さて、その時、僕は区民プールあがりで、午後のお茶を仕事仲間のユミちゃん(27)としている所でした。
「ゆるちょさん、先日、事務所のメンバーの方とテニス大会やったんですって?」
と、スポーツ大好き少女にして、元ヤンのユミちゃんが言います。
「うん。辛辣姫ユキちゃんの提案だったんだけど、皆、ノリノリでさ・・・」
「うちの社長の御島さんなんて、スカート短かったよ・・・まあ、でも、皆ワイワイ身体動かせて楽しかった」
「やっぱり、身体を動かして男女で遊ぶって、面白いよね」
と、僕。
「ゆるちょさんの事務所って、皆、スポーツとか好きそうですもんね」
「皆、明るいし、一緒に飲んでて楽しいですよね」
と、ユミちゃん。
「うん。なんかうちの事務所は、ちょっと体育会系なのかもしれない」
「社長を頂点にして、体育会系ヒエラルキーが出来上がっているというか・・・」
「だから、ぎくしゃくしたりした事って一回も無いんじゃないかな」
と、僕。
「それはゆるちょさんが、ドーンとど真ん中にいるからですよ」
「そのキラキラお目目の「サル山のボス力」は巨大ですもの・・・女性をすぐに本能的に説得してしまう、その強力な」
「キラキラお目目で見つめられたら、女性は何も言えなくなってしまいますもの・・・」
と、ユミちゃん。
「元ヤンのトップをやっていたユミちゃんに言われると、こそばゆいね」
「その場合、レディースのヘッドのユミちゃんって言った方がいいのかな?」
と、僕。
「いいですよ、どっちでも。ゆるちょさんがわたしを元ヤンと説明したがるのも、わたしは知っていますから」
と、ユミちゃん。
「僕は元ヤンって、かっこいいなって思ってるんだよ。筋を通す生き方だもの。これでも尊敬しているの」
と、僕。
「そんなに説明しなくても、大丈夫ですって。これでも、わたし、ゆるちょさんの事は相当知っていると思っていますから」
「なんか、わたしの事、面白がってくれてるし、前に好きだって言ってくれましたよね、ま、ゆるちょさん酔っぱらってたけど」
と、ユミちゃん。
「そう言われちゃしゃーないね。それに、僕は女性に中身を知られているって状況好きなんだよね・・・なんかホッとするしさ、そういう状況って」
と、僕。
「だから、ゆるちょさん、酔うと甘えてくるんですね?」
と、ユミちゃん。
「え、えーと・・・」
と、僕。
「いいんですよ。女性に愛されるオトコこそ、甘えるべきなんです」
「女性に甘える権利のあるオトコこそ、素敵なオトコなんですから」
と、ユミちゃん。
「やっぱ、ユミちゃんって、オトコマエだよなー。どうも、僕はオトコマエの女性をついつい好きになっちゃうんだよねー」
と、僕。
「そういうところがゆるちょさんらしい・・・」
と、目の笑ういい笑顔のユミちゃんは言葉にした。
「だから、ユミちゃんは、グループを本能的に仕切る、僕の「サル山のボス力」=「ヒカルの君の目」を評価してくれるんだね?」
と、僕。
「ええ。グループを仕切る事の出来る「サル山のボス力」こそ、大事なチカラですよ。それがないとどんなグループも仕切れませんから」
と、自らも「ヒカルの姫の目」をキラキラさせながら、言葉にするユミちゃんです。
「でも・・・最近の男性はこういう本能のチカラを知らないと言うか・・・わたしは小学生の頃、すでに知っていたけど、大人の男性のチカラを評価する時」
「私達は・・・その目にチカラがあるかどうかを見ていたんですよね。その男性が本能的に強ければ、目はキラキラ強く光っていたし」
「その場合は敵にしちゃいけないから、挨拶をする・・・でも、その男性の目が弱ければ、敵にしても構わないから挨拶しないとか・・・」
「そういう人間としての基本的なチカラのあり方・・・最近の男性はわからないのかしら・・・」
と、ユミちゃん。
「わたし、それに関して思うのは、今、現在この国の出生率がこれほどまでに落ち込んでいるのは」
「大人世代のオトコの責任だと思っているんです。とにかく、キラキラ光る「ヒカルの君の目」を持った男性が少なすぎます」
「これは女性を恋に落とすマジックアイテムでもあり、一方で、男性や女性達をビシッと仕切る為の本能的なチカラ」
