社説が「施設の対応」に言及している点には、私は違和感のよ
うなものを禁じ得ない。私はこれに対して、「チェーホフ「六号室」
の二の舞いにならないか」という危惧を感じるのだ。
欧米におけるテロの摘発のケースに見られるように、疑心暗鬼の目で
見れば、だれもが「それらしい人」に見えてしまうものだ。「それら
しい人」をたえず監視して、事件を起こす前から「あの人は危ない人
ではないか」と疑いあうような社会は、隣人同士の日常生活を萎縮さ
せ、(「六号室」の主人公のような)悲劇を生み出しかねない。
産経がいう「保安処分」の問題と合わせて、犯罪予防の方策について
は、もう少し踏み込んだ議論が必要だと思うのだが、いかがだろうか。
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感謝すべきだって?

2016-12-15 13:58:00 | 日記
う〜ん、分からない。全く理解不可能だ。ただただ唖然とするだけ。
「感謝されるべきだ」とは、いったい何を意味するのか。人はどうい
うときに、どういう心理状態で、この言葉を口にするものなのか。

あいた口がふさがらないまま、この問いのまわりをウロウロしていた
ら、失語症にでもかかってしまったのか、なかなか文章が出てこな
い。仕方がないので、朝日新聞のきょうの社説《オスプレイ大破 懸
念が現実になった》から、ほんの一部、(当該の問題を簡潔に描写し
た)文章をお借りしよう。

沖縄県名護市で米軍の輸送機オスプレイが事故を起こした。海岸の集
落から300メートルほどしか離れていない浅瀬に、大破して横たわ
る機体の残骸は、事態の深刻さを雄弁に物語る。
許しがたいのは米軍側の態度である。日本国内でのオスプレイの運用
を当面停止したのは当然だが、在沖米軍トップの四軍調整官は抗議し
た副知事に対し「パイロットは住宅や住民に被害を与えなかった。感
謝されるべきだ」と話したという。

この報道に接したときの、私の唖然とした気持ち、それを言い表す言
葉は、「唖然」、「あいた口がふさがらない」、「言葉も出ない」と
いった言葉以外にはない。強いて言うなら、「ええっ!? マジ? 信
じられない!」という表現がそれに近いだろうか。

私と同じ気持ちにとらわれた人は多いようだ。ネットには、この意味不
明の言葉にこだわり、これをなんとか理解しようとする人たちが、以下
のような意見を書き込んでいる。

(Aさんの意見)「これはどちらが本来伝えたかった言葉だったのかに
よってまったく違ってくる
・(米国パイロットに)感謝されるべき
・(神に)感謝されるべき」

(Bさんの意見)「「Should be thankful that there was no damage」
は「神に感謝すべき」と訳すべきで、米軍に対してではない。」

なるほど。Bさんのように考えれば、この言葉がどういう文脈で、どう
いう心理状態において発語されたのか、そのあたりの事情が少しは飲み
込めるようになる。「よかったではないか。住民に被害がなかったのは、
不幸中の幸いだ。このことを神に感謝すべきだ。」
この米軍のトップは、そう言いたかったのだろう。彼はきっと敬虔なク
リスチャンであるに違いない。
もっとも、これは沖縄県副知事から抗議をうけたその場で、額に青筋を
立てながら口にすべき言葉ではないから、この人はきっと「空気が読め
ない人」なのだろう。

しかし、待てよ。「感謝」という言葉の対象を、Bさんのように神では
なく、米軍ととって、この言葉に関しては、次のように解釈するのが、
最も真相に近いのではないだろうか。
「我々が(沖縄の副知事から)抗議を受ける筋合いはない。(沖縄の)
住宅にも住民にも被害を与えていないのだから、我々はむしろ感謝さ
れるべきなのだ。」
彼はこう言いたかったのではないか。

だとしたら、これは暴走族が「俺たちに感謝しろよ。住民に被害を与
えていないんだからな」と嘯(うそぶ)くのと、少しも変わらない。
ドンパチと抗争を繰りひろげるヤクザの親分が「わしらに感謝しろよ。
カタギの衆に被害を与えていないんだからな」と嘯くのと、ちっとも
変わらない。

やれやれ。この米軍のトップは、ホントにヤクザの親分気取りなのか
も知れない。そんなヤバい集団に居座られた沖縄の人たちの心痛も、
察するに余りある。
踏んだり蹴ったりの沖縄の人たちに向かって、「感謝しろ」と言うな
んて、この人、どんな頭をしているのだろう。そうとうヤバい頭かも
ね。
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