ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

玄海町 町長の発言を深読み

2024-05-11 11:19:27 | 日記
原子力発電で出るいわゆる「核のごみ」の、その最終処分場の選定をめぐって、佐賀県玄海町の町長が、第1段階となる「文献調査」を受け入れる考えを表明したという。NHKは次のように伝えている。

玄海町では第1段階にあたる『文献調査』をめぐって4月、調査の受け入れを求める請願が町議会で採択され、今月1日には国が調査の実施を町に申し入れていました。
こうした中、玄海町の脇山町長は記者会見を開き『町議会での議論や国からの申し入れを受け熟考した結果、文献調査を受け入れる決断をした』と述べ、調査を受け入れる考えを表明しました。その上で『全国で議論が高まり、取り組みが進む一石となればと思っている。なし崩し的に最終処分場になることはないと考えていて、お金目的で調査を受け入れるものではない』と自らの考えを説明しました。
文献調査の受け入れは北海道の寿都町と神恵内村に続いて全国で3例目です。

(NHK NEWS WEB 5月10日配信)

このニュースを聞いて、「むむ、どういうことなのだ?」と思ったのは、「お金目的で調査を受け入れるものではない」という町長の発言である。
聞くところによると、文献調査に応じた場合、自治体が申請すれば最大20億円の交付金が支給されるという。町長は交付金を申請するかどうかは明言を避けているようだが、20億円といえば、途方もない金額である。これをもらうか、もらわないかの判断には、かなりの熟慮が要ったことだろう。

そもそも町議会が文献調査を受け入れるよう町に請願する決議をしたとき、町会議員たちには、この「文献調査を受け入れれば、20億円」という「誘い水」が、かなり魅力的なものに映っていたに違いない。彼らはこの「20億円」を、玄海町を滅亡の危機から救うカンフル剤とみなしていたに違いないからである。

町長だって「20億円」という「誘い水」が議員たちの議決の大きな誘因になっていたことを知らなかったはずはない。

町長は、最終処分場の受け入れが町にとって大きなリスクになること、20億円はこのリスクと引き換えに交付される補償金のようなものであることを知っていたに違いない。
知っていたから、「20億円をもらえば、(なし崩し的に)最終処分場を受け入れざるを得なくなるかもなぁ」と考え、20億円の交付を申請すべきかどうか、大いに迷ったに違いないのである。

町長は、「(調査が)日本のどこかに適地が見つかるための呼び水となればと思う」とも述べたというが、今回、文献調査を受け入れたことで、とりあえず文献調査受け入れへの先導役を果たすことができ、ひとまず国(経済産業省)のご機嫌をとることができたと考えたのだろう。最終処分場は御免だが、文献調査程度なら、喜んで先導役くらいはお引き受けしますよ、ということである。

この町長、なかなかのやり手だと見た。


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