「「サル山のボス力」・・・統率力を生むチカラでもありますから・・・それのないサラリーマンオヤジがいかに多いことか・・・」
と、ユミちゃん。
「ユミちゃんのグループは、決して一般の男性や女性に手は出さなかったって言うけど」
「昔あった、おやじ狩りには・・・その「ヒカルの君の目」を持たない「死んだ魚の目」をしたオヤジ達を対象にしたのかな?」
と、僕。
「でしょうね。男性なんて、目をみれば一発で、そのオトコの人間的な小ささや弱さは、わかりますからね」
「だいたいそういうオトコは、こちらがジロリと見たくらいで、目は伏せるし、ガタガタ震えていたりしますから」
「すぐ見抜けますよ」
と、ユミちゃん。
「ま、ユミちゃんにかかれば・・・男性の気の弱さや、人間性の小ささなんて、すぐ見抜かれちゃうだろうね」
と、僕。
「ま、一発ですね。だいたいわたし、気の弱いオトコ、気の小さいオトコが大嫌いですから」
「社会で何を修行してきたんだって感じ・・・人生は日々修行を積み上げてこそ、なんぼだって言うのに」
「おそらく、そういうオヤジ達って、会社で弁当を食べるくらいしかしていないんでしょうね」
と、ユミちゃん。
「そういうオトコ達は対女性能力も低くて・・・会社の女性から、鼻にも引っ掛けられていない男性が多いそうですよ・・・」
と、ユミちゃん。
「そういうオトコが家庭も仕切れず・・・家庭崩壊を起こしている・・・だから、出生率が低いまま・・・そういう事?」
と、僕。
「ええ。最近、その兆候と言われるのが、小学生レベルの孤食の光景が増えている事ですね。これ、都市部に多い状況です」
「父親が完全に家庭の権力を無くし・・・家庭の絶対権力が母親に移行し、さらにその母親が面倒くさい病・・・」
「ふしあわせスパイラル一直線ですけど・・・そのおかげで、子供に個人個人勝手に夕食を取らせているんです」
「小学1年生くらいから、めいめいにお金を渡して、好きなモノをコンビニで買わせ、好きな時間に勝手に食べるように」
「指導しているんです。もう、家庭崩壊一歩手前・・・おかげで、どんどん自分勝手な子供が生まれてくる」
と、ユミちゃん。
「日本の最高正義は、「和を以て貴しとなす」じゃないですか。まあ、これはゆるちょさんの受け売りですけど」
「・・・だから、社会に出てきたら、コミュニティの中で周囲と上手くやって行く必要がある」
「もちろん、その為には、自分がそのコミュニティにおいてどういう立場なのかわきまえる必要がありますよね」
「いわゆる「空気を読む」と言う能力ですけど・・・以前は大学卒業するくらいには、その能力の基礎は出来てました」
と、ユミちゃん。
「でも、最近は、その状況が変わってきたと言う事?」
と、僕。
「ええ。最近、お一人様活動を促進する動きがあります。つまり、コミュニティの中で上手くやる能力がつかないので・・・」
「徹底してお一人様活動をしていこうと言う動きがあるんです」
と、ユミちゃん。資料をカバンから出してくる。
「何これ?・・・「お一人様活動をもっとポジティブに。お一人様活動は決して暗いモノじゃない?」」
「何ですか?これ・・・」
と、僕。
「ひとり焼き肉、ひとりカラオケ、ひとりで食事するなんて、今や普通の事・・・ほら、ここに事例が載っているでしょう?」
と、ユミちゃん。
「なになに・・・ひとりでディズニーランドも恐くない?一人でディズニーランドに行ったら、自画撮りして、自分の写真を」
「ツイッターにアップしよう?・・・その写真に、自分の今の感想を書けば、きっと誰かがリツイートしてくれる」
「・・・ツイッターは常にあなたの友達・・・なんだこりゃあ・・・」
と、僕。
「今の大学生は、それを最先端だと思っているんです。これなら、友達同士でディズニーランドに行った時に感じる」
「煩わしさ・・・無理に盛り上げたり、笑い合ったり、相手に合わせる必要がない・・・自分一人の方が存分に楽しめる・・・」
「こっちの方が新しいし、楽しむと言う観点で見れば、自分に合ってる方法だ・・・これが彼女達や、彼らの結論なんです」
と、ユミちゃん。
「どう思います?ゆるちょさん・・・」
「ゆるちょさんは確か、「この日本での楽しみとは目の前の女性や男性と見つめ合う事で、相手を本能的に楽しくさせ」」
