一人の髪の毛の長い背の高い細身の女性が机に座り、ノートパソコンを叩いています。
彼女の名はレイカ(31)・・・とある雑誌の取材記者です。
「えー、それでは、タケルさん、夜の日本学「先人考察(女性編)」・・・お願いします。今日は誰について語ってくれるんですか?」
と、レイカはノートパソコンを叩きながら、赤縁のメガネを手で直し、こちらを見つめます。
「うん。そうだな・・・今回は「更級日記」の作者「藤原孝標女」さんにしてみようか」
と、タケルは話し始めます・・・。
さて、今日の「夜の日本学」はじまり、はじまりー・・・・。
「まあ、この藤原孝標女さんは、母の姉が「かげろふ日記」の作者の藤原道綱母さんなんだよね。まあ、それに影響を受けてこの「更級日記」を書いた」
「と思われるんだけど、内容的には正反対な感じなんだよね・・・」
と、タケルは言葉にする。
「と、言うと?」
と、レイカ。
「「かげろう日記」が美しくて気も回る「知恵者」の女性のジャーナリスティックな視点による、おもしろエピ満載の成功物語であるのに対して」
「「更級日記」は、ただただ日々に流されて、やまなし、オチなし、意味なし、な人生を歩んだ、特に美しくもない、平凡な女性の平凡日記なんだよね」
と、タケル。
「なるほど・・・確かに正反対ですね」
と、レイカ。
「だから、なぜ「更級日記」なんかが、この世に残っているのか、不思議に思ったんだけど・・・要はこの世とは藤原道綱母さんのような女性は稀で」
「普通に生きる女性の大半は、藤原孝標女さんのように、毎日にただただ流されて、やまなく、オチなく、意味なく、中途半端に生きてるから」
「「わたしと同じだわ、この女性・・・」という共感を得たんだと・・・やっとわかることが出来たよ」
と、タケル。
「特にこの藤原孝標女さんの子供の頃の描写・・・源氏物語の全巻を貰った時の嬉しさとか・・・これって現代の少女がお気に入りの少女漫画を」
「全巻贈られた時の嬉しさとまったく同じなのね。要は藤原孝標女さんって、少女漫画の世界に逃げ込んで、現実逃避しか出来なくなった」
「「逃げ込み者」の女性で、リアルライフの充実化がまったく出来ない・・・現代のアニメオタクな女性やコスプレイヤーの女性とほぼ変わらないわけよ」
と、タケル。
「なるほど・・・リアルライフでは特に目標も無いから、流されるだけで、特に面白いエピもない・・・そういう女性ですか」
と、レイカ。
「まあ、子供の頃に光源氏や薫や匂宮なんか、イケメン貴族ばかりとの恋愛世界に逃げこんでたから・・・現実の世界では「リアルライフ力」がまったくなくて」
「・・・まあ、「光るの姫の目」を確保出来なかったんだろうね。結果、パッとしないオジさんと結婚するはめになり、流されるままの「やおい」な人生」
「という結果にむずびついちゃうのね・・・」
と、タケル。
「結局、目標も無くただただ毎日に流される生活をしていたから・・・この人宮中に出仕しても、やる気ないから、いつもお客さん扱いだし」
「まず、自分の人生を作っていこうという意識が無い・・・だから、ただ流されて「やおい」な人生を送る羽目になるわけよ」
と、タケル。
「わたしはそういう人生嫌ですね。確かに巷には、そういう専業主婦の女性は非常に多いですよ。でも、やっぱり人生目標を持って、熱く生きていきたいし」
「素敵な恋をするために、毎日の自分磨きは大切だし、そのためにも、こうやってタケルさんに古今東西の知恵者の言葉を勉強させてもらってるんだし」
と、レイカ。
「ま、だから、この藤原孝標女さんの場合は「人の振り見て我が振り直せ」にすればいいんだよ。こういう女性にわたしは絶対にならない!ってね」
と、タケル。
「そうですね。そういう意味ではあまり頭の良くない女性なんでしょうね。この女性は」
と、レイカ。
「まあ、人間、過ごしてきた人生がすべてを語るよね・・・とにかく、どこにも人生の山がない・・・旦那もポックリ死んじゃうし、かなり後年になってから」
「「ああ、若い頃から、仏道に熱心に励んでいたら、よかったかしら」的な愚痴も出てくるし・・・終わったことを後悔する程、意味の無い行為もないのにねー」
「後悔するくらいだったら、早く始めておけばいいし・・・「知恵者」は人生後悔しないように、先手先手を打っていく生き方をしてるもんだしねー」
と、タケル。
「ほんと、こういう後悔をするような生き方をわたしは絶対にしたくないわ・・・」
と、レイカ。
