ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

侮辱罪と政権批判

2022-05-08 13:31:26 | 日記



侮辱罪に懲役刑を科せるようにすることを盛りこんだ政府提出の刑法改正案が、衆院法務委員会で審議されている。私はこのことを朝日新聞の社説で知った(5月8日付《侮辱罪厳罰化 慎重な審議を求める》)。

たしかに今の世を見渡せば、SNSを使って人を貶(おとし)める卑劣な行為が後を絶たない。こうした風潮に対して、なんらかの対策が必要なことを朝日の社説は認めるが、そのタイトルにもあるように、政府の「侮辱罪厳罰化」の志向に対しては、朝日は「慎重な審議」を求める姿勢を示している。

朝日の懸念は私にもよく解る。菅義偉氏が内閣総理大臣だった当時、私は本ブログで、「スカ首相」が打ち出す政策を散々馬鹿にし、批判した。こうした政府批判の行為が、首相個人を貶める「侮辱」目的の行為と曲解され、侮辱罪の適用対象とみなされて、重罪を科されたのでは堪ったものではない。

今回の政府による刑法改正案が国会で承認されれば、政府は自らの批判者を逮捕しやすくなり、(民意を無視した)独善的な政策を容易に実施できることになるだろう。

政権を握る政府は、自らの意に副わない者を様々な口実で排斥し、独善に走りがちな傾向を持っている。曰く、首相を侮辱した、虚偽情報をばら撒いた、国家を転覆しようとした、云々。

そうした危ない政府の典型は、ロシアや中国の政府である。これらの政府は、いずれも独裁政権が運営する統治機関である点で共通している。
共産党が単独で政権を握るお隣の中国では、政府を批判する人権派の弁護士が、ある日突然姿を消し、何年も獄につながれる事例が頻繁に起こっていると聞いたことがある。

また、(ウクライナ侵攻によって世を騒がせている)ロシアのプーチン政権は、情報統制を一段と強化し、SNSへのアクセスを遮断するとともに、政府が「虚偽」とみなす情報を広げた場合には、刑罰を科すことができるように法改正をした。その結果、ロシア軍によるウクライナ侵攻の事実をありのままに伝えようとする国外のメディアは、活動停止へと追い込まれた。

そうしたロシアや中国の政府に比べれば、我が日本政府は遥かにマシであり、人権を尊重する日本政府の開放的な政権運営は、是認されるべきものであるように思える。
私、天邪鬼爺が心置きなく政権批判を行えるのも、政府の寛大な姿勢があればこそである。――あ、これ、べつに政府にゴマをすって言っているのじゃないからね。



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