「「笑顔にさせる事が出来る事・・・これが日本人の女性でも男性でも、大人になる条件になる」って言ってましたよね?」
「そして、「最高のしあわせとは、コミュニティ全体で笑顔になれる事・・・コミュニティ全体を笑顔にする事」」
「「・・・これこそが、日本人のしあわせになる醍醐味」とも・・・」
「つまり、今、そのベクトルとは逆のベクトルに乗る若者が増えてきているんです」
と、ユミちゃん。
「なるほどね。モノには、必ず、いい面と悪い面がある。お一人様活動に関しても、いい面はある」
「それは人生と言うのは、結局、お一人様なんだと言う事だ。人生とは、すべて自分の責任でイエス・ノーを積み上げてきた」
「モノだ・・・たとえ両親と言えど、その決定にくちばしを入れる事は出来ない・・・僕はそう見ている」
「だから、僕は常に自分の責任において自分の人生のイエス・ノーを判断してきたし、だからこそ、今の環境」
「未だに独身と言う状況に僕は納得している」
と、僕。
「でも、その状況を作ったのはゆるちょさんが、大学を卒業する時に、脱サラ仲間の瀬名さんと」
「「将来、自分が輝ける世界に脱サラする」と決めたからで、その時、ゆるちょさんは誰にも迷惑をかけないように」
「「脱サラが成功するまで、恋はしない」と決めたからでしょう?」
と、ユミちゃん。
「そういう事だ。ま、そしたら、意に反して、たくさんの未婚、既婚の女性に恋された・・・と言う状況にもなったけどね」
と、僕。
「それとさ・・・その時、瀬名は・・・自身の脱サラの為にガンガン自分を成長させていった・・・僕はその光景に背中を押され続けた」
「あいつ・・・学生時代は、女性に声などかけられなかったのに、自身の「社交ダンス教室のオーナー兼先生」と言う脱サラの目標を実現させる為に」
「社交ダンスのイベントを開催しては、ガンガン女性に声をかけて、指導もし、社交ダンス・イベントをドンドン成功させていった・・・あの姿は僕の背中を押したね・・・」
と、僕。
「人生はお一人様だけど・・・友人のあり方が自分の背中を押してくれる・・・そういう事だってあるんですね」
「っていうか、良い友人って、その人生で自分の背中を押してくれる人だと思いますけどね。あるいはその人がいてくれるだけで」
「自分の人生が癒やされるとか・・・友人の効用っていろいろだと思います」
と、ユミちゃん。
「結局、友人と言うのは、自分の人生を良くしてくれるんだよ・・・時に厳しい事も言ってくれる・・・でも、それは本当に僕の人生を考えての事だったりするし」
「僕は僕に意見してくれる仲間を大事にする。だって、それは僕に対する愛だもん・・・それくらいはわかるさ」
と、僕。
「ゆるちょさんの脱サラ仲間の瀬名さんって・・・会社を退職したお金で、社交ダンス教室を作って、立派にオーナー兼先生をやられているんですよね?」
と、ユミちゃん。
「そ。脱サラ成功は彼の方が何年も早いよ。だけど、彼がいてくれたから・・・今の僕がある。彼には感謝しきれないよ。そういう存在が友人と言うモノじゃないかな」
と、僕。
「だってさ・・・ツイッターなんて不特定多数の人間だろ。その言葉に責任を持つ事はないじゃん」
「でも、リアルライフの友人達は、その言葉に責任を持ってくれるし、人生を豊かにしてくれるよ。時にぶつかり合ったり喧嘩をする事もあるけど」
「そうやってお互い理解していくモノだろうし・・・ま、でも、本質的に言えば、自分の人生は自分の責任で決定するイエス・ノーによって導かれるものさ」
と、僕。
「友達と遊ぶ事すら、面倒くさいって・・・どういう感覚なんだろう?」
「わたしにはわからないわ。ま、それはいいとして、話を元に戻すと・・・ゆるちょさんは自らの恋は大学卒業時に封印した・・・」
と、ユミちゃん。
「ああ。そうしなければ、脱サラなんて事は僕には出来ないと判断したからね。僕は一度判断すると、それを頑固に押し通すから・・・」
「もっとも多くの女性に恋されたおかげで、「ま、まだ結婚しなくても大丈夫みたいだ」と言う判断は出来たけどね」
と、僕。
「だって、ゆるちょさんは、女性を恋に落とす「ヒカルの君の目」を早くに整備したから・・・それは女性は恋に落ちますよ」