「結局、高い目標を若いうちから持ち・・・それを目標にして夢実現の為に毎秒自分を成長させていく生き方しか、ドラマチックな生き方にはならないんだよね」
と、タケル。
「それを何の目標もなく、ただ日々に流されて生きていけば・・・後悔ばかりの日々になっちゃうのは自明の理だよねー」
と、タケル。
「人生ふしあわせスパイラルそのもの・・・それを言葉にした感じで・・・ほんと、絶対にこうはなりたくない、わたし・・・」
と、レイカ。
「それに結局、廻りから人がいなくなって・・・寂しがる結果につながるんですよね・・・それって「逃げ込み者」の典型的ふしあわせ結果ですからね・・・怖いねー」
と、タケル。
「人生生きていくうちにドンドン周囲に人が増えて「しあわせコミュニティ」を運営していくようになるべきなんですけどね」
と、レイカ。
「まあ、この藤原孝標女さんは、人生の生き方のセンスがなかった・・・すべて中途半端に済ましてきた結果が、それ・・・ということだろうね」
「ま、人生「傍観者」のままでいると、結果こうなる・・・その典型例なお話だね、これは」
と、タケル。
「そういえば、上でタケルさん、コスプレイヤーも、ふしあわせスパイラル一直線みたいな事を言ってましたが、その理由を教えてください」
と、レイカ。
「ああ。それは簡単・・・例えば、僕が「ワンピース」の「黒足のサンジ」のコスプレイヤーになるとするじゃん?」
と、タケル。
「確かにタケルさん、料理上手いし、細身でスタイリッシュだし、おしゃれだし、髪の毛ボリューミーで長いし、女性に人気があるから・・・サンジライクかも」
と、レイカ。
「まあ、それはいいんだけど、要はコスプレイヤーって、漫画の世界の登場人物になりきることで人気を勝ち取ろうとするのよ。だけど、それは」
「その個人に価値があるわけでなく、例えば、「黒足のサンジ」だったら、サンジに人気があるから、価値になるわけだけど、本人自体に価値があるわけじゃないのよ」
と、タケルは指摘する。
「だから、自分に価値を感じない人間程、コスプレイヤーになる、ということになって・・・要は「リア充」出来てない人間程、コスプレイヤーになることになって」
「そういう人間は、ふしあわせスパイラル一直線・・・要は、漫画の世界に入り込んで帰ってこれなくなった・・・そういう二次コンな人間としては」
「コスプレイヤーも、この藤原孝標女さんも、まったく同じ構図になり、人生、山なし、オチなし、意味なしの「人生やおい女」ってことになるね」
と、タケルは説明する。
「人生やおい女・・・絶対になりたくありません。そんな女性に・・・」
と、レイカ。
「だから、夢を持つことは大切だ、と・・・そして、毎秒、その夢の実現を目標にしながら、毎秒自分の価値を高めていくことこそ、大事になるんだね」
と、タケルは言葉にした。
「なるほど・・・藤原孝標女さんみたいな「人生やおい女」になりたくなければ・・・夢の追求って大切なんですね」
「でも・・・サラリーマンの男女を見ていると、人生に夢なんて、無くて・・・ただただ毎日に流されているように見えます。わたし」
と、レイカ。
「だから、要は、僕は夢を追っている人間こそ、「青春」状態だと思うんだ。そういう人生はもちろん、山もあれば、オチもあるし、意味もある・・・そういう人生だ」
「しかし、人生から、夢というモノが消えた瞬間・・・「青春」時代は終り、人生やおい人間になって」
「一気に、人生ふしあわせスパイラル一直線・・・そういう風に言えると思うね」
と、タケルは言葉にした。
「なるほど・・・夢のあるなしが・・・その人の人生の意味を決めてしまうんですね。意味のある人生と、意味の無い人生と、を・・・」
と、レイカ。
「そういうことになるね。その人生に「夢」があるか?・・・そういう目で他人の人生を見ていこう。これからは」
と、タケル。
「それが今回の結論ですね」
と、レイカ。
「そういうことになるね・・・」
と、タケルはのんびりと言った。
「さ、結論も出たようだし、仕事はこれくらいにして、飲み行こうか、「知恵者」のレイカちゃん」
と、笑顔で立ち上がるタケルでした。
「はい。もちろん、お供しますわ」
とレイカは立ち上がり、赤縁のメガネを取り、髪を解いた。
(おしまい)
巷にも「知識者」の女性、「知恵者」の女性がいろいろいますよね。
「知恵者」の女性って、頭の回転が速くて常にコロコロ笑っているから、僕も大好きですね。
人生大切なことは、どこまでも「知恵者」であることです。
そういう女性達と楽しく生きていきたいですね。
ではでは。