と、ユミちゃん。
「今だって・・・ゆるちょさんに見つめられると、こころまでその目に吸い取られそう・・・」
と、ユミちゃんは頬を染める。
「まあ、こういう状況を作り出さないと、初対面の女性に取材する事が基本になる物書きの仕事なんて出来ないからね」
「システムエンジニアがプログラミング言語を駆使出来るのと同じ理屈だよ」
と、僕。
「で、だ・・・話を戻そう。だから、人間は永久にお一人様だ・・・とも言えなくもない。だが、そこに日本文化が立ちはだかる」
「日本文化はユミちゃんが言ってくれたようにその最高正義が「和を以て貴しとなす」だ」
「人々は毎週「雨降って地固まる」を繰り返し、成長をしていく・・・しあわせになるには、この「成長」がすべての基本となる」
「じゃあ、その成長って具体的に言うと何かって言うと、周囲のコミュニティと本気でぶつかる事で、本人が成長し」
「どんどんコミュニティの内部で認められるようになり、自分の居場所を作り、立ち位置を知る・・・そういう事なんだよ」
と、僕。
「それって結局、その個人の中身が露呈する・・・そういう事ですよね?」
「そうなった時、今のお一人様の子達って・・・見るに耐えられる中身を作れているのかしら・・・」
と、ユミちゃん。
「日本人がしあわせになる方法は唯一・・・「情けは人の為ならず」を使う事だ・・・」
「シンプルに言えば、目の前の相手を本能的にしあわせに出来れば・・・相手の本気の笑顔が自分をしあわせにしてくれる」
「・・・そういう事だよね」
と、僕。
「でも、お一人様は・・・孤食の段階からして・・・他人に合わせたくない・・・自分勝手に生きたい・・・そういうワガママ思想の」
「持ち主って事なんですよね・・・」
と、ユミちゃん。
「そんな孤食主義の子供たちが・・・社会に出ても・・・お一人様になるのは当然ですよね。誰かに合わせるのが嫌なのだから」
「・・・っていうか、日本人がしあわせになるのに、最も大事な能力・・・コミュニティをしあわせにする能力が」
「それでは全く鍛えられていない事になりますよ・・・」
と、ユミちゃん。
「例えば、大学時代でなら、お一人様も通用するかもしれない。ひとりでカラオケに行っても、焼き肉に行っても」
「ディズニーランドに行っても誰にも咎められないでしょう。でも、会社は違う・・・」
と、ユミちゃん。
「会社と言うコミュニティに孤食主義者が入っていったら、どうなると思います?」
と、ユミちゃん。
「会社と言うところは・・・と言うより、サラリーマンは、その人間がどういう人間かによって」
「適材適所を図ろうとするから、どうしても、その個人がどういう資質の持ち主で、どういう時に使えて」
「どういうシチュエーションで、使えないかを、見極めてくる・・・だが、孤食主義者は・・・」
と、僕。
「まず、会社内で浮くでしょうし・・・自分の中身を見抜かれたくない本人はまず毎日ストレスでしょうから・・・会社員としては長続きしないでしょうね」
と、ユミちゃん。
「だいたい孤食主義者って、友人同士、友達に合わせるのすら、面倒くさいと考える女性や男性達ですからね」
「どんだけ、能力無いんだって話になりますよね。わたしは、そういう女性や男性とは一生つるまない」
と、ユミちゃん。
「それは遺伝かな。ほら、孤食主義者のお母さんは「面倒くさい病」だったんだろ・・・完全に遺伝だ」
「ま、この日本では「面倒くさい」と言う不幸の呪文を唱えたが最後、ふしあわせになってしまうからね」
と、僕。
「それって結局、ある種の「俺偉い病」なんじゃないですかね。コミュニティ内部に入ると、全く機能しないばかりか」
「周囲に「負のエネルギー」を放つわけだから・・・そのコミュニティから弾き飛ばされるのは目に見えていますからね」
「あり方は「俺偉い病」ですよ」
と、ユミちゃん。
「ま、「俺偉い病」になったら、ふしあわせスパイラル一直線だからね」
と、僕。
「いずれにせよ・・・お一人様の社会人は、日本社会から弾き飛ばされる・・・そういう話ですか」
と、ユミちゃん。
「そうなると、結局、両親と同居しながら、ニート化が関の山・・・そういう結論だろうね」
「それって、日本社会を舐めきっているとしか思えないなあ」
と、僕。
「結局、それって何が悪いんでしょう?誰が悪いんでしょう?」
と、ユミちゃん。
「結局、そういう「和を以て貴しとなす」を最高正義とする日本社会に出てくる・・・準備を一切しないどころか」
「日本社会に嫌われる人材を創りだした・・・それがお一人様を盛り上げた人達・・・ひいては、孤食主義者を創りだした」
「両親が悪い、と言う事になるんじゃない?もちろん、そういう人生を選んだ、当人に最も責任があるけどね」
と、僕。
「結局、安易な道に流れると・・・自分で自分を鍛えあげる時間をとらないで、社会に出てくるハメになると言う事ですね?」
「日本社会でしあわせになりたいなら・・・それ相応の能力を鍛えあげてから社会に出てくる必要があるのに」
「そこから逃げているから・・・当然、日本社会から嫌われ、居場所を無くし、本物のお一人様になってしまう・・・怖い事です」
と、ユミちゃん。
「会社にすら、いられないとしたら・・・いや、それ以上に女性を口説く能力も無くて・・・人生なにが楽しいんだ?」
と、僕。
「ゆるちょさんは、そういう女性を口説ける能力って何時鍛えたんですか?」
と、ユミちゃん。
「うーん、僕が大学生の時、国公立のマドンナ名雪ちゃんに恋されてた話は知ってるでしょ?」
と、僕。
「ええ。リアルお姫様で・・・たくさんの男性に愛されてた美しくて聡明な女性だったんですよね?」
と、ユミちゃん。
「その経験がきっかけになったよね。それほどの女性に恋されるなら、それと同程度の女性に行ってもいいんだって事になるしね」
と、僕。
「でも、ゆるちょさんは大学卒業後は、自分から口説いたりはしなかったんでしょ?」
と、ユミちゃん。
「うん。ま、「ヒカルの君の目」を装備した後は・・・自分に自信のある女性から、恋をされるパターンが」
「未だに続いていると言う感じ・・・だから、相手の女性がどういう気持ちか見抜く事が出来れば」
「「じゃ、この後、飲みに行こうか?」って言えばいいだけだから・・・」
と、僕。
「そう誘えば、必ず相手は頷いてくれる・・・そういう事ですか?」
と、ユミちゃん。
「まあね。それは相手の目が笑っていれば・・・その笑っている目さえ確認出来れば・・・いい事だし」
「僕は元理系だからね。そのあたり、具体的にリトマス試験紙を使う人間なのさ」
と、僕。
「自分を見ている女性の目が笑っていれば・・・その恋はゴーサイン・・・そういう事ですね」
と、ユミちゃん。
「それくらいは、もうユミちゃんだって知っている話だろ?目の笑う、いい目をしているユミちゃんなら、さ」
と、僕。
「わかっていても、クリエイターとすれば、ゆるちょさん自ら言葉にしてもらわないと・・・記事を作れませんから」
と、ユミちゃん。さらりとかわしている。
「でもさ・・・そういう「自分を見つめる女性の目が笑っていれば恋はゴーサイン」とかって知恵は」
「すべて僕に恋してくれた女性に貰ったモノだから・・・女性とのそういう恋の経験がそういう知恵をくれる」
「そういう事なんだよね・・・」
と、僕。
「わかりました。家庭をしあわせに出来ないオヤジ達は・・・女性に恋された経験は、妻ひとりだけだから・・・」
「そういう知恵が増えないし、元々、そういう知恵も持たないから・・・しあわせになれない・・・そういう事ですね」
と、ユミちゃんは結論的に言った。
「ゆるちょさんを見ていると・・・やっぱり、目が笑っちゃいますよ」
「いつも機嫌よく、いろいろ知恵の深いオリジナルな話をなさってくれるし・・・その目を見ているだけで、胸がキュンキュンしちゃうし」
「・・・それこそが、女性を本能から笑顔にしちゃう・・・大人のオトコのあり方って事ですね」
「知恵の深いオトコこそ、女性を本能から笑顔に出来る・・・しあわせに出来るって事ですね」
と、ユミちゃんは笑う。
二人はゆっくりとお茶を飲んでいる。
なんとなく、いい時間が過ぎていく。
二人は目が合うと、なんとなく、笑顔になる。
「今日は少し早めに飲みに行きましょう。美味しいお魚を食べさせてくれる」
「いいお店、探しておきましたから・・・」
と、ユミちゃんは僕の手を取りバッグを持つと、慌てて、カフェを出て行くのでした。
(おしまい)